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超魔の目覚め
無敵の全裸
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対地対空兵器にして、誘導弾の迎撃も可能とする四門の電磁加速砲の集中攻撃。
襲いくるはマッハ六の超高速徹甲弾。
どんな地上目標も粉砕されよう。
ましてや人相手に一発でも被弾しようものなら、血霧となりはて霧散するのは確実。
しかも、それを連続で発射できる。
この時代にはあり得ない超兵器……なのだが。
「へへっ。電磁加速砲で、オレが殺れるかよぉ! この程度じゃあ、オレの骨を砕くどころか」
量子デバイスのごとき中枢器官によって正確に連射される電磁加速機関砲の豪雨を真っ向から浴びても、オボロは不敵に笑みを見せその集中砲火など気にもせずヴァナルガンに高速で接近する。
たしかに超人の表皮は裂け、流血してはいるし、痛みも感じている。
「体に穴開けることも、止めることもできねぇぞ!」
だがその皮膚の下にある強靭かつ高密度の筋肉繊維を貫くどころか、行動を食い止めることすらできていない。
「すごいよぉ! さすが隊長だよ。機関砲の攻撃をものともしないなんて」
突撃を仕掛けるその超人の姿を遠くから見てナルミは感激の声をあげた。
「それに、安定の全裸率! これなら負けない!」
電磁加速砲の砲火によって、せっかく残っていたズボンが弾けたのだろう。
ナルミの足下にヒラヒラとオボロが履いていたズボンと思われるビリビリの布切れが落ちてきた。
全裸と化したオボロは無敵。
それが彼女の考えゆえに、敗北はないと確信し目を輝かせる。
そんなナルミとは裏腹に……。
(……相変わらず、とんでもないことをやってくれるな、あいつは)
現場にはいないがハクラも現状を理解しているのだろう、やや唖然としたような言葉がナルミの頭の中に響き渡る。
たしかに今のオボロの存在は頼ましいの一言だが、全裸になって電磁加速砲を真正面から食らい続けても大したダメージを負っていないなど、そんな姿を見たらドン引きするのも仕方ないことだろう。
「わちゃあぁぁぁぁ!!」
そして響き渡るは奇声。
機関砲による雨を平気で耐えて、ヴァナルガンに高速接近を試みていたオボロが跳躍していた。
奇声を上げながら力強くジャンプしたオボロはたちまちに天空に舞い上がり、高度五百メートルに滞空しているヴァナルガンに躍りかかった。
狙うは当然に頭部。
殴り付けようと右拳を握りこむ。
そして鉄拳を食らわせようとした瞬間、オボロは巨大な何かに閉じ込められた。
「ジュオォォォ!」
ヴァナルガンが無機質な声をならす。
それはまさに飛び回る虫を素手で捕まえる、と言う光景であった。
顔面に迫ってきたオボロを右手で掴み取ってしまったのだ。
超獣はたしかに素早いが、宙を舞う小さなものを掴み捕らえるなど、恐るべき反応速度ど言えよう。
「ジュオ!」
大抵、巨大な者が小さい敵をその手で捕らえた後やることは一緒であろう。
それは超獣も同じことであった。
……圧殺である。
「あ痛たたたたぁ!」
超獣の手の中という真っ暗な空間の中、オボロはあらゆる向きから凄まじい圧力に襲われた。
「この野郎! オレをぶっ潰すきだな」
全身をミリミリと圧縮され息苦しい中、オボロは潰されまいと力を込めて踏ん張った。
超獣の握力は恐らく二十万トン近いだろう。
そんな金属の手で握られる、全方向から金属の壁で圧迫されて押し潰されるようなものだ。
だが、ここでヴァナルガンは一つの愚行をおかしてしまっていた。
それは……。
「甘く見るんじゃねぇ!! オレを押さえ込むには馬力が足りねぇんだよ!」
この超人に力の勝負を挑んだことだろう。
力には超怪力で捩じ伏せる。それがオボロの流儀。
自分を握り潰さんとしていた超獣の指を、力任せに押し返てオボロはその拘束から脱出した。
さらに金属の手の真ん中で跳躍し、ヴァナルガンの顔にへばりついた。
ヴァナルガンの全身は滑らかな金属細胞の装甲に覆われており顔も例外ではない、しかし視覚として外部の情報を得る器官はどうだろうか?
