クトゥルフの雨

海豹ノファン

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歌よ届け!

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海溝潤実SIDEーーー
歌ったところで貴女とよりを戻せる事は無い…でも私は今まで貴女と共に過ごした事を忘れない…。

そんな時私の前にまたアテナ様が姿を現した。

『私もかつては嫌われていました、歌いなさい…そして胸に刻みなさい…この悲しみを!この思い出を!!』

欠点も落ち度も無いのに嫌われてた子だっている!
私は泣いてちゃいけない!歌うんだ!この苦しみを胸に刻み込んで!!

涙の水面に映る私ー海溝潤実イメージソングー

歌詞:東堂花穂(敬省略)
*甘茶の音楽工房素材曲に歌詞付け。

ポチャン 水面はMIRROR
ポチャン 映し出すHEART
ポチャン 見つめれば裏の裏
ポチャン 正義さえ悪となる

規則的な水の音
変わらない水の音
壊したくなかったのに
ポチャン 引きずり込まれるように


水面が揺らいだ 降り注ぐ雨音
水面を叩いた 私だけの雨
歪み切ったMIRROR きっともう何も映さないけど
ポチャン それでいいって思えたんだ♪

ーーー

これは私が曲を聴いて気に入った音楽素材の曲をファンの方に歌詞付けしていただいて私が歌うようになった曲の一つだ。

私はこれから強くなるという意志を込めて…そして思い出を忘れないという気持ちを込めてこの歌を歌う。

するとどうだろう…サキュラをいじめていた女子達はうっとりとして眠りに落ちた。

そしてサキュラはぼそっと一言。

「この歌声は…心が洗われるかのよう…誰が歌っているの?」

私の歌声…ひょっとして船中に聴こえてるの?
アテナは耳打ちする。

『サキュラさんが貴女の姿を確認するまではこのまま歌い続けるのです、私はこの姿を具現化しサキュラさんにも見えるように致します』

アテナは念仏のような言葉を唱える。

アテナ様はサキュラに見えるように姿を具現化させる。

「アテナ…様!?」

サキュラはアテナの姿を確認するや、やや表情が固まる。

私を皆と一緒に責めててアテナ様に聞かれたのを躊躇しているのかな?

ちょっとショックだったけど大丈夫、私はこうして歌ってる!

「お久しぶりですサキュラ様、貴女がたの健闘を影ながら見守っておりました!」

一方のアテナは何事も無かったかのように振舞ってサキュラに述べる。

「サキュラさん…貴女も女子達から聞かされた通り海溝潤実様はデジェウスに捕らえられ、アトランテォスの原動力と生贄にされてしまいました…」

「………」

サキュラは無言のまま俯き、彼女の話をただ聞いている。

ただ、アテナ様の前で正座して足の太ももに引っ付けたその二つの手が強く握られている事から、とある感情がサキュラを襲っている事が見てとれた。

「でも魂のみとなった海溝潤実は今私達の前にいます」

「…え…」

サキュラは上を見上げ、彼女にしては珍しく間の抜けた表情をアテナや私に見せた。
それで、手の力が緩んでいるのが見えた。

心は読めても霊《見えないもの》は見えるなんて事は無かったんだ…。

「私の手に触れると霊が見えるはず…さあサキュラ様…私の手に触れてごらんなさい…」

アテナ様は少し微笑をサキュラに見せ、手をさしのべる。

手に触れると霊が見える…やはりこの人は蓮香ちゃん…子供の時から霊が見えてて、兄の陽輝にはそれで避けられる事もあったようで気の毒な事もあったけどそれで人の役に立てた事もあったんだよね蓮香ちゃん…。

サキュラは恐る恐るアテナ様の手に触れる。

「潤実…」

サキュラは私の姿を確認出来たようで、また体が固まっているのが見えた。

「サキュラ…私は気にしてないから安心して…私の方こそいっぱい迷惑かけてごめんね…それで、最後のわがまま聞いて欲しいの…」

私はサキュラに船の一部となって知った事をサキュラに話した。

それは人の運命を変えてしまう「バアルの書」が船内のいずこかにあって、それが私の過ごしてきた半生に悪影響を及ぼしているという事だ。

私はその事実を知って少なくとも戦慄は覚えたが、どうりでと納得も出来た。

そのバアルの書を書き直し、私を救って欲しいと言うもの…もっとも、それを実行するとなんらかのリスクが発生するそうだけど…。

私は唾を飲み込んでサキュラに一つ一つを語った。
 
デジェウスSIDEーーー

部下が捕らえてきた海溝潤実を手足を広げ拘束し、その苦しむ様をいたぶって楽しんでいた。

しかし海溝潤実は「思い通りにはならない!」となおも反発しだす。

ずっと玩具にし、使い物にならなくなるまで弄んでおこうと思ったが、自分を美少女だと思って驕る奴はこうだからいかん!

