弱小国の王太子に転生したから死ぬ気で国を生き残させる

糸井嵜諸常

文字の大きさ
7 / 26
転生、そして絶望

会談は吉となるか凶となるか

しおりを挟む
レシツィア王国の王宮は無駄にデカい。未だに大帝国だった時代のものを使い続けている事もあり、小国の王宮あるまじきデカさだ。だから当然ほとんど使われず放置されてるに近い場所がいくつもある。そんな事もあり何時も何処か寂しい印象を与える。
丁度使われなくなって等しい第二図書室を通り過ぎ、目指すは「王太子」専用の応接室へと向かう。

会談の条件は二つあった。全員共に従者は一人ずつ。そして他は使用人すら出入りを禁ずること。暗殺を恐れてイルザール側が提示した条件だ。こちらも何の不都合も無いからその条件を呑んだ。

やべぇ、めっちゃ緊張する。そりゃ確かに王太子おれ の記憶にはあるが俺が会う事は初めてだからだ。

複雑な王宮の廊下を進みながらそう考えて居ると前を歩いていた爺が止まった。応接室についたかと思い顔を上げるや否や、爺は囁いた。

「何者かが我々の後をつけているようです。」

またか。そう思った。というかこの国のセキュリティ管理はどうなってんだよ。ザルか?穴の空いたヤカンか?
だがそんな文句を言う前になんとかしなければならない。一応傷は魔力のお蔭(魔力が高いと怪我は治りやすくなるらしい)で塞がってはいたが万全ではない。もし手練であれば今度こそ逃れられないだろう。

そう思い周りを警戒していると急に後ろから人影が飛び出した。驚きながらも身を守ろうと振り向く。
するとそこに居たのは嫉妬する程に綺麗な金髪に女と見紛う端整に整った顔、末の弟ツヴァイシア公爵家当主のルーグスだった。

「アハハハ、おかしいや、その驚きよう。ビクッだって、ヒャハ、アハハ」

ムカつくぐらいに笑っていやがる弟に顔を顰めながら聞いた。

「一体何してたんだ?俺をつけて?探偵ごっこか?」

「違うよ!タイミングをはかってたんだよ。邪魔虫共イルザール派がいなくなるまで。 」

ルーグスは端整な顔を歪めながら言った。

「?そこまでして一体何を?」

そうルーグスに聞くと彼はあっけらかんととんでもないことを言った。
「会談には出るな。死ぬぞ?」

「なっ、何を言ってんだ!これでも兄弟だぞ?イルザールがそんな事する...」

「そんな事するはずがない、とでも?」

「なっ、いや」

ルーグスの鷹のような眼力に押され肯定が出来ない。こっわ。目で人殺せるんじゃない?我が弟は。

「甘いよ兄さん。兄弟だからこそ、こうやって殺し合いの跡取り合戦になるんだよ?」

「でも...」

「でももクソも無いよ。今実際応接室では兄さんを殺そうと何人も待ち構えているよ?」

「それは本当でございましょうか、ルーグス様。」

今まで沈黙を貫いてきたルイシフォンが言った。

「あぁ、確かさ。だって僕も誘われたからね。」

「なっ、」

「それよりここも安全じゃないよ。そろそろ来るよ。あいつら」

そういうルーグスの目は有無を言わさぬ強い敵意が宿っていた。


だから怖いって、我が弟よ。何故目で人を殺そうするんだ?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

近未来の魔法世界に転生して最強ハーレムを作る

こうたろ
ファンタジー
トラックの直撃で死亡。「君は選ばれた。異世界へ行く資格を得たのだ」とか言われてとりあえず転生させられたクルト。公爵家だけど四男だし魔術があるけど魔力量判定Eでほぼほぼ使い物にならないし……魔物1体倒すのも一苦労。俺の転生後生活、大丈夫か?

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル 異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった 孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。 5レベルになったら世界が変わりました

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

処理中です...