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「……お前との婚約を破棄する」
そう言い放った王太子の顔に、微かな優越感が浮かんでいるのを、私は見逃さなかった。
この日が来ることは、うすうす察していた。婚約者であるアルベルト王太子が、近頃「聖女」ともてはやされる平民出身の少女、マリアと親しくしていたのは、王都中の噂だったからだ。
「……かしこまりました。王太子殿下のご意思、しかと承りました」
私は一礼し、静かに頭を下げる。感情を殺すことは、貴族令嬢として叩き込まれた礼儀だ。涙も、怒りも、悲しみも、見せるつもりはなかった。
それが、わたくし――クラリス・フォン・エルノアの誇り。
「ふ、ふん……素直で助かるよ。君にはもったいないくらいの婚約だったのだ、もともと」
そんな勝ち誇ったような言葉が背後から投げつけられても、私はもう振り返らなかった。
そして――そのまま、王宮から姿を消した。
「……それで、どうしてここに?」
半月後。私は、隣国ヴァルディア王国の王都、黒曜の城と呼ばれる漆黒の城の玉座の間にいた。
漆黒の絨毯。高く荘厳な天井。豪奢なシャンデリア。そして、その中央の玉座に腰かける男――。
ヴァルディア王、レオナルド=ヴァルディア・アークライト。
冷徹。傲慢。残虐。そんな評判ばかりの王。民は恐れを込めてこう呼ぶ。
《暴君王》。
その男が、今、私をまっすぐ見つめていた。
「俺の妃になる気はないか?」
……は?
どういうこと? 初対面で、いきなりプロポーズ?
「いきなり、何を仰って……? 私はエルノア公爵家の――」
「知っている。王太子に婚約を破棄され、社交界からも追放された。無一文で城を出た君が、なぜかこのヴァルディアに来た理由も……俺の妃にふさわしいかどうか、見極めるためだろう?」
「ち、違いますっ!」
私は思わず声を荒げた。そんなつもりで来たんじゃない。ただ、国外にいる親戚を頼ろうとして、通過点にこの国を選んだだけで――。
けれど。
「……なら、なぜ逃げない?」
鋭くも艶めいた声が、私の鼓膜を撫でた。
玉座から立ち上がったレオナルド王は、長い足取りでゆっくりと私に近づく。漆黒の軍服、金の装飾、覇王のような雰囲気。そのすべてが威圧感を放っているのに、なぜか目を離せなかった。
「君を見た瞬間、直感した。俺の妃は――君以外にありえないと」
「……っ。わ、私には、もうそういうつもりは――」
「ある。……いや、ないはずがない」
ぐいと、顎を持ち上げられる。
近い。顔が、近い。深紅の瞳が、まっすぐ私を射抜く。
「……誰よりも美しい。誰よりも気高い。誰にも触れさせたくない」
「……あの」
「触れた男は全員、処刑してやる」
「……あのっ」
「君を見てから、頭から離れない。夜も眠れん。こんなの、初めてだ。だから俺は――君を、俺だけのものにしたい」
――こ、これが暴君のやり口!? むしろ、甘すぎませんか!?
というか、嫉妬深すぎませんか!?
私は勢いに圧されて一歩後ずさる。
「お気持ちは、ありがたく……でも、私はまだ前の婚約を終えたばかりで、心の整理もついておらず……」
とにかく落ち着いて、ゆっくり話しましょう。そう思っていたのに――。
「なら、その整理がつくまで、俺がそばにいよう。毎日甘やかしてやる」
「え?」
「笑わせて、泣かせて、拗ねて、キスして……それでようやく、君の心を俺でいっぱいにできるのだろう?」
「――っ、ま、また突然……!」
「なぜ赤くなる? 可愛いな。誰にもその顔を見せるな。見せたら本当に処刑する」
「や、やめてくださいっ!」
本気か冗談か判断できない。けれど目は真剣だった。瞳の奥に、熱があった。
もしかして――この人、本気で私を?
と、そのとき。
「レオナルド陛下! お言葉ですが、軽率では……!」
扉が勢いよく開かれ、一人の騎士が飛び込んできた。金髪の若い騎士で、その瞳には焦りと驚きが混じっている。
「この方は隣国の貴族令嬢、しかも王太子に捨てられた女性……もし噂になれば、陛下の評判が――」
「黙れ、ジェラルド」
レオナルドは凍るような声で一喝した。
「俺が欲すると言った。――それがすべてだ」
「……っ。……畏まりました」
騎士ジェラルドは目を伏せ、唇を噛んだ。
でも、私は彼の言葉に少しだけ救われた。
そう。あまりに急すぎる。これは現実なの?
思わず、私は口を開いた。
「……せめて、時間をください。自分の気持ちを、きちんと確かめたいのです」
その言葉に、レオナルドは黙って私を見つめた。
やがて、彼はゆっくりとうなずいた。
「よかろう。だがその間、俺は毎日君に会いに行く。……覚悟しておけよ、クラリス」
その夜。
私は用意された客室でベッドに横たわりながら、思った。
(……どうして、こうなったの?)
