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本当の強さ
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海溝潤実SIDEーーー
奈照さんの魔力石を奪われてしまった挙句、ジャッジから退場を言い渡された私。
ああ私の人生はもうおしまいだ!
奈照さんに励まして貰いたくてやられる度に使ってた私も私だ。
私はこのまま連行されて新聞にも載り、無事に刑務所から出られたとしても後ろ指を指され肩身の狭い思いをして過ごさなければならない…。
最悪のシナリオが簡単に想像に描かれる…というより都合の良いような救われるシナリオが想像出来ない。
素直に負けた方が良かった…こうしたら奈照さんとずっといられたのに…奈照さん…ごめんね…。
誇らしげに葛子が見せびらかすように持ってる奈照さんの魔力石から放たれる光には、奈照さんの泣く姿が私の目に映し出された。
「さあ立て!」
二人のジャッジが私の腕を掴み私を立たせる。
私は逃げられないように二人のジャッジにあの例の収容所に送られる容疑者の如く後ろに回って私の両腕を掴み、私を連れ出す。
サキュラ…トラテツ…ごめんね…私を許して…。
私は観客から罵声を浴び続ける中サキュラとトラテツには許して欲しいと心の中ですがる。
捕まった犯人の立場に今私自身がなっている。
その時、一人の赤毛の少女が私を外に連れ出す途中のジャッジ達の前に現れる。
「おい、その子を許してやれよ!」
え?可園彩華?
「しかしこの少女は反則を…」
「じゃあ私がキューティーBUSU、もとい武斉葛子と戦ってやる、それに勝ったら海溝潤実を解放しろ!」
「…本気ですか?」
「アタイだって熟練のクトゥルフの戦士だ、それとコイツはアタイが無理言って参加させたんだ!その償いも兼ねてそいつに代わってアタイがBUSUと戦ってやる!」
堂々と放つ彩華に屈強そうなジャッジも気押しされる。
「…良いでしょう…」
私の連行はとりあえず保留として、彩華が武斉葛子と戦う事になった。
しかし葛子は彩華が現れる際、いつもと顔色を変えてある種の怒りを彩華にぶつけているようだった。
あの二人…知り合い?
可園彩華SIDEーーー
懐かしいな、こうしてアタイとお前が出会うの…。
アタイは何とかやってるが…お前は上手くやれてないようだな…。
「姉御!何故神社継いでから私と関係を絶ったんですか!アンタのせいで私は…!」
「…すまねえ…」
本当に不良仲間には申し訳ないと思ってる。
アタイは奈照さんから改心させられた後神社を継ぐ事になってたのだが…徳島の巫女さんには厳しい掟があって俗界に生きた者と関係を断たねばならなかった。
俗世の穢れを祓う為に必要な儀式だった。
アタイも俗世に生きた荒くれだったが身を清める為に人より滝に沢山打たれたしあらゆる制限を設けられ修行そのものは厳しいものがあった。
徳島は神道を大切にするから特にその辺厳しい。
バイトはそうでないのだが巫女であり宮司候補であるアタイは俗世との接触は父からも断たされていたのだ。
だから不良仲間がどうなってるのか…今巫女修行から離れてみるまではわからなかったんだ。
斧使いのチクは土木作業員、風使いのシンナは天気予報士となって順調にやってると聞いてたが…葛子…お前は能力を悪い方に使い、ふしだらな生活をこうして続けてるなんてな…。
「不良をやめてからも容姿のせいで嫌われ続けた屈辱…アンタにも味あわせてやる!!!」
葛子はそう言うと構えを取り、アタイに宣戦を挑んだ。
「…良いぜ」
お前のその気持ち…今まで相手に出来なかった分まで受けてやるよ。
「ミラーチェンジ!!」
葛子が異能を放ち、アタイと葛子の観客からの見た目が逆転される。
観客から浴びせられる冷たい視線…そうか、お前はこの屈辱をずっと受け続けてきたのか。
辛いぜ、お前の気持ちはよくわかる…タダな…
大事なのは見た目じゃねえんだよ!!