「食らえぇ!」
超人は大きく吠えると、赤く輝く複眼の一つに鉄槌打ちを降り下ろした。
バリッ! と言うガラスが割れるような音が鳴り響き複眼の破片が飛散する。
そして鋭い形状に割れた複眼の破片は落下して、地面に突き刺さった。
「……ジュオ?」
やはり無機質な生物なだけあり血液などの体液は噴出せず、破損した複眼がバチバチと火花を散らすだけであった。
また痛覚もないのか、痛みを見せる反応もない。
「ちっ! 怯みもしねぇか、なら目玉は全部貰ってくぜぇ」
そう言ってオボロは強靭な手足を用いてクライミングのごとく、超獣の顔面上を移動してまた別の複眼を殴り砕いた。
視覚をいくつか破壊すれば、多生なり戦闘能力は削げるだろう。
「ジュオォォォ!」
しかし、さすがにこれ以上視覚を破壊されるのは不愉快と思ったのか、ヴァナルガンは顔の表面上で動き回る外敵を掴み取ろうと指を伸ばす。
「おっと、あぶねぇ!」
しかしオボロは顔面上をすばしっこく動き回り、捕らえようと迫ってくる指を掻い潜った。
そして頭頂部までよじ登ると、オボロはヴァナルガンの頭の上で大きく腕を振り上げた。
「今度は本気でやらせてもらうぜぇ」
全力で殴れる位置までたどり着いたオボロは、渾身の一撃を銀色の装甲に包まれた頭頂部に叩き込む。
金属をぶっ叩いたような甲高い音が鳴り響いた。
「ちっ! 硬てぇな」
思わずオボロを舌打ちをする。
全力の拳を叩き込んだが、ヴァナルガンの装甲を少しばかり陥没させるのがやっとであったのだ。
(さすがに、お前でも無理だ)
と、いきなりに頭の中に言葉が響き渡る。
「おう! ハクラか」
あまり驚いた様子は見せず、オボロは応じる。
(頭部装甲はあまり厚くないようだが、そいつの装甲は核攻撃をも想定した高耐熱性の積層装甲だ。その装甲による堅牢さと巨体の衝撃拡散効果で、武器はおろか並の兵器でもまともなダメージは与えられない。……つーか、それをへこませた、お前もどうかと思うが……)
「ああ、それはオレも分かってる。また時間を稼げば、いいんだな?」
ハクラの小難しい話を途中で切り捨て、オボロは答える。
そもそも質量六万トン以上と二十トン弱の闘いだ。
殴る蹴るなどの打撃は、どうしても質量に左右される。
敗けはせずとも、オボロがこの超獣を素手で倒すには無理な話であろう。
「シキシマをこっちに向かわせてるんだろ!」
そう応じつつオボロは、また装甲を殴りつける。先程陥没させた位置目掛け。
同じ箇所にまた打撃が叩き込まれたため、更に大きく陥没する。
(ああ、お前とシキシマが協力すれば何とかなるやもしれん。この超獣ヴァナルガンは、高度な文明を単独で滅ぼした化け物中の化け物だ。一筋縄ではいかんぞ)
「へっ……それがどうしたってんだ」
一つの文明を滅ぼした、と聞いてオボロは鼻で笑う。
一つの惑星をたった一体で崩壊させたから、何だと言うのだと。
異星人チャベックの母星を滅ぼした超獣グランドドスと戦っているのだ、今さら怖じ気づくはずもなく。
「どんな化け物とだって、やってやるぜぇ!」
と、また拳を振り上げた時であった。
ヴァナルガンの全身から眩い閃光が発せられる。
「どわぁ! アッチ!!」
白熱の光がオボロの肉体に灼熱を加え、ジリジリと焼き上げる。
それは全身の装甲を強力な赤外線放射器官とすることで周囲を焼き払う攻撃。
まとわりつくオボロを引き剥がす手段であった。
「ジュオッ!」
大火傷で怯んだオボロを振り払うがごとくヴァナルガンは、その巨体を大きく揺らした。
「どわぁ!」
そして姿勢を崩したオボロは、転げ落ちるように落下し大地に激突した。
「痛ってぇぇぇぇ!」
高度五百メートル以上から落下したオボロは痛みを堪えながら、立ち上がった。
するとオボロは大きな影に覆い尽くされる。
「うわぁ、やっべぇ!」
思わず上空を見上げ声を響かせる。
真上から巨大な猛禽類のごとき足が迫ってきていたのだ。
