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妹と兄
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デジェウスSIDEーーー
儂は生意気なドッシュと言う若造の息の根を止めに向かったが思わぬ邪魔が入った。
その対象は見目麗しき婦人、しかし奴から溢れる闘気は恐怖を覚える程であり、そいつは鋭い目線で儂を射抜くように睨んでいた。
しかしその藍色の髪にその顔立ちに儂は見覚えがあった。
「久しぶりだなぁ!破壊の巫女!!」
儂はその破壊の巫女を威圧仕返さんと立ち上がり、闘気を放った。
「破壊の巫女…そう言われていた時期もありましたね」
しかし目前の破壊の巫女は怯みもせずにその華奢な身体からは想像も出来ない程の巨大な威圧のオーラを放ち続けている。
ゴオオオオオォ……。
儂と破壊の巫女の周りは風が吹き荒れ、小さな雷が走り、空間が歪む。
互いに威圧のオーラを放ち周囲に近づく者はいかなる者でも恐怖に怯え、虫もネズミも入る余地を許さない。
儂とアテナは互いを怯ませようと最大出力の闘気を放つ。
「くああぁ!!!」
儂は破壊の巫女、アテナに負けじと闘気を放って見せる。
しかしアテナはそれをカウンターにして返すかの如く大きな闘気で跳ね返す。
「無駄です、貴方と私とでは経験が違い過ぎる」
アテナは澄ました顔でそう言い放ってきた。
「経験だと!?嫌われ者が…妹が!経験の値でこの皇帝デジェウスに勝る筈が無い!!!」
しかし自分でも気付かない内に自身に異変が起こり始めていた。
儂の足に装着している足当てがコツコツと鳴る。
む?な、何だ…?
馬鹿な!儂の足が震えている!?
「な、何だと!?この儂の足が震えている…!?」
儂は自分でもわからない内に足が震えていた。
妹に闘気で押されたと言うのか!?
「デジェウス、これが恐怖と言うものです」
アテナは鎧の更に上に闘気と言う名の鎧を纏い鋭く言い放つ。
恐怖だと!?儂は認めん!
「儂は認めんぞ!お前などに闘気で押されるなど!!」
どれだけ威圧を放ってもアテナはビクともしない。
過去のアテナからは想像も出来ない…しかし心のどこかで儂は悟っていた。
儂とアテナの違いを…。
アテナは幼き頃から嫌われ者だった。
破壊の巫女と恐れられていた所以に集団虐待を受け、親でさえ冷たい目線でアテナを見下ろし、いじめを受けたとアテナが訴えてもいじめられるのが悪いと冷たくあしらう始末。
儂はアテナとは逆で周囲にもてはやされ、何かしら恩恵を受け、親からも妹と見比べて賞賛される事が多かった。
逆に言えば儂は甘やかされていた。
アテナは自分だけ傷つけば良いと日々耐え忍び、この兄の目を持ってしても気付かぬ間に周囲に打ち勝つ負けん気と如何なる猛獣も怯ませてしまう程の威圧感を身につけてしまっていた。
アテナ程どれだけ傷つけられても気高い精神を保ち続けようとすると普通の人間ならばどこかで精神に支障をきたし、崩壊してしまう。
しかし崩壊するどころか精神を鍛えて抜かれたのは「巫女」たりえる精神力か。
「くそうっ!こうなったら武力行使で貴様の息の根を止めてやる!!!」
儂は脅しでは無く、本気でアテナの息の根を止めようとめがけた。
儂は闘気を衝撃波と化《か》せ、アテナを吹き飛ばそうと放つ。
しかしアテナは闘気と言う鎧で退きもせず、傷つくのを恐れず儂に歩む。
「言ったはずです!貴方と私とでは経験が違うと!
!」
「ほざけ!!」
華奢な体型に巨大な闘神を備えたアテナにありったけの豪腕を振るう。
その時アテナの背後に獣のような存在がアテナを守るように現れる。
「!!!」
その時激しい電撃を喰らい腕に火傷を負ってしまう。
「なっ!奴はピカライオン!!」
なんとピカライオンがアテナを守るように宙に浮いていた。
そしてアテナは手を儂に向かい突き出す。
「うぐぐ…!?これは念力…!?」
その時アテナの肩には犬の突然変異種がピンク色の煙のような気を揺らめかせ乗っていた。
「ぐわあっ!?」
儂はアテナに念力で宙に放り投げられる。
「なっ!お前は…!」
儂は更に白い煙で覆われたロップイヤーを目にする。
ロップイヤーは耳を巨大化させ、儂の全身を激しく叩きつける。
儂の210cmの体躯に105キロの体重をもバレーボールを打ち付けるかの如く打ち落としてしまうロップイヤーの巨大な耳。
儂は大地に着地をとるが勢いが強く、着地した足がビリビリと振動を伝い、足が地にのめり込む。
アテナの周囲には彼女と共に戦ったとされる「強敵《とも》」の姿が幻影となって現れていた。
「諦めなさい、勝負は既に見えている」
アテナは勝ち誇ったように儂を見下ろす。
儂は一時悔しさを覚え歯ぎしりをするが儂にはアテナには無いものを持っている事にすぐさま気づいた。
なんだ、ごく簡単な事ではないか。
今までの経験で彼女と儂との徹底的な違いに何故これまで気づかなかったのか…?
