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第122話「女性特有の母性本能が芽生える条件と社会的地位の高低差における幼児退行性の差異に関する授業②」
しおりを挟む「【赤ちゃんプレイ】のレベル2。今話したレベル1とは大きな差異がある。レベル1は精神的負担からの解放を目的として母性を求めているのに対して、レベル2はある種その真逆とも言える目的を持っている。…僕が何を言わんとしているか、もうみんなはわかってるよねー。」
両手の人差し指を立て、顔の前で広げてみせる先生。
「勿論、性欲の発散さ。レベル1で挙がった様々な例、男の嫉妬や、木梨さんが言っていた【母親性愛】や非モテ男性たちの寂寥の念が、性癖を歪ませた結果だろうねー。」
「うへぇー」
木梨さんが頬杖をついて不快そうに舌を出す。
「そしてこの性癖は、他の性癖をも併発させる。【NTR】の時にも話したけど、“女性よりも優位な立場にある”というのが男性の根底に遺伝子レベルで染み付いている思想だ。この【赤ちゃんプレイ】はそんな思想に反した性癖であり、自分よりも下であるはず者から離れられない、甘えずにはいられないという矛盾行動が、自分よりも弱い者に屈したことによる性的興奮と錯覚し、【被虐性愛】への道を開くことも多いと聞く。実際、近年ではM性感も【赤ちゃんプレイ】に特化したサービスを取り入れている店が増えてるしねー。」
高校生にしていい話じゃねぇだろ。
「精神的負担の解放から性欲の発散へ発展する原因はなんでしょうか?」
まりあ様からの積極的な質問。
どんだけ素敵すぎるんだこの人は。
「いい質問だ、心音さん。レベル1からレベル2へ、精神負担から性欲へと発展するきっかけ、原因は独占欲さ。」
「独占欲?」
そう訊き返すまりあ様はいつも通り可愛らしく小首を傾げてみせているのだが……なんだ? 今、一瞬違和感があったような……?
「そう、独占欲。性欲と独占欲は切っても切れない程縁深いものでね、【ぶっかけ】ってあるでしょ? その名の通り女性に精液をぶっかけまくる、あるいは、その光景に興奮するフェティッシュなんだけど、実は人によって、ぶっかけて興奮する部位が異なっているんだ。一番多いのは顔(下田調べ)なんだけど、他にもおっぱいだったりおしりだったり、太ももや、肌には目もくれずに服にかけることに執着する人もいたりする。なぜ分かれるのか。それは、【ぶっかけ】も独占欲からくる性癖だからさ。自分の精液をかけることで相手の女性を屈服させ、自分の物であることを再確認してるんだねー。言うなればマーキング。だからこそ、顔や服などの人目につきやすい場所や、胸、お尻などといった女性のセックスアピールポイントにかけるわけだ。よって、違いが出る要因は、男性側の好みというよりも女性側の身体的特徴に因る部分が多いってわけさ。」
なるほど。
【ぶっかけ】にそんな事情があったとは。
これからぶっかけモノのAⅤを観る目が変わりそうだ。
しかし、【赤ちゃんプレイ】と【ぶっかけ】が独占欲で共通してるってのはどういうことだ?
俺はまりあ様に甘えたいと常日頃考えてはいるが、ぶっかけたいと思ったことはただの一度も無いぞ。
こうして意識して考えてる今もまるでそんな気は起きない。
「【赤ちゃんプレイ】に性的欲求を抱くのも【ぶっかけ】と同じく独占欲の現れなんだけれど、この両者は正反対の性質を持っているんだ。」
「!」
まるで俺の思考を見透かしたかのように先生が授業を進めていく。
「【赤ちゃんプレイ】によって起こる独占欲…それは【ぶっかけ】での屈服とは違い、崇拝によって起こる。男の嫉妬を満たしてくれる存在、幼い頃から愛情を注いでくれた母親、そして、女性に相手にされない自分や、その分歪んでいった性癖すらも受け入れてくれる懐の深さ。不安や焦燥を消してくれる神として心のどこかで崇め奉っているんだ。こうしたところから、【ぶっかけ】がプラスの作用を持つ独占欲なら、【赤ちゃんプレイ】はマイナスの作用を持つ独占欲であると言えるね。なんせ行き過ぎてしまえば、駄目な自分を受け入れてくれる人を離さない為にもより一層駄目になっていく…なんてことにもなる。そして、そうした男性を好みやすいのが面倒見のいい女性。【共依存】に発展する図式が成り立っちゃうんだよねー。」
【共依存】。
保健室の白衣の堕天使のように、か。
先生は涼しい顔のまま授業を進めていく。
「こういった独占欲からの歪み以外にも、【赤ちゃんプレイ】に目覚めるきっかけがあってねー。それは、幼少期に注がれるはずだった愛情の欠如。早期に起こった両親の離婚や、幼児虐待(ネグレクト)……など、とある事情によって受ける愛情が少なくなってしまった場合、その分を埋めようと【赤ちゃんプレイ】に目覚めることもあるんだ。さっきから引き顔の木梨さん? 流石にこういう事情に対しても否定的にはなれないよね?」
「う……」
珍しくちょっと厳しめな声を出した先生に、木梨さんは委縮する。
「表面的な認識のみで生まれた誤解を解くために、僕たちはこうして特殊性癖について学んでいるんだろう? 君がそんな態度じゃあ、駄目だと思うなー。」
途端に普段の調子に戻った先生だが、木梨さんは俯いてしまった。
「……まぁ、否定的な君に対してより良く特殊性癖の真意を伝えられれば、今後についてかなり楽になるとも思うけどねー。」
「………。」
そうフォローを入れ、それ以上は何も言わず、先生は授業に戻った。
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