六万トン以上の巨体による、落下の位置エネルギーを加えた踏みつけ。
凄まじい轟音とともにオボロは、更に地中深くへとメリ込んだ。
襲いくるはマッハ六の超高速徹甲弾。
どんな地上目標も粉砕されよう。
ましてや人相手に一発でも被弾しようものなら、血霧となりはて霧散するのは確実。
しかも、それを連続で発射できる。
この時代にはあり得ない超兵器……なのだが。
「へへっ。電磁加速砲で、オレが殺れるかよぉ! この程度じゃあ、オレの骨を砕くどころか」
量子デバイスのごとき中枢器官によって正確に連射される電磁加速機関砲の豪雨を真っ向から浴びても、オボロは不敵に笑みを見せその集中砲火など気にもせずヴァナルガンに高速で接近する。
たしかに超人の表皮は裂け、流血してはいるし、痛みも感じている。
「体に穴開けることも、止めることもできねぇぞ!」
だがその皮膚の下にある強靭かつ高密度の筋肉繊維を貫くどころか、行動を食い止めることすらできていない。
「すごいよぉ! さすが隊長だよ。機関砲の攻撃をものともしないなんて」
突撃を仕掛けるその超人の姿を遠くから見てナルミは感激の声をあげた。
「それに、安定の全裸率! これなら負けない!」
電磁加速砲の砲火によって、せっかく残っていたズボンが弾けたのだろう。
ナルミの足下にヒラヒラとオボロが履いていたズボンと思われるビリビリの布切れが落ちてきた。
全裸と化したオボロは無敵。
それが彼女の考えゆえに、敗北はないと確信し目を輝かせる。
そんなナルミとは裏腹に……。
(……相変わらず、とんでもないことをやってくれるな、あいつは)
現場にはいないがハクラも現状を理解しているのだろう、やや唖然としたような言葉がナルミの頭の中に響き渡る。
たしかに今のオボロの存在は頼ましいの一言だが、全裸になって電磁加速砲を真正面から食らい続けても大したダメージを負っていないなど、そんな姿を見たらドン引きするのも仕方ないことだろう。
「わちゃあぁぁぁぁ!!」
そして響き渡るは奇声。
機関砲による雨を平気で耐えて、ヴァナルガンに高速接近を試みていたオボロが跳躍していた。
奇声を上げながら力強くジャンプしたオボロはたちまちに天空に舞い上がり、高度五百メートルに滞空しているヴァナルガンに躍りかかった。
狙うは当然に頭部。
殴り付けようと右拳を握りこむ。
そして鉄拳を食らわせようとした瞬間、オボロは巨大な何かに閉じ込められた。
「ジュオォォォ!」
ヴァナルガンが無機質な声をならす。
それはまさに飛び回る虫を素手で捕まえる、と言う光景であった。
顔面に迫ってきたオボロを右手で掴み取ってしまったのだ。
超獣はたしかに素早いが、宙を舞う小さなものを掴み捕らえるなど、恐るべき反応速度ど言えよう。
「ジュオ!」
大抵、巨大な者が小さい敵をその手で捕らえた後やることは一緒であろう。
それは超獣も同じことであった。
……圧殺である。
「あ痛たたたたぁ!」
超獣の手の中という真っ暗な空間の中、オボロはあらゆる向きから凄まじい圧力に襲われた。
「この野郎! オレをぶっ潰すきだな」
全身をミリミリと圧縮され息苦しい中、オボロは潰されまいと力を込めて踏ん張った。
超獣の握力は恐らく二十万トン近いだろう。
そんな金属の手で握られる、全方向から金属の壁で圧迫されて押し潰されるようなものだ。
だが、ここでヴァナルガンは一つの愚行をおかしてしまっていた。
それは……。
「甘く見るんじゃねぇ!! オレを押さえ込むには馬力が足りねぇんだよ!」
この超人に力の勝負を挑んだことだろう。
力には超怪力で捩じ伏せる。それがオボロの流儀。
自分を握り潰さんとしていた超獣の指を、力任せに押し返てオボロはその拘束から脱出した。
さらに金属の手の真ん中で跳躍し、ヴァナルガンの顔にへばりついた。
ヴァナルガンの全身は滑らかな金属細胞の装甲に覆われており顔も例外ではない、しかし視覚として外部の情報を得る器官はどうだろうか?