けれど、胸の奥がほんの少しだけ、温かくなるのを感じたのも事実だった。
その温かさが何なのか、まだ私にはわからない。
けれど――この出会いは、きっと、ただの気まぐれではない気がしていた。
そう言い放った王太子の顔に、微かな優越感が浮かんでいるのを、私は見逃さなかった。
この日が来ることは、うすうす察していた。婚約者であるアルベルト王太子が、近頃「聖女」ともてはやされる平民出身の少女、マリアと親しくしていたのは、王都中の噂だったからだ。
「……かしこまりました。王太子殿下のご意思、しかと承りました」
私は一礼し、静かに頭を下げる。感情を殺すことは、貴族令嬢として叩き込まれた礼儀だ。涙も、怒りも、悲しみも、見せるつもりはなかった。
それが、わたくし――クラリス・フォン・エルノアの誇り。
「ふ、ふん……素直で助かるよ。君にはもったいないくらいの婚約だったのだ、もともと」
そんな勝ち誇ったような言葉が背後から投げつけられても、私はもう振り返らなかった。
そして――そのまま、王宮から姿を消した。
「……それで、どうしてここに?」
半月後。私は、隣国ヴァルディア王国の王都、黒曜の城と呼ばれる漆黒の城の玉座の間にいた。
漆黒の絨毯。高く荘厳な天井。豪奢なシャンデリア。そして、その中央の玉座に腰かける男――。
ヴァルディア王、レオナルド=ヴァルディア・アークライト。
冷徹。傲慢。残虐。そんな評判ばかりの王。民は恐れを込めてこう呼ぶ。
《暴君王》。
その男が、今、私をまっすぐ見つめていた。
「俺の妃になる気はないか?」
……は?
どういうこと? 初対面で、いきなりプロポーズ?
「いきなり、何を仰って……? 私はエルノア公爵家の――」
「知っている。王太子に婚約を破棄され、社交界からも追放された。無一文で城を出た君が、なぜかこのヴァルディアに来た理由も……俺の妃にふさわしいかどうか、見極めるためだろう?」
「ち、違いますっ!」
私は思わず声を荒げた。そんなつもりで来たんじゃない。ただ、国外にいる親戚を頼ろうとして、通過点にこの国を選んだだけで――。
けれど。
「……なら、なぜ逃げない?」
鋭くも艶めいた声が、私の鼓膜を撫でた。
玉座から立ち上がったレオナルド王は、長い足取りでゆっくりと私に近づく。漆黒の軍服、金の装飾、覇王のような雰囲気。そのすべてが威圧感を放っているのに、なぜか目を離せなかった。
「君を見た瞬間、直感した。俺の妃は――君以外にありえないと」
「……っ。わ、私には、もうそういうつもりは――」
「ある。……いや、ないはずがない」
ぐいと、顎を持ち上げられる。
近い。顔が、近い。深紅の瞳が、まっすぐ私を射抜く。
「……誰よりも美しい。誰よりも気高い。誰にも触れさせたくない」
「……あの」
「触れた男は全員、処刑してやる」
「……あのっ」
「君を見てから、頭から離れない。夜も眠れん。こんなの、初めてだ。だから俺は――君を、俺だけのものにしたい」
――こ、これが暴君のやり口!? むしろ、甘すぎませんか!?
というか、嫉妬深すぎませんか!?
私は勢いに圧されて一歩後ずさる。
「お気持ちは、ありがたく……でも、私はまだ前の婚約を終えたばかりで、心の整理もついておらず……」
とにかく落ち着いて、ゆっくり話しましょう。そう思っていたのに――。
「なら、その整理がつくまで、俺がそばにいよう。毎日甘やかしてやる」
「え?」
「笑わせて、泣かせて、拗ねて、キスして……それでようやく、君の心を俺でいっぱいにできるのだろう?」
「――っ、ま、また突然……!」
「なぜ赤くなる? 可愛いな。誰にもその顔を見せるな。見せたら本当に処刑する」
「や、やめてくださいっ!」
本気か冗談か判断できない。けれど目は真剣だった。瞳の奥に、熱があった。
もしかして――この人、本気で私を?
と、そのとき。
「レオナルド陛下! お言葉ですが、軽率では……!」
扉が勢いよく開かれ、一人の騎士が飛び込んできた。金髪の若い騎士で、その瞳には焦りと驚きが混じっている。
「この方は隣国の貴族令嬢、しかも王太子に捨てられた女性……もし噂になれば、陛下の評判が――」
「黙れ、ジェラルド」
レオナルドは凍るような声で一喝した。
「俺が欲すると言った。――それがすべてだ」
「……っ。……畏まりました」
騎士ジェラルドは目を伏せ、唇を噛んだ。
でも、私は彼の言葉に少しだけ救われた。
そう。あまりに急すぎる。これは現実なの?
思わず、私は口を開いた。
「……せめて、時間をください。自分の気持ちを、きちんと確かめたいのです」
その言葉に、レオナルドは黙って私を見つめた。
やがて、彼はゆっくりとうなずいた。
「よかろう。だがその間、俺は毎日君に会いに行く。……覚悟しておけよ、クラリス」
その夜。
私は用意された客室でベッドに横たわりながら、思った。
(……どうして、こうなったの?)
けれど、胸の奥がほんの少しだけ、温かくなるのを感じたのも事実だった。
その温かさが何なのか、まだ私にはわからない。
けれど――この出会いは、きっと、ただの気まぐれではない気がしていた。
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