人神

柳川歩城

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高校生戦闘ヒーロー大会編

第6話 祭りの予感

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ピーサルからしっかりとした手順を踏んで帰国した後、しばらくの間、突然現れた特大ニュースを我先に取材しようとするマスコミに追いかけ回され、家の外に出れずにいた。だけど時間が立てば人々の興味はまた別のものに向かうようでマスコミからの突然の取材も少なくなり、学校にも行ける位になっていた。だけど私達は有名人になったようで、自分達の事を見つけた子ども達にサインをねだられることはなくならなかった。そんなある日、久しぶりに学校へ行くと、同級生達や幻六先生、大翔からいろいろと質問をされた。とんでもない量の質問をされたけど、それと同時に自分達の事を酷く心配してくれていたことが分かり、やっといつもの日常が戻ってきた事がわかった。



それからしばらくして昼食を友達と舞花の3人で取っている時に、友達の一人が私達に聞いてきた。

同級生Y「そう言えば優美と舞花は高校生戦闘ヒーロー大会誰と出るの?龍騎と力子ちゃんは決まったみたいだけど。」

その瞬間私達2人は固まった。何故ならその事をすっかり忘れていたのだから。

舞花「ど~う~し~よ~う~!!!」

優美「お…おおっ、お、落ち着いて。大丈夫私と出よう。後は一人は…ねえもう誰と出るとか決まってるよね?」

同級生Y「もちろん」

優美「ああ~!どうしよう!」

何故私達がこれ程焦っているのか、この高校戦闘ヒーロー大会は、優勝すると様々な豪華景品を貰えるだけでなく、ヒーローとしてのあらゆる就職に対して有利に望むことができる。しかし、ルールとして、3人1組のチームを作らねばならず、この時期にはもうほとんどの人がチームを作って大会を主催する『世界ヒーロー連合』に関連書類を提出しているころだ。

優美「あー!あてがいないー!」

舞花「流石にこれには出ないとまずいよ!」

そうやって私達が焦り、悩んでいると、そこに1人の人物が近付いて来て言った。

大翔「最後の枠、僕が入ってもいいかな?」

その言葉が終わる頃には、教室のあらゆる視線が彼に注がれていた。私達も驚いて大翔をみる。

優美「え…なんて?」

大翔「だから、最後のひと枠。僕が入ってもいいかな?って聞いたよ。」

その瞬間、教室内が笑いの渦に飲まれた。

同級生達「いやっ…おまっ…正気か?お前が出ても死ぬだけだぞ?」

笑いを堪える様子で同級生が言う。明らかに言い過ぎだが、確かに能力もなく、魔力も多い訳でもない大翔が出たとしても、致命傷を負う可能性が高い。

大翔「いや、そこら辺は大丈夫。」

そう言うと大翔は自分が出ようと言った理由を淡々と私達に話し始めた。

大翔「まず高校生戦闘ヒーロー大会は先方戦、中堅戦、大将戦の3つに分かれていて、それぞれの配点が1ポイント。それが勝ったチームに与えられ、得た得点が高いチームが勝利する。つまり先方戦、中堅戦で先に2ポイント先取することが出来れば大将戦に行く前にトーナメントを進める事が出来る。今回僕がするのは足りない枠の穴埋めだから僕を大将に据えたとして、優美と舞花が先方戦、中堅戦で勝てればいい。」

説明し終わると、大翔は私達の方を見た。

大翔「ここまで話したけど、この作戦で僕はお荷物だし、結局は優美と舞花の意思次第だね。どうする?」

そういって、彼は私達の答えを待つ。

優美「本当に…大丈夫なの?」

大翔「うん。2人は強いから、絶対に優勝出来ると思うよ。万が一何かあったら……その時はその時だし。何とかする。」

優美「何とかするって……」

大翔「じゃあ、優美達はこの大会に出られなくていいの?」

優美「……」

この作戦は、一見すれば大翔にしか得が無い作戦のように見える。しかし、先方戦と中堅戦で勝てば良いと言うことは、裏を返せば一度でも負ければ大翔が戦わなければならないと言うことだ。それに、大翔は昔から自分が言ったことは必ずやり遂げてきた。『その時はその時。』そう言ったということは、彼はそのような状況に、なった時には確実に戦うつもりだろう。その場合、彼がどんな作戦を考えていようが、絶対に無事ではすまない。その事を指摘しようとしたが、その事を読んでいたかのように、彼は私の言葉を遮った。

大翔「大丈夫。絶対に勝てるから。」

そう言う大翔の目には、確かに、覚悟が宿っていた。この大会はこれからの人生を左右するような大事なものだ。私達はしばらく悩んだ末、大翔に対して口を開いた。

優美·舞花「よろしくお願いします!」

その時、微かに大翔が笑った気がした。

大翔「分かった。任せて。」

そう言う大翔の目には、変わらず覚悟が宿っていた。











こんにちは皆さん。作者の柳川歩城です!なんだかまた面白そうなことになってきましたねー!ここからどのような方向に物語は向かって行くのか、皆さん、私と一緒に見届けましょう!よろしければこの小説のお気に入り登録をよろしくお願いします!それではまた、次の機会に。
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