『ダンジョンシード』~芽生える異能、彼女の日常~

Nico11

文字の大きさ
33 / 50

第33話-覚醒の光、バリキーとの大いなる衝突-

しおりを挟む

偉大なる者バリキーの眷属――その黒き炎を受け止める、私の純なる光の防壁。
その圧力は凄まじく、両手に握る新型グローブを通じて、絶え間ない重圧がのしかかる。
核から流れ込む清らかなエネルギーを最大限に活用しても、辛うじて拮抗しているだけだった。

『……光の導き手よ……偉大なる者バリキーの力の前に、汝は無力……闇こそがこの世界の真なる姿なのだ……』

眷属の身体を通して響く、偉大なる者バリキーの意志のテレパシー。
そこには絶対的な冷徹と、揺るぎなき支配への信念が込められていた。
すべてを覆い尽くす闇こそが、この世界の本質であると信じる強固な思想。それが、私の心に深く突き刺さってくる。

「そんな理屈、私は絶対に認めない!」

私は叫ぶ。心の奥底から溢れ出す光とともに、全身を貫く怒りを放つ。

その声に応えるように、核の純なる光がより強く輝いた。
私の内に宿る温かな力もまた、はっきりとした形で増幅され、グローブから放たれる光がさらに力を得る。

光の防壁は一層強さを増し、眷属の黒き炎を少しずつ押し返し始めた。
光と闇がぶつかり合い、空間そのものが歪む。
巨大なエネルギーの奔流が周囲に放たれ、風と衝撃が世界を揺るがす。

「今です! 光を一点に集中させて、あの眷属を打ち破りなさい!」

白石先生の声が、冷静かつ力強く響いた。
私は意識を極限まで集中させ、核のエネルギーをグローブの一点へと集束する。

まばゆいほどの光が拳に宿る。白を超え、黄金に近い輝き。
それはまさに希望そのもののように、私の掌に形を持って現れた。

偉大なる者バリキーの眷属よ! これが光の意志だ!」

私はその光を解き放つ。
拳から放たれた光は、黒き炎を焼き払い、眷属の漆黒の鎧を粉砕する。
爆発が起き、暗黒に満ちていた空間が、一瞬だけ純粋な光で包まれた。

眷属の身体が吹き飛び、赤い瞳の輝きが明らかに弱まる。
そしてその隙間から再び伝わってくる、偉大なる者バリキーの意志――
それは、怒りに満ちた震えるような声だった。

『……光の導き手よ……その力……許さぬ……滅びの時が、いずれ汝らを呑み込むだろう……』

私は、彼の威圧に屈することなく、まっすぐに心の中で答えた。

「私たちは、どんなに強大な闇にも屈しない。あなたの野望を打ち砕くまで、私は立ち続ける!」

その叫びに再び核が応える。
内なる光はより強く燃え上がり、私の身体全体に拡がっていく。
それは単なる力ではない。希望、意志、そして未来への信念――そのすべてだった。

眷属の鎧に刻まれた亀裂へ、私は渾身の一撃を叩き込む。
拳から放たれる清らかなエネルギーは、着実に闇を貫いていった。

眷属も最後の力を振り絞って、四方に黒き炎を放つ。
しかし、白石先生の結界がそれを押さえ込み、健太の結晶が衝撃を和らげ、美咲の胞子が動きを封じる。
私たちの連携が、闇の暴走を食い止めていた。

そして、最後の一撃。
私は眷属の存在そのものを、光で包み、静かに消滅させた。

耳に届く、金属が砕ける音。眷属が放っていた異質な気配は、完全に消え去っていた。
偉大なる者バリキーのテレパシーも、今はもう、どこにも届かない。

「……終わった、の?」

私は息をつき、周囲を見渡す。
崩れた空間の隙間から、穏やかな光が差し込んでいた。

だが、それはあくまでも一時の安堵に過ぎない。
偉大なる者バリキーの本体は、まだどこかでその意志を保ち続けている。
今の勝利も、きっと彼にとっては“想定のうち”なのだろう。

私たちの戦いは、ようやく始まったばかり。

核は以前よりも透明に輝き、失われた希望を取り戻したかのように光っている。
あの悪魔が残してくれた、温かな信頼――それもまた、私たちを導いてくれる力だ。

私は、光の導き手としての自分をもう一度見つめ直す。
逃げることはできない。
次に待つのは、きっと、真なる偉大なる者バリキーとの対峙。

そのときこそ、全てを賭ける時。

仲間とともに、光を掲げて、闇に挑む。

その戦いは、ここから始まる――。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

ある日、僕は全知全能になった。

暁月ライト
ファンタジー
ある日、平凡な男子高校生である宇尾根 治は全知全能になった。 何の前触れもなく突然にその力を手に入れた主人公が、表向きには平凡な高校生として過ごしつつ、裏では色んな世界を自由気ままに旅したりして遊ぶ話。

素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。

名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

処理中です...