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地獄の盃
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海溝潤実SIDEーーー
「ですから私インスマスと戦っていて…!」
「何を訳のわからない事言ってるんだ!!」
ああ何を言っても信じてもらえないよ!
今度こそ私の人生はおしまいだ!
私がどれだけ話しても信じては貰えず、そのままパトカーに乗せられる事になった。
「さあ乗れ!」
やや高圧的に警官に乗せられる私。
人生って何が起こるかわからない…子供の頃はきっと素敵なお嫁さんとか、スーパースターになれると信じてきたけどいざ大人になると上手くは行かず自分の理想も打ち砕かれ、地道にならざるを得なくなる。
私は一度殺人を犯した…その時点で本来ならこうなるはずだった…この後サキュラという女の子に助けられてクトゥルフになったんだけど…。
でもね…クトゥルフになって沢山のかけがえの無い思い出は出来た気がする。
ずっとあのままの生活だと意味のないまま、ただ怒られてばかりのまま年を取って意味のない一生で終わったんだから。
でも…もっと素敵な夢見たかった…。
そんな私って贅沢かな?
もうすぐ娑婆ともしばらくはお別れ…。
刑務所ではどんな生活が待っているのか…。
そう思っていながらパトカーに揺られて走っている時の事だった。
目前に大きな物体が横たわっていた。
「全くなんだこれは!通行の邪魔だぞ!!」
パトカーを降りて大きな物体をどかそうと警官達が駆け寄るとその大きな物体が起き上がってきた。
「なんだこれは!??」
熊??違う、鎧を纏っていて豚のような顔にずんぐりとした体型。
『グクク、俺はオーク族のゾリア、その娘貰い受ける!』
娘って私の事?
「くっ、コイツ!」
警官は拳銃を構え発砲する。
オークの図体に警官の発砲した弾がめり込む。
しかしオークは涼しげな顔をして前に一歩出る。
そして大きな斧で一振り。
ズドオン!!
オークの一振りの斧で警官の一人の身体は真っ二つに裂かれ、中身が飛び出した。
「ひっ!」
私はショックで膝を落とした姿勢でそのまま動けなくなる。
「この野郎!」
他の警官も鉄砲を撃ち続け応戦するもいずれもオークの斧の一振りで後の数人の警官の首がはね飛んだ。
「ひ、ひえぇ!」
残りの警官は逃げ出した。
私は膝を落としたまま動けなく、ただその場で震えていた。
オークが手を伸ばした途端私はショックで倒れ込み、そのままオークに何処かに連れ去られた。
ーーーとある岩山の都市。
黄土色の岩山には掘られたように穴が空いている。
人々には入って来れないような地形にあり、下を見れば底知れない谷底。
ちょうどそこにその都市は平然と存在していた。
私が目覚めたのはちょうどその都市のとある広い部屋だった。
私は白い薄手の布を羽織わされ、鎖で宙吊りにされていた。
「ここは…どこなの?」
私はキョロキョロと辺りを見渡す。
その時、電気の灯りが点きだした。
このような所にも電気があるらしい。
『目が覚めたかね?人間…』
太い声がしたかと思うとそこに私達を襲ってきたオークが突っ立っていた。
「ひっ!」
私は一度オークを見て恐怖体験をしたのかその場で固まってしまった。
『敵意は無い、安心しろ』
オークは私をなだめに入る。
『我々は探していた、お前のようなクトゥルフの戦士を…』
オークの温かみのある声で少なくとも私は揺らいだ。
この人は悪い人ではないかも知れない。
それにサキュラやトラテツはこんな私に幻滅してしまい味方になってくれないかも知れない。
だとすると私は今度こそ一人ぼっちだ。
と考えるとオークは何故か泣き出した。
「泣かないで、私で良かったら、話してごらん」
私はオークから話を聞こうと吊るされていながらも話を聞くことにした。
『すまぬ人間よ、我々オーク族は人間から住処を追われ、このような絶壁の岩山に追いやられた、それで我々は人間と戦えるクトゥルフを探していた』
「わ、私は戦う事なんて出来ないよ、インスマスと戦っても勝てなかった…」
『そう言う事ではない』
どう言う事だろう?実力不足の私が人間と戦える条件なんて…。
『お前は隠している…人間への怒りをな…』
怒り…?私は怒ってなんかないよ…そりゃ人として認めて貰えなくて歯痒い気持ちになった事はあるけど。
『我々オークはお前のような悩める娘の味方だ、だから我々につけ、共に人間を殲滅しようじゃないか!』
私はオークに催眠にかかったように新たに人間に向かうクトゥルフとしてオーク側についた。
江戸華喧華SIDEーーー
生意気にも私より半分しか生きていない若造達が私と戦おうとしてくれてるじゃないの。
しかも不良である事を自慢にでもしている。
不良なんて自慢出来る事じゃないわ、ただの人生の落伍者よ。
それもわからない愚かな娘達。
私が思いっきり教育してあげる必要があるようね。
私は愚かな不良達が立ち直れるように指導教育をする事にした。
「行くぜおばさん!!」
彩華と名乗る小娘は二丁のトンファーを手に持って炎を纏いながら私に向かってきた。
ビュンッ!
