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第一章
(あらゆる意味で)出会い④
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(服装、服……どんなだっけ……)
消えたことに安堵して本当にぼんやりしか覚えてない。
(女の人だったよね。綺麗な人っていうのは何となく、雰囲気でだけど……髪の毛は肩甲骨くらいで、うん。揺れてたから覚えてる……じゃあ、服は……)
ワンピース? いや違う、腰のところがダボついてたから、多分上と下で分かれてた。
スカートだ。ひざ丈のスカート。
でもスカートの色は分からない。
暗くて分からないってことは……多分、濃い色のものだったと思う。
上、上の輪郭はどうだった?
もう一度見た記憶を掘り起こす。
―確か……明るい色だった。
どんな色? 赤? いや違う。オレンジじゃない、もっと赤に近い……。
「……ピンクの、カーディガン?」
ぽつりと口にした途端、布里谷くんの動きが止まる。
「ピンクのカーディガン、ですか?」
「多分だけど、そういう感じの着てたと思う。あとひざ丈のスカートかな。こっちは暗い色だと思うんだけど……どうかした?」
「ああいや……その」
何故か布里谷くんの歯切れが悪い。
黙って返事を待っていると、しばらくして言い辛そうに再び口を開いた。
「えっと……ですね。バイト先でもあんまり話さないんで、ちょっと定かじゃないんですけど……」
「うん」
「……多分、ですけど。バイト先にそういう、ピンクのカーディガン着てる人が居ます」
「えっとー、バイト先ってコンビニだよね?」
「はい。偶にシフトが被る人……だとは思うんですけど」
それにしてはあまり自信が無さそうだ。
心なしか口もへの字になっている。
「そ、そんなに喋ったことないの?」
「あんまりですね。必要なことは喋るんですけど……さっき絡まれることが多いって話、覚えてます?」
「え? あ、ああ。うん。え、バイト先の人もなの?」
「はい」
あっさり言う割には言葉に困惑が滲んでいる。
(ひょっとして布里谷くん、人運もない?)
「えっと、絡まれる~って具体的に……どんな?」
「……色々ですね。喧嘩売ってんのかとか、怪しいバイトに興味ないかとか。連絡先を教えて欲しいって言う人も居ましたし、ストレートに付き合って欲しいって言ってくる人も居ました。バイトの人もお客さんも、あと全然知らない人とか通行人もですけど」
予想以上に絡む人が多くてビックリしてしまった。
「な、何というかそれは……災難だねぇ……」
「なんで、普段からあんまり必要最低限しか喋らないようにしてます」
「そりゃそうするしかないかぁー。にしても、本当に絡まれやすいんだね……」
(普段から人との関わりを避けてるなら、ぼんやりしか覚えてないよね……)
納得しながらも、その『ピンクのカーディガンの女性』が気になって来た。
布里谷くんが普段からあまり人と絡まないなら、何故その人は布里谷くんに憑いたのだろう……。
「……ねぇ」
―ぐう~。
消えたことに安堵して本当にぼんやりしか覚えてない。
(女の人だったよね。綺麗な人っていうのは何となく、雰囲気でだけど……髪の毛は肩甲骨くらいで、うん。揺れてたから覚えてる……じゃあ、服は……)
ワンピース? いや違う、腰のところがダボついてたから、多分上と下で分かれてた。
スカートだ。ひざ丈のスカート。
でもスカートの色は分からない。
暗くて分からないってことは……多分、濃い色のものだったと思う。
上、上の輪郭はどうだった?
もう一度見た記憶を掘り起こす。
―確か……明るい色だった。
どんな色? 赤? いや違う。オレンジじゃない、もっと赤に近い……。
「……ピンクの、カーディガン?」
ぽつりと口にした途端、布里谷くんの動きが止まる。
「ピンクのカーディガン、ですか?」
「多分だけど、そういう感じの着てたと思う。あとひざ丈のスカートかな。こっちは暗い色だと思うんだけど……どうかした?」
「ああいや……その」
何故か布里谷くんの歯切れが悪い。
黙って返事を待っていると、しばらくして言い辛そうに再び口を開いた。
「えっと……ですね。バイト先でもあんまり話さないんで、ちょっと定かじゃないんですけど……」
「うん」
「……多分、ですけど。バイト先にそういう、ピンクのカーディガン着てる人が居ます」
「えっとー、バイト先ってコンビニだよね?」
「はい。偶にシフトが被る人……だとは思うんですけど」
それにしてはあまり自信が無さそうだ。
心なしか口もへの字になっている。
「そ、そんなに喋ったことないの?」
「あんまりですね。必要なことは喋るんですけど……さっき絡まれることが多いって話、覚えてます?」
「え? あ、ああ。うん。え、バイト先の人もなの?」
「はい」
あっさり言う割には言葉に困惑が滲んでいる。
(ひょっとして布里谷くん、人運もない?)
「えっと、絡まれる~って具体的に……どんな?」
「……色々ですね。喧嘩売ってんのかとか、怪しいバイトに興味ないかとか。連絡先を教えて欲しいって言う人も居ましたし、ストレートに付き合って欲しいって言ってくる人も居ました。バイトの人もお客さんも、あと全然知らない人とか通行人もですけど」
予想以上に絡む人が多くてビックリしてしまった。
「な、何というかそれは……災難だねぇ……」
「なんで、普段からあんまり必要最低限しか喋らないようにしてます」
「そりゃそうするしかないかぁー。にしても、本当に絡まれやすいんだね……」
(普段から人との関わりを避けてるなら、ぼんやりしか覚えてないよね……)
納得しながらも、その『ピンクのカーディガンの女性』が気になって来た。
布里谷くんが普段からあまり人と絡まないなら、何故その人は布里谷くんに憑いたのだろう……。
「……ねぇ」
―ぐう~。
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