「食らえぇ!」
超人は大きく吠えると、赤く輝く複眼の一つに鉄槌打ちを降り下ろした。
バリッ! と言うガラスが割れるような音が鳴り響き複眼の破片が飛散する。
そして鋭い形状に割れた複眼の破片は落下して、地面に突き刺さった。
「……ジュオ?」
やはり無機質な生物なだけあり血液などの体液は噴出せず、破損した複眼がバチバチと火花を散らすだけであった。
また痛覚もないのか、痛みを見せる反応もない。
「ちっ! 怯みもしねぇか、なら目玉は全部貰ってくぜぇ」
そう言ってオボロは強靭な手足を用いてクライミングのごとく、超獣の顔面上を移動してまた別の複眼を殴り砕いた。
視覚をいくつか破壊すれば、多生なり戦闘能力は削げるだろう。
「ジュオォォォ!」
しかし、さすがにこれ以上視覚を破壊されるのは不愉快と思ったのか、ヴァナルガンは顔の表面上で動き回る外敵を掴み取ろうと指を伸ばす。
「おっと、あぶねぇ!」
しかしオボロは顔面上をすばしっこく動き回り、捕らえようと迫ってくる指を掻い潜った。
そして頭頂部までよじ登ると、オボロはヴァナルガンの頭の上で大きく腕を振り上げた。
「今度は本気でやらせてもらうぜぇ」
全力で殴れる位置までたどり着いたオボロは、渾身の一撃を銀色の装甲に包まれた頭頂部に叩き込む。
金属をぶっ叩いたような甲高い音が鳴り響いた。
「ちっ! 硬てぇな」
思わずオボロを舌打ちをする。
全力の拳を叩き込んだが、ヴァナルガンの装甲を少しばかり陥没させるのがやっとであったのだ。
(さすがに、お前でも無理だ)
と、いきなりに頭の中に言葉が響き渡る。
「おう! ハクラか」
あまり驚いた様子は見せず、オボロは応じる。
(頭部装甲はあまり厚くないようだが、そいつの装甲は核攻撃をも想定した高耐熱性の積層装甲だ。その装甲による堅牢さと巨体の衝撃拡散効果で、武器はおろか並の兵器でもまともなダメージは与えられない。……つーか、それをへこませた、お前もどうかと思うが……)
「ああ、それはオレも分かってる。また時間を稼げば、いいんだな?」
ハクラの小難しい話を途中で切り捨て、オボロは答える。
そもそも質量六万トン以上と二十トン弱の闘いだ。
殴る蹴るなどの打撃は、どうしても質量に左右される。
敗けはせずとも、オボロがこの超獣を素手で倒すには無理な話であろう。
「シキシマをこっちに向かわせてるんだろ!」
そう応じつつオボロは、また装甲を殴りつける。先程陥没させた位置目掛け。
同じ箇所にまた打撃が叩き込まれたため、更に大きく陥没する。
(ああ、お前とシキシマが協力すれば何とかなるやもしれん。この超獣ヴァナルガンは、高度な文明を単独で滅ぼした化け物中の化け物だ。一筋縄ではいかんぞ)
「へっ……それがどうしたってんだ」
一つの文明を滅ぼした、と聞いてオボロは鼻で笑う。
一つの惑星をたった一体で崩壊させたから、何だと言うのだと。
異星人チャベックの母星を滅ぼした超獣グランドドスと戦っているのだ、今さら怖じ気づくはずもなく。
「どんな化け物とだって、やってやるぜぇ!」
と、また拳を振り上げた時であった。
ヴァナルガンの全身から眩い閃光が発せられる。
「どわぁ! アッチ!!」
白熱の光がオボロの肉体に灼熱を加え、ジリジリと焼き上げる。
それは全身の装甲を強力な赤外線放射器官とすることで周囲を焼き払う攻撃。
まとわりつくオボロを引き剥がす手段であった。
「ジュオッ!」
大火傷で怯んだオボロを振り払うがごとくヴァナルガンは、その巨体を大きく揺らした。
「どわぁ!」
そして姿勢を崩したオボロは、転げ落ちるように落下し大地に激突した。
「痛ってぇぇぇぇ!」
高度五百メートル以上から落下したオボロは痛みを堪えながら、立ち上がった。
するとオボロは大きな影に覆い尽くされる。
「うわぁ、やっべぇ!」
思わず上空を見上げ声を響かせる。
真上から巨大な猛禽類のごとき足が迫ってきていたのだ。
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