クトゥルフの雨

海豹ノファン

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人は自分を映す鏡?

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武斉葛子SIDEーーー

私は武斉葛子《ぶさいくすこ》生まれてずっとブサイク、インスマス顔だと言われてきた。

インスマス顔とは魚介類のような顔の事らしい。
とにかく私は凄く醜いと蔑まれてきた。

望んでこんな顔になったんじゃない、生まれつきだ。

本当に世の中理不尽で可愛い子、普通の子とか色々いるが私だけが他の子と明らかにかけ離れていると言われる。

おかげでそこにいるだけで指を指され、哀れむように見られ、化け物といじめられてきた。
本来は明るい性格でもこうした屈辱の日々で私の性格も暗くなってしまった。

こうして屈辱の日々を過ごしてきた私だったがある日不思議な力に目覚める。

それは能力を使いたい対象に放てば他の人から見た姿形が対象と入れ替わると言うもの。

「ミラーチェンジ」

私は自分の能力をそう名付けた。
そして私は今日も「可愛い子」狩りをする。

海溝潤実SIDEーーー

人は自分を映す鏡とは言うけれどその言葉はなんだか私には引っかかる言葉だ。

私は何故かよく憎まれたり嫌われたりするのだが知恵袋の悩み相談カテでその事で質問すると「人は自分を映す鏡って言葉知ってる?」と言われる事がある。

それって嫌われたり憎まれたりするのって私の性格が悪いからなの?とか悪く思う事もある。

性格良いとは言わないが配慮のない言葉だなあと思ってしまうのだ。

「あまり気にせんで良えじょ?」

トラテツは言ってくれる。
こんなに猫とは気持ちが通じ合えるのに…。

蓮香ちゃんも同じ事言ってたなあ…。
でも蓮香ちゃん私と同じ境遇でありながら優しいし健気だししっかりしてるし…。

それに引き換え私には何があるんだろう?
余計な事ばかり考えてしまうし暗いし気が弱いし…

そんなネガティブな事を考えてる時だった。

私のパソコンに一通のメールが来る。
メールを開いて読んでみる私。
アドレスには見覚えがない、ただ…。

『文化の森のコロシアム広場に来い

from可園彩華』

と書かれていた。

どうして私のパソコンのメールアドレスを?
とも思ったが奈照さんがこっそり教えた可能性もあるし熟練のクトゥルフかインスマスならアドレスをわかっても何の不思議もない…ウィルスだと怖いが…まあこう言う用ならウィルスでは無さそうだが…。

「相手にせんとき、罠かも知れんじょ」
とトラテツは言う。

しかし後には引けないし例えここで会わなかったら彼女は自分から会いに来るだろう。

なんとなく予感が私にそう知らせていた。

「ありがとうトラテツ…でも行かなきゃ…なんとなく、そんな気がするんだ!」

と言ってにこりと不安な気持ちに反して笑ってみせた。

そして私は一通りの支度をし、蝶々になってを聴きながら文化の森まで車を走らせる。

ーーー

私はモダンで洒落た外観の文化の森、その広い公園の中のコロシアム広場に足を進める。

そこにはやはり、彩華がパンクファッションと言うのか?
ケバケバしい恰好で私を待ち構えていた。

「来たか…怖気ついて来ないもんかと思ってたぜ」

彩華は口に咥えていた煙を燻《くゆ》らせたタバコを指でつまんで揶揄《からか》うように私に声を向ける。

「な、何の用…ですか?」

毅然とするつもりなのに気持ちはそれに従ってくれず思わず目が泳ぎ落ち着かない感じになる。

「そう身構えるなよ、今回はお前と戦いに来たんじゃない」

彩華は逆に落ち着いた…と言うか珍しく喧嘩腰ではなく紳士的な話し方で言葉を紡ぐ。

「今回はお前に仕事を頼みにきた」
「仕事…?」

手伝ってくれみたいな感じなのか?
しかし戦って彩華に手も足も出せなかった私が例え彩華の助太刀に入ったとして足手まといにしかならないのでは…?

「徳島市立体育館で今度県立クトゥルフ闘技会がある」

徳島県立クトゥルフ大会、それは徳島のクトゥルフ能力の使い手がクトゥルフ技を使って格闘するという大会だ。

素人から手練まで沢山集まって一対一で戦い勝ち残った者は100万円の賞金とトロフィーを授与される。

それを私も参加しろ…と?

「人数合わせですか?」

「いや、ある奴をぶっ倒して欲しいんだ!」

ある奴?
そう思っていると彩華はある写真を私に見せてきた。

この人…人間?
と思うような形相の女の人が映っていた。
彼女の写真を見て少し身震いしてしまう私。

「名前は武斉葛子《ぶさいくすこ》、奴は可愛い子とミラーチェンジていうクトゥルフ能力を使って人から見た外観を対象と入れ替えてずるい勝ち方しているんだ」

彩華はタバコを吹かしながら私に話す。

「確かに卑怯と言えば卑怯なのですが…どこで彼女と当たるのかわかりませんし…」

と私が写真を見て少し後々来そうな感覚を覚えるも彩華さんに視線を移し弁明してみるも…。

「心配するな、これは大会司会者からの依頼でもあるんだ、葛子は大会以外でもミラーチェンジを利用して小狡く立ち回っているらしいとの事でな」

は?それで何故私…?

「それで何故私なんですか?」

私は訝しつつ彩華に問う。

「実は依頼の件でサキュラから間接的にアタイに言ってきたんだ、潤実の実力がどの位上がったか見てみたいとさ」

あ、あんにゃろおおぉ…。
私は外観オドオドしていつつ心の中では余計な事すんなよとサキュラに毒づいた。

「当然その事は葛子本人には伝えていない、どうだ?優勝せずとも葛子をぶっ倒すだけで賞金貰えてウハウハ出来るぜ?」

彩華は肘を私に当てながら揶揄ってくる。
貴女…私が真面目な性格であることを知っててやってるの?

しかしこの依頼断ったらサキュラから何か言われそうだな…。

「わ…わかりました…」

あちゃー返事してしまった。
私は前から気は小さい癖に考える前に受けてしまったり断れなかったりする癖がある。

直そうとは思ってるけどこの性格はどうにかならないものか…。

数日後、稽古を続けた成果を試す時が来た!

そう、徳島県立クトゥルフ闘技会が始まったのだ。
数百人の観客が集まり、屈強そうな戦士達が準備体操したりしている。

私は試合が始まるまで心臓バクバクが収まらず、緊張しっぱなしだった。
勿論訓練は欠かさなかったけど…。

「潤実ちゃん、頑張りよ!」

「健闘を祈るわ」

トラテツとサキュラが見送ってくれる。

「ま、任せて♪絶対勝ってくるから…♪」

私の歩き方を見て囁き合うトラテツとサキュラ。

「潤実ちゃん…歩き方がロボットみたいじょ」

「余程緊張してるのね」

くっそサキュラ人の気も知れないで!

「ほなけどあれで潤実ちゃんいけるんかなあ?」

私の緊張っぷりを見てトラテツは心配する。

「心配ないわ、噛ませ犬用意してあるから」

「か…噛ませ犬!?」

そして1試合、2試合が終わり、ついに私の出番…!
(緊張するけど…あの武斉葛子を倒せば良いのよね!
ミラーチェンジ使って惑わす特技があると聞いたら攻略したも同じ!エイエイオーよ!)

私は気を引き締めた。
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