いやとうに気づいていた。
しかしアテナの威圧に少なからず押されて思考が狭くなっていただけのことだ。
アテナには威圧で押しても実力で押してもビクともせず逆にアテナは何もせずとも威圧でこの皇帝デジェウスをも怯ませてしまう程の凄みがある。
そう言った面では確かにアテナが上であろう。
しかし儂とアテナを比べてもアテナには絶対勝てないものが儂にはある。
それは…。
「うわあん!うわあん!!」
儂は大声で船中を轟かせるかの如く泣き喚いてみせた。
「泣き落とそうとしても無駄です!」
アテナはすわった目付きで儂を見下ろし剣を抜き出す。
しかしアテナよ、今に儂とお前の徹底的な違いを思い知る事になろう!
「如何なさいましたデジェウス様!!」
すぐさま部下達が泣き喚く儂の元に駆け寄ってくる。
「女!貴様!!」
部下達は剣を握りしアテナを見るや武器を構えて威嚇する。
「この女が儂の命を狙っている!捕まえてくれ!!」
儂はビクビクと怯えるフリをしてアテナを捕らえるように部下に命ずる。
「女!貴様っ!!」
鋭い剣幕でアテナを捕らえる優秀な兵士達。
「くっ!デジェウスっ卑劣なり!!」
アテナは複数の部下に異能で縛りつけられ、身動きを取れなくされる。
「ふははっ!お前がどうあがいても儂にたどり着けないもの、それは「人脈」なり!!」
そう、アテナが儂に敵わないもの、それは人を従える能力、人脈だ!!
儂が泣けば部下が駆けつけてくれる、おねだりをすれば何でも買って貰える、危機に瀕すれば命懸けで助けてくれる。
それはアテナがどれだけ求めても叶わなかったものだ。
実力はあっても人脈のないアテナはもぬけの殻も同然!
アテナはそのまま部下に捕らえられ制裁を加えられる事になった。
儂は生意気なドッシュと言う若造の息の根を止めに向かったが思わぬ邪魔が入った。
その対象は見目麗しき婦人、しかし奴から溢れる闘気は恐怖を覚える程であり、そいつは鋭い目線で儂を射抜くように睨んでいた。
しかしその藍色の髪にその顔立ちに儂は見覚えがあった。
「久しぶりだなぁ!破壊の巫女!!」
儂はその破壊の巫女を威圧仕返さんと立ち上がり、闘気を放った。
「破壊の巫女…そう言われていた時期もありましたね」
しかし目前の破壊の巫女は怯みもせずにその華奢な身体からは想像も出来ない程の巨大な威圧のオーラを放ち続けている。
ゴオオオオオォ……。
儂と破壊の巫女の周りは風が吹き荒れ、小さな雷が走り、空間が歪む。
互いに威圧のオーラを放ち周囲に近づく者はいかなる者でも恐怖に怯え、虫もネズミも入る余地を許さない。
儂とアテナは互いを怯ませようと最大出力の闘気を放つ。
「くああぁ!!!」
儂は破壊の巫女、アテナに負けじと闘気を放って見せる。
しかしアテナはそれをカウンターにして返すかの如く大きな闘気で跳ね返す。
「無駄です、貴方と私とでは経験が違い過ぎる」
アテナは澄ました顔でそう言い放ってきた。
「経験だと!?嫌われ者が…妹が!経験の値でこの皇帝デジェウスに勝る筈が無い!!!」
しかし自分でも気付かない内に自身に異変が起こり始めていた。
儂の足に装着している足当てがコツコツと鳴る。
む?な、何だ…?
馬鹿な!儂の足が震えている!?
「な、何だと!?この儂の足が震えている…!?」
儂は自分でもわからない内に足が震えていた。
妹に闘気で押されたと言うのか!?
「デジェウス、これが恐怖と言うものです」
アテナは鎧の更に上に闘気と言う名の鎧を纏い鋭く言い放つ。
恐怖だと!?儂は認めん!
