クトゥルフの雨

海豹ノファン

文字の大きさ
76 / 93

イメージ・ゲーム

しおりを挟む
海溝潤実SIDEーーー

悲鳴が功を成したのか、夜空から一筋の光が射す。

「な、あれは!?」

愛羅が見上げたその先はある者が地上に舞い降りて来ていた。

ポニーテールの藍色の髪に鎧を纏い、ペガサスに乗った美しい戦女神が…。

「貴様は蓮香!!」

愛羅が鋭い怒声を上げる。
蓮香…!?あの…ゼウむすの!?

私が見た彼女は神々しく、とても嫌われ者ポジションにあるような女の子には見えなかった。

「海溝潤実、ゼウむすの世界から貴女の様子を見守っていましたよ!」

蓮香は透き通るような声で私に囁きかけた。
その笑顔が眩しい…。

光をたたえたうら若い女性の姿、絵にでも描いたように美しく、凛々しかった。

そして蓮香は剣をかざす。

蓮香ちゃんが剣をかざすと私の前に虎、黒豹、あとギャラ○スのような動物が現れた。

え?蓮香ちゃんの動物って犬の突然変異種のレミとロップイヤーのロピとピカライオンのライよね?
どうして別の動物が?

「この動物達は貴女の出会った動物達の化身です、残念ながら私はこの戦いに干渉する事は出来ません
、しかし貴女ならこの危機を乗り越えられると信じています」

ここはゼウむすワールド!
そうか、ここでは動物を使って戦うのが主流になってるわけか!

私は動物に号令を下した。

「トラテツ!でんげ…ひゃあ!?」

私はトラテツと名付けた虎に電撃を放たせようとしたが触手が勢いよく私を襲い言葉を発するのが困難を極めた。

「あはは!見てなさい!動物を与えても潤実は触手に捕らわれてて命令を発する事さえ出来ないじゃないの!」

愛羅が高らかに笑う。
蓮香はそれを悔しそうに見守る事しか出来ない。

「それしか力を貸せない私をお許しください、私はゼウス様から試練の為に最小限の手助けしか出来ない事を約束されているのです!」

蓮香さんは触手に襲われ命令を発する事が出来ない私に唯々無事を祈った。

虎、黒豹、ギャラ○スは襲われている私を人形のように固まったまま見つめている。

サキュラSIDEーーー

ゼウスの像に手を触れて瞑想に落ちていった潤実が突然ブルブルと身を震わせた。

『どないしたんうるみん!』

ギョロが声を出す。
うるみんはガクンと腰を下ろすと素足にキラキラと光るものが。

(ゼウスのいたずら…ゼウス様は美女に対しては不埒な試練を与えると言うが…)

ケンジさんが声を漏らす。
一体どんな試練を受けているのか?
私は覗こうとしたがゼウスの力が働いて中を覗く事が出来なかった。

しかし潤実の逆上せたような表情、荒い息遣い、滴る汗はどんな目に遭ってるか何となく想像出来た。

「全くお父様ったらまた変ないたずらしているのね!」

その時後ろから女の人の声がした。
私達はその女の人に顔を向ける。

その女性は美しい純白のドレスに身を包んでいてきめ細かい肌に宝石の装飾をあしらい女神と見違う姿をしていたがより特徴的な特徴は潤実が今夢中になっているあの美少女とまるで被っていた。

「あ、貴女様は!?」

ケンジさんも目を見開き、恐るようにひざまつく。
「これ!お前達も膝をつかぬか!」
ケンジさんはゼウスの像に触れ、試練を受けている潤実以外の私達に命じる。

私達はケンジさんに言われたまま女神のようなうら若い女性に膝を付き、礼を交えた。

「顔を上げなさい」

女性は私達にそう言い、私達はようやく顔を上げる。
その女性の姿はあのゼウむすの主人公の蓮香と被っていた。

「アテナ様、お目覚めになりましたか!」

ケンジさんが恐る恐るといった様子で聞く。

「私は向こう側の世界を見ていました、あそこは今大変な事になっています!」

アテナと呼ばれた女性は顔をしかめて伝えた。

そのアテナ、藍色のポニーテール、輝きを灯した瞳に整った顔立ち、透き通った肌と男性がほっとかなさそうな容姿をしていながら、神々しくて触るのも恐れ多いと感じさせるオーラさえ放っていた。

同じような容姿にゼウむすの蓮香と被っているが嫌われ者イメージのいかにも近寄りがたい捻くれた性格の同ポジション、偽りの勇者のベリアルとは似ても似つかない。

まあ似ていると思しき点は近寄りがたさか…?