彩華のトンファーの一振りで私の髪が僅かに切れる。
それだけの威力…当たれば致命にあたるわね。
しかし今の私には貴女の攻撃が見えるわ。
彩華の次の攻撃で私は彼女のトンファーを手で受け止めた。
ニイ…!
彩華が口元を上にあげる。
その時トンファーに凄まじい高温が襲ってきた。
「熱っ!」
私は思わず手を離す。
「アタイは炎の異能を持つクトゥルフ!アタイの触れた物はどんな物も高温にする事が出来る!」
彩華…炎のクトゥルフ…油断ならないわ。
「そりゃ!行くぜババア!!」
彩華は間髪入れずトンファー攻撃を矢継ぎ早に繰り出す。
炎が舞い、私の服が黒く爛《ちぢ》れる。
受け止める事が出来ない、なら避けるしかないようね。
トンファー捌き、素早さ、そして威圧…不良でなかったら貴女は正義の味方として申し分のない逸材だったでしょうね。
しかし彩華、貴女の攻撃は見切ったわ!
私は彩華の攻撃を受け流し、僅かに手の空いた所に拳を入れた。
「ぐはっ!!」
彩華は私の拳で飛ばされ、大地に滑り込む。
ふん、出直してきなさい!
「姉御!てめえ!!」
今度は葛子が歯向かってくる。
彼女はキューティーBUSU、ミラーチェンジという能力の持ち主ね。
だけどミラーチェンジと言う特技なんてここで使う意味なんて無いわよ?
「魔神旋風拳!!!」
葛子は魔神の如く旋風を身に纏って変幻自在な打撃戦を繰り出す。
「やるじゃない、ミラーチェンジで可愛い子と入れ替えて客を集めるだけの卑怯者だと思ってたわ」
私は葛子の太い図体からは想像も出来ない身軽な動きと技のキレに感心を示した。
「ミラーチェンジだけが特技じゃない!私は姉御についていくためにあらゆる拳法を習って会得してきたのだ!!」
だがまだまだね。
「ふんっ!」
私は回し蹴りで葛子を蹴り飛ばした。
向こう側の壁に叩きつけられ、壁はその勢いで崩れる。
「諦めなさい、貴女達ごときに私は倒せない」
私は不良達に睨み、言い聞かせた。
「確かにアタイらじゃお前には勝てないかも知れねえ…」
「だけどここで後には引けねえ!私達は不良なんだ!!」
彩華と葛子は今度は二人がかりで私に向かってきた。
「火炎天烈拳《かえんてんれつけん》」
「雷神マックスブロー!!」
私は矢継ぎ早に小娘達が攻撃してくるのを受け流す。
しかし中々コイツらはチビらないで私に歯向かって来れるわね、その度量がありながら不良なんて勿体ないわよ!
