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第二章
居酒屋『灯龍』にて①
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「おかえ~……あら?」
「ただいまぁ。はい、酔い覚まし」
こちらを振り返ったと同時にちりんと耳飾り(ピアスより耳飾りって言った方が店長っぽい)が揺れて、肩甲骨を少し過ぎたポニーテールが跳ねた。
中性的な店長は不思議そうな顔すら綺麗だ。
「ああ、ありがとね。そちらは?」
「お客さん~。連れて来ちゃった。お腹減ってるから色々注文してもいーい?」
「もちろん!! いらっしゃい、いっぱい食べていってね」
「っす」
店長はにこりと微笑み、布里谷くんは小さく頭を下げた。
私が手渡した酔い覚ましを手に、店長は三席しかない座敷へと向かう。
そして内一つに横たわったカザリさんの肩を叩いて、声をかける。
「ほらカザリさん、酔い覚まし! 未琶子ちゃんに感謝するんだよ」
「ゔ~……すまぁん……」
テーブルの向こうにひっくり返っているカザリさんが片手を上げたようだった。
手首のところで曲げた片手は力ないススキみたいな揺れ方をしている。
「いいよ~。大丈夫?」
「だい、だ……だぷん」
「え、胃の中の音?」
カザリさんが静かになったので、カウンター席へと座った。
『失礼します』と言ってから、布里谷くんも私の隣に腰掛けた。
「メニューはそこにあるから、決まったら教えてくださいね。黒板のもオススメです。あ、お任せでも良いですよ!」
「ありがとうございます」
店長もカウンターの中へと戻って来て、まな板の前に立った。
ぺらぺらとメニューをめくっていた布里谷くんだけれど、メニュー表の中を行ったりきたりしている。
選んでいるというより確認しているような手つきだ。
「あれ、どうかした?」
「あ、いや。ページごとに料理のジャンルが違うんだなって」
「すごいよねぇ。あ、それおいしいよ」
和風の欄にある大根の出汁天ぷらを指差すと、おお……と感嘆の声が上がった。
「あ、もちろん布里谷くんが好きなもん注文して良いからさっ」
「マジで良いんすか?」
「うん! 女に二言は無いよ~っと。あ、その前に飲み物は何にする? 一番後ろにあるんだけども」
「……ええと。じゃあ」
布里谷くんはメニュー表の中からコーン茶を選んだ。
ついでだし私も一緒に頼むことにする。
「うんうん。店長~コーン茶といよかんサワーくーださいっ」
「はーい。こちらお通しです」
伝票に注文を書き込みながらも、布里谷くんの前にはポテトサラダが出てきた。
……あれ、ポテトサラダ?
「あれ? 今日ってポテトサラダだっけ?」
「お腹減ってるって言ったでしょ? だから~」
「んふふサービス精神旺盛だ~!」
「あ……どうも」
「いえいえ。ご飯も食べます? さっと出せるヤツだったら、四角で囲んだとこの料理ならすぐ出せますよ」
「ただいまぁ。はい、酔い覚まし」
こちらを振り返ったと同時にちりんと耳飾り(ピアスより耳飾りって言った方が店長っぽい)が揺れて、肩甲骨を少し過ぎたポニーテールが跳ねた。
中性的な店長は不思議そうな顔すら綺麗だ。
「ああ、ありがとね。そちらは?」
「お客さん~。連れて来ちゃった。お腹減ってるから色々注文してもいーい?」
「もちろん!! いらっしゃい、いっぱい食べていってね」
「っす」
店長はにこりと微笑み、布里谷くんは小さく頭を下げた。
私が手渡した酔い覚ましを手に、店長は三席しかない座敷へと向かう。
そして内一つに横たわったカザリさんの肩を叩いて、声をかける。
「ほらカザリさん、酔い覚まし! 未琶子ちゃんに感謝するんだよ」
「ゔ~……すまぁん……」
テーブルの向こうにひっくり返っているカザリさんが片手を上げたようだった。
手首のところで曲げた片手は力ないススキみたいな揺れ方をしている。
「いいよ~。大丈夫?」
「だい、だ……だぷん」
「え、胃の中の音?」
カザリさんが静かになったので、カウンター席へと座った。
『失礼します』と言ってから、布里谷くんも私の隣に腰掛けた。
「メニューはそこにあるから、決まったら教えてくださいね。黒板のもオススメです。あ、お任せでも良いですよ!」
「ありがとうございます」
店長もカウンターの中へと戻って来て、まな板の前に立った。
ぺらぺらとメニューをめくっていた布里谷くんだけれど、メニュー表の中を行ったりきたりしている。
選んでいるというより確認しているような手つきだ。
「あれ、どうかした?」
「あ、いや。ページごとに料理のジャンルが違うんだなって」
「すごいよねぇ。あ、それおいしいよ」
和風の欄にある大根の出汁天ぷらを指差すと、おお……と感嘆の声が上がった。
「あ、もちろん布里谷くんが好きなもん注文して良いからさっ」
「マジで良いんすか?」
「うん! 女に二言は無いよ~っと。あ、その前に飲み物は何にする? 一番後ろにあるんだけども」
「……ええと。じゃあ」
布里谷くんはメニュー表の中からコーン茶を選んだ。
ついでだし私も一緒に頼むことにする。
「うんうん。店長~コーン茶といよかんサワーくーださいっ」
「はーい。こちらお通しです」
伝票に注文を書き込みながらも、布里谷くんの前にはポテトサラダが出てきた。
……あれ、ポテトサラダ?
「あれ? 今日ってポテトサラダだっけ?」
「お腹減ってるって言ったでしょ? だから~」
「んふふサービス精神旺盛だ~!」
「あ……どうも」
「いえいえ。ご飯も食べます? さっと出せるヤツだったら、四角で囲んだとこの料理ならすぐ出せますよ」
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