こいつはもう「アトランテォス」の生贄にしてしまおうとかかってあるロックを解除した。

するとアトランテォスは待ってましたと吸入針を出現させて女の体の至るところにぶち刺し、女の血を吸い取り生命力を吸っていく。

ワシに楯突くからこうなるのだとシクシク泣き出す海溝潤実を見て悦びに浸り高見の見物をしていたのだが何をとち狂ったのか、海溝潤実は突然歌いだした。

この女突然歌いおって!?冥土に旅立つ前に未練を残さぬようにと歌っておるのか?

まあそれも良かろう…思う存分歌うが良い…。

しかしこれは一体何の歌だ?
心が洗われるような…。

赤ん坊の頃を思い出す…。
人は誰でも無邪気だった時代がある、ワシも例外では無く母親に甘えていた時期があった。

その時に歌ってもらった歌声がなんとなく似ている気がする。

ワシは何をやっていたんだろうな…。

ワシに一時気の迷いが生じた。
これでは皇帝失格じゃ…。

ワシは再びロックをかけようと手を伸ばした。

その時扉がバァンと開いたと思ったら一人の若造が乗り込んで来てワシに啖呵を切りだした。

「見つけたぞデジェウス!!か弱い女の子をこんな目に遭わせやがって!このドッシュが生かしちゃおけねえ!覚悟しろ!!!」

ドッシュと名乗った若造は棒を構え激しい怒気を纏いてワシに刃向かおうとする。

ワシはロックしようとした手を離し若造の相手をする事にした。

「ふん、青二才がワシに向かおうと言うのか…良かろう相手になってやる!!」

コイツは見たところ猫のインスマス…猫のインスマスは身軽で身体能力は高い…しかし知性はあまり高く無く適応能力にやや劣ると聞く。

まあ良い、ワシに喧嘩を売って来た以上無事では済まんという事を思い知らせてやろう。

これまでそのようなやり方で皇帝の座を奪ったのだ。

ガニメルとて例外では無い。

「喰らえぇ!シャドウガイスト!!」

ドッシュは黒いモヤを発生させて目くらましを行う。

「甘いわ!スキルミュート!!」

ワシは手を突き出しスキルを発動、するとドッシュの放った黒い煙はたちまち消えていった。

「ぐあっ!!」

ドッシュはワシの掌底に突き飛ばされるが一回転し、身軽に着地した。

「やるじゃねえか!」

ドッシュは笑みを浮かべて立ち上がる。
フン、ハッタリを。

「忍法影分身!!!」

ドッシュは自分を数体に見せてワシに仕掛けてくる。

そうか、この男の技の真髄それは相手からの攻撃を削ぎ闇討ちすると言う影の力を持つ異能《インスマス》。

何体もの数のドッシュが棒での攻撃を矢継ぎ早に仕掛けて来る。

ワシは一発二発のドッシュからの攻撃を避け一体目のドッシュを蹴り飛ばす。

「うぐぅ!」

蹴り飛ばされたドッシュの体は潤実にぶち当たる。
潤実を刺していた先端が更に奥に刺し込まれ潤実は喘ぎだす。

こんな所で戦っているとこの娘は…いや何考えてるんだこんな小娘の為に…。

「おおおぉ!!」

更にもう一体のドッシュが 儂めがけて足を踏み込みながら棒で激しくスイングする。

間一髪の所で避けもう一体のドッシュがジャンプして棒を振り下ろす。

それも左に躱し、儂に躱され尚も風を切るように振り下ろされる棒はもう一体のドッシュに当たり、そのドッシュは消滅した。

一方潤実は頭《こうべ》を項垂らせたまま何も語らず、声も出さずにいる。

こやつついに生命力を吸い尽くされたか?
いや、よく見るとこの女の体から蒸気が。

苦しみもがいた挙句びっしょりとかいた脂汗が蒸気となって上に上がっているのか?
いやこれは蒸気では無い!

奴の異能だ!
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