「喧嘩百砲!!!」
私は拳法で纏めて二人を可愛がった。
見事に二人は飛ばされてくれる。
さて、これだけ叩いたら起き上がって来れないわね。
私は二人に歩み寄る。
しかし二人は立ち上がる。
「アタイは負けやしねえ!奈照さんや…仲間達の為にもな!!」
「あっしも負けねえ!姿形が醜かろうと認めてくれる姉御がいるからな!!」
こいつらはゾンビなの?
「上等じゃない!この私が認められないのなら認めるまで調教してやろうじゃないの!!」
「うるせえ!てめえみたいなババア誰が認めるか!!」
「おうよ!顔だけでなく心まで醜いババアにはあっしらの不良道を知られてたまるかってんだ!!」
何処までも生意気な小娘達、ならこの世から消滅させるしか無いようね!!
「ぬおおおぉ!喧嘩千砲!!喧嘩剛圧拳!!魔神旋風脚!!」
私はありとあらゆる奥義で二人を抹殺にかかった。
しかし二人はどれだけ倒しても起き上がる。
これが不良道と言う奴なの?
私の知る不良は怠惰で正義感のカケラもなく、弱い者をいたぶるのだけが生きがいのロクでなしじゃ無かったの!??
「貴女らは何故そうしてまで不良を続けるの!??不良なんてやっててもロクな事なんて無いのよ!」
血だらけ傷だらけになりながらも立ち向かう二人の不気味な小娘に少し狼狽える私。
「そうかもなぁ!だがアタイらは強きを挫き、弱きを助ける不良としてロクでもないルールを破って生きてきたんだ!!」
「不良は悪い奴ばかりじゃねえ!それを姉御は教えてくれた!それに姉御につく不良達もみんないい奴だった!不良はアンタが思ってる程ロクでなしじゃねえんだよ!!」
小娘達は何度も私に歯向い、何度も倒される。
いい加減疲れた、早い所ケリを付けちゃいましょう!
「「どりゃーーーーアタイらがいなくなっても悪は不滅だあーー!!!」」
「うおりゃーーーー正義は必ず勝つのよおおおおおおおぉ!!!」
私と小娘達の闘気がぶつかり合い広範囲に渡って爆破を起こす。
大地にヒビが割れ、草木が砂と化し、電撃が周囲を走る。
そして雌雄は決された。
サキュラSIDEーーー
私はこの瞬間感じ取った。
二つの命が朽ちる瞬間を。
「どないしたん?」
トラテツがとぼけた表情で聞いてくる。
「なんでもないわ、早い所潤実を助けに行きましょう」
あえて何があったのかは言わない方が良い、これから厳しい戦いが待っているのだから。
それに、二人のクトゥルフ戦士達の思いは無駄にするわけにはいかない。
私達はインスマスと戦い、インスマスを立ち直らせる為の組織なのだから!
可園彩華SIDEーーー
「クソが!」
喧華のババアが唾を吐きかける。
唾は私に吐きかけられるが正直、避ける力も拭う力も私には残されていなかった。
「あ…姉御…」
葛子の息絶え絶えな声が聞こえる。何処にいんだ?あ、そこか…お前もボロボロにされてんな…。
元々ブサイクだがもっとブサイクになってるぞ…。
アタイもきっとブサイクになってんだろな…。
「あっしは最後まで姉御といれて幸せッス!」
この野郎…最後の最後に泣かせてくれるじゃねえか!
「ああ、アタイもだ…」
私らは残されていない力を振り絞って手と手を触れ合う。
「喜べ葛子…私らは…勝ったんだ、あのババアにボコボコにされても最後まで意地張れた…」
「そうっスね…あっしらの不良魂は…あのババアなんかに打ち砕かれやしないっスよね…」
そうだ、最後の最後まで私らは戦い抜いたんだ…。
一重にアタイがここまで意地張れたのもお前のおかげだ。
アタイ一人のままだったら命乞いして助かろうとしてたかも知れない…いや有り得ないけどな…。
「愛してんぜ…また地獄で会おうや…」
「はい…鬼のいる前でも…盃交わしましょうや…あっしも愛してんぜ…」
そして互いにほほえみ合い、アタイらの意識は途絶えた。
「ですから私インスマスと戦っていて…!」
「何を訳のわからない事言ってるんだ!!」
ああ何を言っても信じてもらえないよ!