「儂は認めんぞ!お前などに闘気で押されるなど!!」
どれだけ威圧を放ってもアテナはビクともしない。
過去のアテナからは想像も出来ない…しかし心のどこかで儂は悟っていた。
儂とアテナの違いを…。
アテナは幼き頃から嫌われ者だった。
破壊の巫女と恐れられていた所以に集団虐待を受け、親でさえ冷たい目線でアテナを見下ろし、いじめを受けたとアテナが訴えてもいじめられるのが悪いと冷たくあしらう始末。
儂はアテナとは逆で周囲にもてはやされ、何かしら恩恵を受け、親からも妹と見比べて賞賛される事が多かった。
逆に言えば儂は甘やかされていた。
アテナは自分だけ傷つけば良いと日々耐え忍び、この兄の目を持ってしても気付かぬ間に周囲に打ち勝つ負けん気と如何なる猛獣も怯ませてしまう程の威圧感を身につけてしまっていた。
アテナ程どれだけ傷つけられても気高い精神を保ち続けようとすると普通の人間ならばどこかで精神に支障をきたし、崩壊してしまう。
しかし崩壊するどころか精神を鍛えて抜かれたのは「巫女」たりえる精神力か。
「くそうっ!こうなったら武力行使で貴様の息の根を止めてやる!!!」
儂は脅しでは無く、本気でアテナの息の根を止めようとめがけた。
儂は闘気を衝撃波と化《か》せ、アテナを吹き飛ばそうと放つ。
しかしアテナは闘気と言う鎧で退きもせず、傷つくのを恐れず儂に歩む。
「言ったはずです!貴方と私とでは経験が違うと!
!」
「ほざけ!!」
華奢な体型に巨大な闘神を備えたアテナにありったけの豪腕を振るう。
その時アテナの背後に獣のような存在がアテナを守るように現れる。
「!!!」
その時激しい電撃を喰らい腕に火傷を負ってしまう。
「なっ!奴はピカライオン!!」
なんとピカライオンがアテナを守るように宙に浮いていた。
そしてアテナは手を儂に向かい突き出す。
「うぐぐ…!?これは念力…!?」
その時アテナの肩には犬の突然変異種がピンク色の煙のような気を揺らめかせ乗っていた。
「ぐわあっ!?」
儂はアテナに念力で宙に放り投げられる。
「なっ!お前は…!」
儂は更に白い煙で覆われたロップイヤーを目にする。
ロップイヤーは耳を巨大化させ、儂の全身を激しく叩きつける。
儂の210cmの体躯に105キロの体重をもバレーボールを打ち付けるかの如く打ち落としてしまうロップイヤーの巨大な耳。
儂は大地に着地をとるが勢いが強く、着地した足がビリビリと振動を伝い、足が地にのめり込む。
アテナの周囲には彼女と共に戦ったとされる「強敵《とも》」の姿が幻影となって現れていた。
「諦めなさい、勝負は既に見えている」
アテナは勝ち誇ったように儂を見下ろす。
儂は一時悔しさを覚え歯ぎしりをするが儂にはアテナには無いものを持っている事にすぐさま気づいた。
なんだ、ごく簡単な事ではないか。
今までの経験で彼女と儂との徹底的な違いに何故これまで気づかなかったのか…?
いやとうに気づいていた。
しかしアテナの威圧に少なからず押されて思考が狭くなっていただけのことだ。
アテナには威圧で押しても実力で押してもビクともせず逆にアテナは何もせずとも威圧でこの皇帝デジェウスをも怯ませてしまう程の凄みがある。
そう言った面では確かにアテナが上であろう。
しかし儂とアテナを比べてもアテナには絶対勝てないものが儂にはある。
それは…。
「うわあん!うわあん!!」
儂は大声で船中を轟かせるかの如く泣き喚いてみせた。
「泣き落とそうとしても無駄です!」
アテナはすわった目付きで儂を見下ろし剣を抜き出す。
しかしアテナよ、今に儂とお前の徹底的な違いを思い知る事になろう!
「如何なさいましたデジェウス様!!」
すぐさま部下達が泣き喚く儂の元に駆け寄ってくる。
「女!貴様!!」
部下達は剣を握りしアテナを見るや武器を構えて威嚇する。
「この女が儂の命を狙っている!捕まえてくれ!!」
儂はビクビクと怯えるフリをしてアテナを捕らえるように部下に命ずる。
「女!貴様っ!!」
鋭い剣幕でアテナを捕らえる優秀な兵士達。
「くっ!デジェウスっ卑劣なり!!」
アテナは複数の部下に異能で縛りつけられ、身動きを取れなくされる。
「ふははっ!お前がどうあがいても儂にたどり着けないもの、それは「人脈」なり!!」
そう、アテナが儂に敵わないもの、それは人を従える能力、人脈だ!!
儂が泣けば部下が駆けつけてくれる、おねだりをすれば何でも買って貰える、危機に瀕すれば命懸けで助けてくれる。
それはアテナがどれだけ求めても叶わなかったものだ。
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