クトゥルフの雨

海豹ノファン

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平和なひととき

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『怪獣界からやってきたミケネコーン』

がテレビでやっている。
多くの子供達に親しまれる日本の児童アニメだ。

このアニメは私の数少ない娯楽の一つになっている。
猫のような可愛らしい姿の怪獣、ミケネコーンがまりあという大阪弁の女の子と修行を建前にゆるふわ生活を送り、日本全国の方言キャラが登場する。

ミケネコーンにまりあの関西弁が伝染《うつ》ったり、まりあにミケネコーンの「にゃん」口調が伝染ったりするのも可愛い。

そして徳島弁の女の子、「ぱせりちゃん」がじょじょにゃんと歌ったりしまりあちゃんが何気にぱせりちゃんを苦手とするシーンもなんだかほっこりする。

アニメ「ミケネコーン」に夢中になっているところにサキュラが言ってきた。

「良い歳して何子供向けアニメなんて見てるの?」

「良いじゃん人の自由でしょ!」

このサキュラ…見かけは12歳くらいの女の子なのにやたら増せてる…ニュースくらいしかテレビでは見ない…まあ彼女は自身の手を汚してでも日本の危機を救ってるのだけどそれを続けてたらこうにもなるのだろうか?

だとしたら少し寂しい気もする…。

「さあ朝ごはん食べるにゃん!」

そんな時、サキュラから思わぬ口調が出てきた。
「にゃん」ミケネコーンがよく使う口調で思わず私も口調が伝染ってしまうこともある。

時々それで笑っちゃう事もあるんだよね♪
それを今まさかのサキュラが口を滑らせて放ってしまったのだ。

「あ…」

サキュラは恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせ、手で口を覆った。

見たことの無い反応を見せたので思わず私はサキュラをからかいたくなった。

「なんだーサキュラちゃんもこう言ったアニメ好きなんだー?」

「う、うるさいじょ!…!」

「キャハハ!」

「わ…笑うにゃ!笑うと訓練もっときつくするわよ!!」

部屋中私の笑う声とサキュラの恥ずかしげに声を荒げる声が響いた。

当分一人暮らしで心許せる友達もいなかった私は思った。

ああ友達といるってこんなに楽しいんだな♪

???ーー

場所はとある徳島CITYの一角。
徳島一大きな銀行にてその事件は起こった。

「有り金全部出せ!!」

一人の覆面をした男が人質にした一人の若い女性をナイフに突きつけ脅し、もう一人が拳銃を両手に持って他のあちこちの銀行員に向けている。

そうこれは銀行強盗である。

『人でなしでないと尊敬されない』

こうした概念が今日の日本のあちこちで根付き、これまで真面目を美徳として伝統として語り継がれてきた徳島にも間違った概念に若者は影響され、暴動事件も頻発していた。

突如現れた銀行強盗に慌てる銀行員達。
電話に手を伸ばそうとした銀行員を見やると拳銃でその電話を撃ち砕く。

「百発百中の俺様の目が黒い内は陰で何かしようものなら命は無いものと思え!!」

百発百中のガンマンもとい銀行強盗は吼える。

客である人も銀行に訪れてはいたが入り口付近を銀行強盗に封鎖されている。

人々は銀行強盗に戸惑うが誰も警察を呼ぶ事も出来ず只々狼狽えている。
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