「私の屈辱思い知れーーー!!!」
葛子は怒りの拳を目に沢山の涙を溜めながら放つ。
シュッ!アタイは葛子のパンチを受け流し、逆に葛子のほおに拳を撃ち添える。
「美少女になんて事を!」
「鬼!悪魔!!」
観客からの罵声がアタイに飛んでくる。
何言われようがアタイは平気だ。
「うおおおおぉ!!!」
葛子は更にアタイに向かってくる。
何度も何度も向かってきてはアタイに返り討ちにされる葛子。
観客はアタイに物を投げつけてくる。
「試合から降りろ!お前は失格だ!!」
「女の子に酷い事しやがって!!」
観客からブーイングを受け続けるアタイ。
こんなの葛子が受け続けた屈辱と比べたらなんて事ねえ…。
もっと悲しくなるのは人を外見で判断するお前らの寂しい心だ…。
ボロボロになりながら立とうとする葛子。
「ま…まだまだ…」
立とうとするも全身の傷が広がり、葛子は地に膝をついてしまう。
「もういい!もう良いんだ葛子!!!」
アタイは傷だらけになりながらも自身の屈辱を味あわせようとする葛子にいたたまれなくなり葛子の体を力一杯抱きしめた。
辛かったろう、寂しかったろう!
葛子の気持ちが痛いほどアタイに伝わり、涙線が思わず溜まってしまう。
「よく頑張った!だが異能を悪い方に使っては駄目だ!お前はまだやり直せる!だから…共にやり直そう!!」
「姉御…姉御ぉ!!」
葛子が泣き、アタイもつられて泣く。
観客は静まり返り、しくしくと貰い泣きする奴もいた。
海溝潤実SIDEーーー
二人の熱い友情に少なからず私は胸を打たれた。
それに嫌われる事を恐れない彩華さんをその時はじめてカッコいいと思えた。
私も嫌われ者だから嫌われるのは平気でいるつもりだったけど…結局はペースに嵌められてしまった。
でも彩華さんは違う…罵倒されても…冷たい視線を浴びせられても仲間に真剣に向かっていったんだから…!
私もああいう人になりたい!
私は立ち上がり、精一杯拍手をした。
そして観客達もつられて拍手をし、試合は大団円で終わった。
ーーー
試合が終わった頃、日はとうに暮れていた。
彩華さんは葛子と共に飲みに行った。
仲良さげに肩を組みあって歩く姿になんだかホッコリした。
彩華さんの良い意味で砕けた表情、元々顔立ちが整っているだけあり可愛らしかった。
「凄かったな…彩華さん…」
「そうね…貴女も彼女を見習って訓練をよりハードにしていくわよ!」
え?そこ??
一方、先が思いやられる私だった。
奈照さんの魔力石を奪われてしまった挙句、ジャッジから退場を言い渡された私。
ああ私の人生はもうおしまいだ!
奈照さんに励まして貰いたくてやられる度に使ってた私も私だ。
私はこのまま連行されて新聞にも載り、無事に刑務所から出られたとしても後ろ指を指され肩身の狭い思いをして過ごさなければならない…。
最悪のシナリオが簡単に想像に描かれる…というより都合の良いような救われるシナリオが想像出来ない。
素直に負けた方が良かった…こうしたら奈照さんとずっといられたのに…奈照さん…ごめんね…。
誇らしげに葛子が見せびらかすように持ってる奈照さんの魔力石から放たれる光には、奈照さんの泣く姿が私の目に映し出された。
「さあ立て!」
二人のジャッジが私の腕を掴み私を立たせる。
私は逃げられないように二人のジャッジにあの例の収容所に送られる容疑者の如く後ろに回って私の両腕を掴み、私を連れ出す。
サキュラ…トラテツ…ごめんね…私を許して…。
私は観客から罵声を浴び続ける中サキュラとトラテツには許して欲しいと心の中ですがる。
捕まった犯人の立場に今私自身がなっている。
その時、一人の赤毛の少女が私を外に連れ出す途中のジャッジ達の前に現れる。
「おい、その子を許してやれよ!」
え?可園彩華?
「しかしこの少女は反則を…」
「じゃあ私がキューティーBUSU、もとい武斉葛子と戦ってやる、それに勝ったら海溝潤実を解放しろ!」
「…本気ですか?」
「アタイだって熟練のクトゥルフの戦士だ、それとコイツはアタイが無理言って参加させたんだ!その償いも兼ねてそいつに代わってアタイがBUSUと戦ってやる!」
堂々と放つ彩華に屈強そうなジャッジも気押しされる。
「…良いでしょう…」
私の連行はとりあえず保留として、彩華が武斉葛子と戦う事になった。
しかし葛子は彩華が現れる際、いつもと顔色を変えてある種の怒りを彩華にぶつけているようだった。
あの二人…知り合い?
