【HIDE LEVELING】転生者は咎人だと言われました〜転生者ってバレたら殺されるらしいから、実力を隠しながらレベルアップしていきます〜

久遠ノト@マクド物書き

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4-3 理外回帰編:始まりの街・レイメイへ

213 スケルトン! ゾンビ!

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 ダンジョン内はとても広く、探索のしがいがある。
 行き止まりや一階層まで行く階段があったり、探索中に床に隠された魔法陣みたいなのを発見したこともあった。魔物モンスターが発生する様子を見ることも出来た。
 魔素が物凄い勢いで凝縮していき、視認できる黒い霧状になったと思うとそこから現れたり、壁から急にポンっと出てきたりとバリエーションがあるようだ。
 
「ふぅ……二階層も無事完了、と」

 あらかた探索すると、マップ通りの場所に地下へと続く階段があった。

「次は、三階層目……」

 腰に繋いでポケットに入れていた懐中時計を確認。昼が過ぎ、夜になっている。
 早めに探索をしていたというのに、もうそんなに経ってたのか。

 移動をしながら用意してたお昼と夕食の兼用を片手間に食べて、ダンジョン攻略を続行。
 出てくる魔物モンスター不死者アンデット系か昆虫、あとは小動物が多いと思う。
 昆虫は不死者アンデットとはまた別の怖さがある。まぁ、どちらとも倒せれるからまだいいほうだとしておこう。あれに倒されるのだけは、絶対に嫌だ。

 三階層からは僕が前衛でアンが後衛になった。

 僕の感知系スキルでも充分足りるし、僕はその都度発動をしないでいいから魔素消費もない。僕が前衛に行くことで、不必要な戦闘を回避することができる。アンの体力温存をしておきたい。
 と言っても、することが無くなったアンは……。

「おっ、ここに罠があるのですね?」

 カチッ。ブォンッ。

「わあ……」

 僕に構わずに罠を作動させれるからって自由に遊んでらっしゃる。

「お、わたしも罠感知が出てきました」

 アンが振り子のように出てきた斧を拳殻で握り潰しながらステータスボードを確認している様子を見つめて苦笑い。
 暇つぶしで罠を作動、そしてスキルを会得、ダンジョンもこういう手合いがやってくるは思ってもみなかっただろう。

「下位ダンジョンって推奨のレベルが大体200~250以上って聞いてたから身構えてたんだけど」

 拍子抜け、とまでは言わないけど、想像していたよりもずっと簡単であることは否めない。

 その後も順調にダンジョンの中を進んでいき、特にこれと言って問題なく四階層目まで来ることが出来た。
 階段を降りていくと、今度は遺跡のような見た目から一変して洞窟のような見た目へと変わった。

(洞窟、というか、風穴というか)

 この空間を支えるように、角張った青黒い岩がうねりながら足元から天井へと繋がっている。
 そして……どこから吹いてくるかわからない風が色んなニオイを運んできた。

「ニオイがするってことは……少し強めな個体がいるかも」

 と言って隣を確認すると、ウズっと口端が上がっているアンが見えた。

「……油断はしないようにね」

「もちろんです」

 時間経過で魔素が崩れてダンジョンの一部になるはず。だから、普通はニオイなど感じることは無いんだけど……。
 衣類や武器、防具などは作る工程でダンジョン内に入ったとしても吸収されないような加工が施されているらしいし、僕たちの体は生きている限り無意識で吸収抵抗をしていると勉強をした。
 だったら衣類や装備の類なんじゃないか、って思ったけど……。このダンジョンの攻略って現在は停止中だから……必然と魔物のモノだと分かる。

 身構えて進んで行っても階段でふわっと感じた臭いの正体が姿を現すことも無く、チラホラと冒険者が使った水薬ポーションの空き瓶みたいなのが見えるようになってきた。
 ここで、水薬ポーション……ってことは休憩を挟まずに来たのか。
 
「あー……一気に実感湧いてきた」

「先程はあの瓶を武器に使ってるスケルトンを見ました」

「ポイ捨てが武器になるのか、やだやだ。それにこういう開けた空間って――っと、こういう感じで奇襲をかけられやすいから気が抜けないし」

 悠長に会話をしながら飛び掛ってくる魔物モンスターを倒していく。
 こういう歪な地形だと、曲がり角、石のような柱、地面が隆起しているところ、上の窪み、背後等々。
 考えているのかそれとも偶然か知らないけど、地形を有利に使った攻撃が増えてきた。
 灯が暗闇の中で灯されてる状態だから、向こう側からしたら位置が分かるから攻撃を仕掛け放題だし。

 カタカタ!

 物陰から飛び出してきたスケルトン。
 避けると、この先には……黒い反応――罠。

「おっとっと……」

 そういえば、魔物って罠にかかるのか?
 カタカタ、と近寄ってきたスケルトンの背中を押し、罠を踏ませた。
 カタカタ……? カタカタ!

「あれ?」

 カチッ、という音が聞こえないんだけど。魔物モンスターが踏んでも反応が無いってことか。

「検証参加ご苦労。えいっ」

 なんで魔物モンスターには罠が作動しないんだよ、ずるいぞ。
 そう思いながら落下する前の魔石を拾っていると、
 
『オオォオオォォォッ……』

 と、低いうなり声を出して柱からのそりと出てきたのは、スケルトンよりも奇怪なそれ。

「うわっ、動死体ゾンビ!?」

「気持ち悪いっ!」

「あ、でも動き遅い……」

『オオオォォォォオォ!!』

「うわぁっ、ちょっと早くなった!」

 ゾンビゲームでよく見るやつにそっくりの見た目、端的な表現で言えば、グロテスク。
 魔素消費を抑えるために腹部を蹴飛ばすと倒れた拍子に頭がボロっと崩れた。

『オオォォォ……』

「あ、こいつも強いって訳じゃないのか」
 
 感触は柔らかく熟したモノの下に少し抵抗力のある骨があるって感じ……。触りたくないから今度からは魔法で攻撃した方がいいな。
 ポンっと魔石へと姿を変えたから、サッと拾い上げて先へ。

 そこから出てくるゾンビやスケルトンを倒していくと、階段が見えた。

「……五階層目」

 階段を下っていくと、先に大きな扉が見えてきた。
 見た感じ重厚でなかなか開きそうにない扉。色は濃い赤色と言ったところか。
 禍々しい紋章が描かれているそれは、まさに『ボス部屋』のような印象を受ける。

「この階層に臭いの正体がいるかと思ってたけど……ここからみたいだね。準備はいい?」

「いつでも大丈夫です」

「よし……。無茶をせず堅実にやろう。行くよ!」

 僕達は重厚な扉を開けて中に入っていった。
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