33 / 56
33 ※
しおりを挟む
「まだ終わらせへん」
陰鬱な声は低く、ぞくっと背筋に悪寒が走る。
これで終わりじゃないのか?
拘束されていた両手がようやく解放されたと、安堵したのは束の間のことだった。
何やらベルトを外す金属音がしたかと思えば、膝裏に橋本の手が入り、すぐさま抱えられ、二つに折り曲げられる。
物心ついた頃から親にさえ見せたことのない部分が橋本の目に晒される。眩暈を起こしそうだ。
「俺に抱かれといて。今更、女抱く気いか?」
ぶつぶつと口中で呟いたかと思えば、おもむろに後肛に舌先を這わせる。
「ちょっ、マジかよ。そんなとこ。ちょっと、そこは拙いから」
「うるせえ。ガタガタ言うてたら、痛い目みるぞ」
目が本気だ。まだ続けようとしていた文句を喉奥に押し止めた。
その間にも手馴れた舌遣いで舐られ、突かれ、一本一本の襞まで丁寧に濡らされていく。最早、変態としか言えない行為。
「うわっ!」
まだまだこいつの変態行為は終わらない。やっと舌が離れたと思ったら、代わって長い人差し指が第一関節まで潜り込んできた。
「痛い痛い痛いっ」
潤滑剤もなく、これはきつい。
「これくらいで根え上げてたら、続けられへんやろが」
「じゃあ、やめろ。今すぐ」
「うるさい」
指が二本に増やされる。
乾いた部分にねじ込んでも、第一関節から進まない。
幾ら前回、前々回と、破格のデカさを咥え込んだとしても、それはジェルのチカラがあったから。
今は駄目だ。
たちまちきつくなった空間に、顎を仰け反らせた。額から嫌な脂汗が浮かぶ。足先が攣ってしまいそうになるくらい、ぴんと伸びた。
「お仕置きや」
そりゃあ、橋本のあからさまな気持ちを知った上で、体の関係を持ったけど。
でも、それはあくまでベッドの上だけだ。
プライベートまであんた一色になるのは、どうしても踏み越える勇気がない。
中途半端さが招いた結果だ。
俺だって、本当は応えたい。
何かにつけて大事にしてくれているのは、肌身に感じる。
気の狂いそうな嫉妬だって、愛されてる証拠だ。
愛してるなんて、言葉になんかしなくったって、本当はちゃんと通じている。
でも、踏み越える何かが欲しい。
言葉にしたら、軽々、飛び越えられそうな気がする。
これは、俺の狡さだ。
「ご、ごめん….ごめんなさい……」
眦にどんどん涙が浮かんでくる。
「な、何、泣いてるんや」
「ごめん……橋本さん……ごめん……」
「笠置?」
ぐしゃぐしゃに泣いて、鼻まで垂れて、いい大人が情けない。でも、泣かずにはいられない。
元々、橋本はどこに行ってもお人好しの良い人だったんだ。
決して、こんな乱暴を働く男じゃない。
こんなことをさせたのは、俺のせいだ。
ごめん、ごめんと繰り返す俺の言葉を、橋本はまた違った意味で捉えたらしい。
「俺と別れたい言うんか?」
たちまち、般若の顔になる。
普段はのほほんとした、垂れ目の、穏やかな表情なのに。
もう、どこにも垂れた目は見当たらず、ただひたすら俺を睨みつける。
違う、と横に振った首さえ、彼には伝わらない。
陰鬱な声は低く、ぞくっと背筋に悪寒が走る。
これで終わりじゃないのか?
拘束されていた両手がようやく解放されたと、安堵したのは束の間のことだった。
何やらベルトを外す金属音がしたかと思えば、膝裏に橋本の手が入り、すぐさま抱えられ、二つに折り曲げられる。
物心ついた頃から親にさえ見せたことのない部分が橋本の目に晒される。眩暈を起こしそうだ。
「俺に抱かれといて。今更、女抱く気いか?」
ぶつぶつと口中で呟いたかと思えば、おもむろに後肛に舌先を這わせる。
「ちょっ、マジかよ。そんなとこ。ちょっと、そこは拙いから」
「うるせえ。ガタガタ言うてたら、痛い目みるぞ」
目が本気だ。まだ続けようとしていた文句を喉奥に押し止めた。
その間にも手馴れた舌遣いで舐られ、突かれ、一本一本の襞まで丁寧に濡らされていく。最早、変態としか言えない行為。
「うわっ!」
まだまだこいつの変態行為は終わらない。やっと舌が離れたと思ったら、代わって長い人差し指が第一関節まで潜り込んできた。
「痛い痛い痛いっ」
潤滑剤もなく、これはきつい。
「これくらいで根え上げてたら、続けられへんやろが」
「じゃあ、やめろ。今すぐ」
「うるさい」
指が二本に増やされる。
乾いた部分にねじ込んでも、第一関節から進まない。
幾ら前回、前々回と、破格のデカさを咥え込んだとしても、それはジェルのチカラがあったから。
今は駄目だ。
たちまちきつくなった空間に、顎を仰け反らせた。額から嫌な脂汗が浮かぶ。足先が攣ってしまいそうになるくらい、ぴんと伸びた。
「お仕置きや」
そりゃあ、橋本のあからさまな気持ちを知った上で、体の関係を持ったけど。
でも、それはあくまでベッドの上だけだ。
プライベートまであんた一色になるのは、どうしても踏み越える勇気がない。
中途半端さが招いた結果だ。
俺だって、本当は応えたい。
何かにつけて大事にしてくれているのは、肌身に感じる。
気の狂いそうな嫉妬だって、愛されてる証拠だ。
愛してるなんて、言葉になんかしなくったって、本当はちゃんと通じている。
でも、踏み越える何かが欲しい。
言葉にしたら、軽々、飛び越えられそうな気がする。
これは、俺の狡さだ。
「ご、ごめん….ごめんなさい……」
眦にどんどん涙が浮かんでくる。
「な、何、泣いてるんや」
「ごめん……橋本さん……ごめん……」
「笠置?」
ぐしゃぐしゃに泣いて、鼻まで垂れて、いい大人が情けない。でも、泣かずにはいられない。
元々、橋本はどこに行ってもお人好しの良い人だったんだ。
決して、こんな乱暴を働く男じゃない。
こんなことをさせたのは、俺のせいだ。
ごめん、ごめんと繰り返す俺の言葉を、橋本はまた違った意味で捉えたらしい。
「俺と別れたい言うんか?」
たちまち、般若の顔になる。
普段はのほほんとした、垂れ目の、穏やかな表情なのに。
もう、どこにも垂れた目は見当たらず、ただひたすら俺を睨みつける。
違う、と横に振った首さえ、彼には伝わらない。
0
あなたにおすすめの小説
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
もう一度言って欲しいオレと思わず言ってしまったあいつの話する?
藍音
BL
ある日、親友の壮介はおれたちの友情をぶち壊すようなことを言い出したんだ。
なんで?どうして?
そんな二人の出会いから、二人の想いを綴るラブストーリーです。
片想い進行中の方、失恋経験のある方に是非読んでもらいたい、切ないお話です。
勇太と壮介の視点が交互に入れ替わりながら進みます。
お話の重複は可能な限り避けながら、ストーリーは進行していきます。
少しでもお楽しみいただけたら、嬉しいです。
(R4.11.3 全体に手を入れました)
【ちょこっとネタバレ】
番外編にて二人の想いが通じた後日譚を進行中。
BL大賞期間内に番外編も完結予定です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜
たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる