（大体）400文字ショート

日常系ファンタジー

【日常系ファンタジー】祭りの幻日⑨

「う……うん」

何だかゲームの中の、すごく大切な選択肢みたいで心臓がバクバクしていた。
でもゲームじゃなくて実際に起きてることだから、だんだん不安になってきた。
（ひょっとしたら、た……食べられちゃうのかな？）
頭の中で何となくそんな気がして、手にじっとりと汗がにじんできた。
（……怖い）
そう思ったら息がうまく吸えなくなって涙も出てくる。
一生懸命涙を拭って息を吸おうとしてると、お姉さんは慌てて駆け寄って来た。

「まあまあ！　大丈夫？　怖くないのよ？」
「だ、だっで……」
「ああ、ごめんね。ええと……絶対確認しなきゃいけないことなの。とっても、とっても大切なことだから」
「うﾞ……」
「よしよし。大丈夫よ。ちゃんと帰してあげるからね」

お姉さんはぎゅうっと抱きしめてくれた。そのまま赤ちゃんみたいに頭も撫でられる。
おばあちゃんとおじいちゃん以外の人に初めて抱きしめられたから、僕はびっくりしてしまった。

「わ」
「さあ、行きましょう。お母さんとお父さんも心配してるわ、きっと！」
「あ……」