今度こそ私の人生はおしまいだ!
私がどれだけ話しても信じては貰えず、そのままパトカーに乗せられる事になった。
「さあ乗れ!」
やや高圧的に警官に乗せられる私。
人生って何が起こるかわからない…子供の頃はきっと素敵なお嫁さんとか、スーパースターになれると信じてきたけどいざ大人になると上手くは行かず自分の理想も打ち砕かれ、地道にならざるを得なくなる。
私は一度殺人を犯した…その時点で本来ならこうなるはずだった…この後サキュラという女の子に助けられてクトゥルフになったんだけど…。
でもね…クトゥルフになって沢山のかけがえの無い思い出は出来た気がする。
ずっとあのままの生活だと意味のないまま、ただ怒られてばかりのまま年を取って意味のない一生で終わったんだから。
でも…もっと素敵な夢見たかった…。
そんな私って贅沢かな?
もうすぐ娑婆ともしばらくはお別れ…。
刑務所ではどんな生活が待っているのか…。
そう思っていながらパトカーに揺られて走っている時の事だった。
目前に大きな物体が横たわっていた。
「全くなんだこれは!通行の邪魔だぞ!!」
パトカーを降りて大きな物体をどかそうと警官達が駆け寄るとその大きな物体が起き上がってきた。
「なんだこれは!??」
熊??違う、鎧を纏っていて豚のような顔にずんぐりとした体型。
『グクク、俺はオーク族のゾリア、その娘貰い受ける!』
娘って私の事?
「くっ、コイツ!」
警官は拳銃を構え発砲する。
オークの図体に警官の発砲した弾がめり込む。
しかしオークは涼しげな顔をして前に一歩出る。
そして大きな斧で一振り。
ズドオン!!
オークの一振りの斧で警官の一人の身体は真っ二つに裂かれ、中身が飛び出した。
「ひっ!」
私はショックで膝を落とした姿勢でそのまま動けなくなる。
「この野郎!」
他の警官も鉄砲を撃ち続け応戦するもいずれもオークの斧の一振りで後の数人の警官の首がはね飛んだ。
「ひ、ひえぇ!」
残りの警官は逃げ出した。
私は膝を落としたまま動けなく、ただその場で震えていた。
オークが手を伸ばした途端私はショックで倒れ込み、そのままオークに何処かに連れ去られた。
ーーーとある岩山の都市。
黄土色の岩山には掘られたように穴が空いている。
人々には入って来れないような地形にあり、下を見れば底知れない谷底。
ちょうどそこにその都市は平然と存在していた。
私が目覚めたのはちょうどその都市のとある広い部屋だった。
私は白い薄手の布を羽織わされ、鎖で宙吊りにされていた。
「ここは…どこなの?」
私はキョロキョロと辺りを見渡す。
その時、電気の灯りが点きだした。
このような所にも電気があるらしい。
『目が覚めたかね?人間…』
太い声がしたかと思うとそこに私達を襲ってきたオークが突っ立っていた。
「ひっ!」
私は一度オークを見て恐怖体験をしたのかその場で固まってしまった。
『敵意は無い、安心しろ』
オークは私をなだめに入る。
『我々は探していた、お前のようなクトゥルフの戦士を…』
オークの温かみのある声で少なくとも私は揺らいだ。
この人は悪い人ではないかも知れない。
それにサキュラやトラテツはこんな私に幻滅してしまい味方になってくれないかも知れない。
だとすると私は今度こそ一人ぼっちだ。
と考えるとオークは何故か泣き出した。
「泣かないで、私で良かったら、話してごらん」
私はオークから話を聞こうと吊るされていながらも話を聞くことにした。
『すまぬ人間よ、我々オーク族は人間から住処を追われ、このような絶壁の岩山に追いやられた、それで我々は人間と戦えるクトゥルフを探していた』