「この大変な時に何てしょうもない遊びをしているのかしらお父様は!」

そのアテナはほおを膨らませ怒っているがその姿はさっきまでの雰囲気と裏腹に少し愛嬌のようなものを感じた。

意外と感情豊かなのかも知れない。

「あの…海溝潤実と言う少女はお父様から試練を受けているのですが彼女自身ではとても荷が重いような試練を受けています…だからこその試練なのでしょうが…」

アテナは美しい顔を歪ませて私達に伝う。

おそらく試練をクリアしない限りあのままと言う事ね。

「海溝潤実を出してやりたいのですが残念ながら私でも潤実さんの試練に干渉する事は不可能です、そこで貴方達の手助けが必要になります」

アテナは真剣な眼差しに変える。

海溝潤実SIDEーーー
触手から激しく責められる私。
それを瞬きもせずにジーッと見つめる三匹の動物。

そしてクスクスと笑いながら手を組んで見守る愛羅。

悔しそうに見るだけの蓮香…。
「た、助けてえ!私が私でなくなっちゃう!!」

私は悲鳴を上げ続けていた。

『潤実!早く出てきなさい!!』

その声はサキュラ…どこにいるの??

『どんな目に遭っとんか知らんけど地上が大変な事になっとるって!』

そ、それ聞いた…こんな時に急かさないで…。

『海溝潤実様、聞こえますか!??』

ケンジさんね…今の私はとても見せられない…なんかまた獣化しそうだから…なんとなく…。

私は触手に悶えながら向こうから語りかける仲間達の声を聞いた。

『今まで貴女が見ているのは幻覚です!何とかここから脱する手立てはここが幻覚だと念じる事です!』

すると別の若い女性の声が聞こえた。
蓮香ちゃんと声が被ってる気がする。

当の蓮香ちゃんは心なしかしまった!と言う表情をしているように見受けられた。

そうか!私は念じた!ここは幻覚だから何も怖くないと!

するとどうした事だろう…触手が私から離れていく。

その隙に私は矢継ぎ早に動物達に指示を下した。

「トラテツ!ライジングボンバー!!」
「ドッシュ!シャドウハリケーン!!」
「ギョロ!ドラゴンズサイクロン!!」

因みに動物達の名は私と間近に出会い、冒険した動物達だ。
あと技は適当…。

「そ、そんな馬鹿なー…!」

愛羅が姿を消す。
そして蓮香はある者の姿に変わっていった。

『よく試練を乗り越えた…』

「貴方は…!」

蓮香と言う美少女が変えたその姿は立派な体つき、整った顔立ちの壮年の男、藍色の髪はやや長めでわざと荒れたたせている。

半裸の姿だが彫刻の石像のような立派な体つきの為か壮年でありながら仄かな色気を醸し出していた。

『我の名はゼウス、試練を越えたそなたに真のクトゥルフブレイクリーを授けよう!』

そしてゼウス様は私にクトゥルフブレイクリーを授け私の意識を現実に飛ばした。

ーーー

「はっ!?」

私は目覚めた。
私の周りに微かな綿のような光球が…。

「良かった…ゼウスのいたず…試練から乗り越えられたのですね♪」

「蓮香…さん?」

私の目の前に蓮香さんが現れ私に微笑みかけた。

「蓮香…?私はアテナです、ゼウスの娘として遣わされた巫女です」

蓮香…いやアテナと名乗った女性は答えた。

「貴女の体には見違えるように不思議な力に満たされている、おそらく今混沌の元となっている皇帝デジェウスにも太刀打ち出来る事でしょう…しかしデジェウスの力はとてつもなく強大、それでも行くのですか?」

「はい、前世との決着をつけなくてはいけませんから!」

前世のガニメルの記憶を辿り、私は答えた。

「前世…ガニメルね…地上の平和を委ねられるのは貴女しかいません、サキュラさん、海溝潤実、いやガニメルをしっかりサポートしておあげなさい!」

「はい!アテナ様!」

いつも無表情で誰にも媚びないサキュラが恭しくアテナに礼を述べた。

やはり思った通りとてつもない影響力を秘めた人だ…。

「気をつけなされ!」
『無事に帰ってきいよ!』
「ご健闘をお祈りします!」

私はギョロ、ケンジ、そしてアテナ様に見送られ今大変な事になってると言う地上にサキュラと共に戻った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...