可園彩華SIDEーーー
懐かしいな、こうしてアタイとお前が出会うの…。
アタイは何とかやってるが…お前は上手くやれてないようだな…。
「姉御!何故神社継いでから私と関係を絶ったんですか!アンタのせいで私は…!」
「…すまねえ…」
本当に不良仲間には申し訳ないと思ってる。
アタイは奈照さんから改心させられた後神社を継ぐ事になってたのだが…徳島の巫女さんには厳しい掟があって俗界に生きた者と関係を断たねばならなかった。
俗世の穢れを祓う為に必要な儀式だった。
アタイも俗世に生きた荒くれだったが身を清める為に人より滝に沢山打たれたしあらゆる制限を設けられ修行そのものは厳しいものがあった。
徳島は神道を大切にするから特にその辺厳しい。
バイトはそうでないのだが巫女であり宮司候補であるアタイは俗世との接触は父からも断たされていたのだ。
だから不良仲間がどうなってるのか…今巫女修行から離れてみるまではわからなかったんだ。
斧使いのチクは土木作業員、風使いのシンナは天気予報士となって順調にやってると聞いてたが…葛子…お前は能力を悪い方に使い、ふしだらな生活をこうして続けてるなんてな…。
「不良をやめてからも容姿のせいで嫌われ続けた屈辱…アンタにも味あわせてやる!!!」
葛子はそう言うと構えを取り、アタイに宣戦を挑んだ。
「…良いぜ」
お前のその気持ち…今まで相手に出来なかった分まで受けてやるよ。
「ミラーチェンジ!!」
葛子が異能を放ち、アタイと葛子の観客からの見た目が逆転される。
観客から浴びせられる冷たい視線…そうか、お前はこの屈辱をずっと受け続けてきたのか。
辛いぜ、お前の気持ちはよくわかる…タダな…
大事なのは見た目じゃねえんだよ!!
「私の屈辱思い知れーーー!!!」
葛子は怒りの拳を目に沢山の涙を溜めながら放つ。
シュッ!アタイは葛子のパンチを受け流し、逆に葛子のほおに拳を撃ち添える。
「美少女になんて事を!」
「鬼!悪魔!!」
観客からの罵声がアタイに飛んでくる。
何言われようがアタイは平気だ。
「うおおおおぉ!!!」
葛子は更にアタイに向かってくる。
何度も何度も向かってきてはアタイに返り討ちにされる葛子。
観客はアタイに物を投げつけてくる。
「試合から降りろ!お前は失格だ!!」
「女の子に酷い事しやがって!!」
観客からブーイングを受け続けるアタイ。
こんなの葛子が受け続けた屈辱と比べたらなんて事ねえ…。
もっと悲しくなるのは人を外見で判断するお前らの寂しい心だ…。
ボロボロになりながら立とうとする葛子。
「ま…まだまだ…」
立とうとするも全身の傷が広がり、葛子は地に膝をついてしまう。
「もういい!もう良いんだ葛子!!!」
アタイは傷だらけになりながらも自身の屈辱を味あわせようとする葛子にいたたまれなくなり葛子の体を力一杯抱きしめた。
辛かったろう、寂しかったろう!
葛子の気持ちが痛いほどアタイに伝わり、涙線が思わず溜まってしまう。
「よく頑張った!だが異能を悪い方に使っては駄目だ!お前はまだやり直せる!だから…共にやり直そう!!」
「姉御…姉御ぉ!!」
葛子が泣き、アタイもつられて泣く。
観客は静まり返り、しくしくと貰い泣きする奴もいた。
海溝潤実SIDEーーー
二人の熱い友情に少なからず私は胸を打たれた。
それに嫌われる事を恐れない彩華さんをその時はじめてカッコいいと思えた。
私も嫌われ者だから嫌われるのは平気でいるつもりだったけど…結局はペースに嵌められてしまった。
でも彩華さんは違う…罵倒されても…冷たい視線を浴びせられても仲間に真剣に向かっていったんだから…!
私もああいう人になりたい!
私は立ち上がり、精一杯拍手をした。
そして観客達もつられて拍手をし、試合は大団円で終わった。
ーーー
試合が終わった頃、日はとうに暮れていた。
彩華さんは葛子と共に飲みに行った。
仲良さげに肩を組みあって歩く姿になんだかホッコリした。
彩華さんの良い意味で砕けた表情、元々顔立ちが整っているだけあり可愛らしかった。
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