「わ、私は戦う事なんて出来ないよ、インスマスと戦っても勝てなかった…」
『そう言う事ではない』
どう言う事だろう?実力不足の私が人間と戦える条件なんて…。
『お前は隠している…人間への怒りをな…』
怒り…?私は怒ってなんかないよ…そりゃ人として認めて貰えなくて歯痒い気持ちになった事はあるけど。
『我々オークはお前のような悩める娘の味方だ、だから我々につけ、共に人間を殲滅しようじゃないか!』
私はオークに催眠にかかったように新たに人間に向かうクトゥルフとしてオーク側についた。
江戸華喧華SIDEーーー
生意気にも私より半分しか生きていない若造達が私と戦おうとしてくれてるじゃないの。
しかも不良である事を自慢にでもしている。
不良なんて自慢出来る事じゃないわ、ただの人生の落伍者よ。
それもわからない愚かな娘達。
私が思いっきり教育してあげる必要があるようね。
私は愚かな不良達が立ち直れるように指導教育をする事にした。
「行くぜおばさん!!」
彩華と名乗る小娘は二丁のトンファーを手に持って炎を纏いながら私に向かってきた。
ビュンッ!
彩華のトンファーの一振りで私の髪が僅かに切れる。
それだけの威力…当たれば致命にあたるわね。
しかし今の私には貴女の攻撃が見えるわ。
彩華の次の攻撃で私は彼女のトンファーを手で受け止めた。
ニイ…!
彩華が口元を上にあげる。
その時トンファーに凄まじい高温が襲ってきた。
「熱っ!」
私は思わず手を離す。
「アタイは炎の異能を持つクトゥルフ!アタイの触れた物はどんな物も高温にする事が出来る!」
彩華…炎のクトゥルフ…油断ならないわ。
「そりゃ!行くぜババア!!」
彩華は間髪入れずトンファー攻撃を矢継ぎ早に繰り出す。
炎が舞い、私の服が黒く爛《ちぢ》れる。
受け止める事が出来ない、なら避けるしかないようね。
トンファー捌き、素早さ、そして威圧…不良でなかったら貴女は正義の味方として申し分のない逸材だったでしょうね。
しかし彩華、貴女の攻撃は見切ったわ!
私は彩華の攻撃を受け流し、僅かに手の空いた所に拳を入れた。
「ぐはっ!!」
彩華は私の拳で飛ばされ、大地に滑り込む。
ふん、出直してきなさい!
「姉御!てめえ!!」
今度は葛子が歯向かってくる。
彼女はキューティーBUSU、ミラーチェンジという能力の持ち主ね。
だけどミラーチェンジと言う特技なんてここで使う意味なんて無いわよ?
「魔神旋風拳!!!」
葛子は魔神の如く旋風を身に纏って変幻自在な打撃戦を繰り出す。
「やるじゃない、ミラーチェンジで可愛い子と入れ替えて客を集めるだけの卑怯者だと思ってたわ」
私は葛子の太い図体からは想像も出来ない身軽な動きと技のキレに感心を示した。
「ミラーチェンジだけが特技じゃない!私は姉御についていくためにあらゆる拳法を習って会得してきたのだ!!」
だがまだまだね。
「ふんっ!」
私は回し蹴りで葛子を蹴り飛ばした。
向こう側の壁に叩きつけられ、壁はその勢いで崩れる。
「諦めなさい、貴女達ごときに私は倒せない」
私は不良達に睨み、言い聞かせた。
「確かにアタイらじゃお前には勝てないかも知れねえ…」
「だけどここで後には引けねえ!私達は不良なんだ!!」
彩華と葛子は今度は二人がかりで私に向かってきた。
「火炎天烈拳《かえんてんれつけん》」
「雷神マックスブロー!!」
私は矢継ぎ早に小娘達が攻撃してくるのを受け流す。
しかし中々コイツらはチビらないで私に歯向かって来れるわね、その度量がありながら不良なんて勿体ないわよ!
「喧嘩百砲!!!」
私は拳法で纏めて二人を可愛がった。
見事に二人は飛ばされてくれる。
さて、これだけ叩いたら起き上がって来れないわね。
私は二人に歩み寄る。
しかし二人は立ち上がる。
「アタイは負けやしねえ!奈照さんや…仲間達の為にもな!!」
「あっしも負けねえ!姿形が醜かろうと認めてくれる姉御がいるからな!!」
こいつらはゾンビなの?
「上等じゃない!この私が認められないのなら認めるまで調教してやろうじゃないの!!」
「うるせえ!てめえみたいなババア誰が認めるか!!」
「おうよ!顔だけでなく心まで醜いババアにはあっしらの不良道を知られてたまるかってんだ!!」
何処までも生意気な小娘達、ならこの世から消滅させるしか無いようね!!
「ぬおおおぉ!喧嘩千砲!!喧嘩剛圧拳!!魔神旋風脚!!」
私はありとあらゆる奥義で二人を抹殺にかかった。
しかし二人はどれだけ倒しても起き上がる。
これが不良道と言う奴なの?
私の知る不良は怠惰で正義感のカケラもなく、弱い者をいたぶるのだけが生きがいのロクでなしじゃ無かったの!??
「貴女らは何故そうしてまで不良を続けるの!??不良なんてやっててもロクな事なんて無いのよ!」
血だらけ傷だらけになりながらも立ち向かう二人の不気味な小娘に少し狼狽える私。
「そうかもなぁ!だがアタイらは強きを挫き、弱きを助ける不良としてロクでもないルールを破って生きてきたんだ!!」
「不良は悪い奴ばかりじゃねえ!それを姉御は教えてくれた!それに姉御につく不良達もみんないい奴だった!不良はアンタが思ってる程ロクでなしじゃねえんだよ!!」
小娘達は何度も私に歯向い、何度も倒される。
いい加減疲れた、早い所ケリを付けちゃいましょう!
「「どりゃーーーーアタイらがいなくなっても悪は不滅だあーー!!!」」
「うおりゃーーーー正義は必ず勝つのよおおおおおおおぉ!!!」
私と小娘達の闘気がぶつかり合い広範囲に渡って爆破を起こす。
大地にヒビが割れ、草木が砂と化し、電撃が周囲を走る。
そして雌雄は決された。
サキュラSIDEーーー
私はこの瞬間感じ取った。
二つの命が朽ちる瞬間を。
「どないしたん?」
トラテツがとぼけた表情で聞いてくる。
「なんでもないわ、早い所潤実を助けに行きましょう」
あえて何があったのかは言わない方が良い、これから厳しい戦いが待っているのだから。
それに、二人のクトゥルフ戦士達の思いは無駄にするわけにはいかない。
私達はインスマスと戦い、インスマスを立ち直らせる為の組織なのだから!
可園彩華SIDEーーー
「クソが!」
喧華のババアが唾を吐きかける。
唾は私に吐きかけられるが正直、避ける力も拭う力も私には残されていなかった。
「あ…姉御…」
葛子の息絶え絶えな声が聞こえる。何処にいんだ?あ、そこか…お前もボロボロにされてんな…。
元々ブサイクだがもっとブサイクになってるぞ…。
アタイもきっとブサイクになってんだろな…。
「あっしは最後まで姉御といれて幸せッス!」
この野郎…最後の最後に泣かせてくれるじゃねえか!
「ああ、アタイもだ…」
私らは残されていない力を振り絞って手と手を触れ合う。
「喜べ葛子…私らは…勝ったんだ、あのババアにボコボコにされても最後まで意地張れた…」
「そうっスね…あっしらの不良魂は…あのババアなんかに打ち砕かれやしないっスよね…」
そうだ、最後の最後まで私らは戦い抜いたんだ…。
一重にアタイがここまで意地張れたのもお前のおかげだ。
アタイ一人のままだったら命乞いして助かろうとしてたかも知れない…いや有り得ないけどな…。
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