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「――リリアーヌ、お前との婚約は今日限りで破棄する」
王城の謁見の間。高い天井に声が響いた。
そう告げたのは、私の婚約者である第二王子アレクシス殿下だった。
周囲の貴族たちがくすくすと笑うのが聞こえる。彼らは、殿下の隣に寄り添う美しい茶髪の令嬢――伯爵令嬢ミリアが勝ち誇ったように微笑んでいるのを見て、もうすべてを察していた。
「理由は……何でしょうか?」
私は静かに問う。
「理由だと? リリアーヌ、お前は“役立たず”だからだ。王妃教育も人並み以下、魔力も低い。そんな者を王族の嫁に据えるわけにはいかない」
誰もが息を呑んだ。
だが私は――笑ってしまった。
だって、知っていたのだ。
アレクシス殿下は、私の“本当の価値”を何一つわかっていない。
「……そうですか。では、婚約破棄を受け入れます」
深々と頭を下げた。
ミリア嬢は嬉々とした声を上げる。
「あら、ずいぶん素直なのね? もっと取り乱すかと思ったわ」
「取り乱す理由がありません」
「ふふっ、まあ当然よね。“役立たず”なんですもの」
殿下とミリア嬢の冷たい視線が向けられる。
しかしその瞬間、玉座の横に控えていた“彼”が静かに一歩前へ出た。
「リリアーヌ嬢」
深みのある低い声。
広間の空気が一瞬で変わる。
振り向くと、そこに立っていたのは――
第一王子ルーク殿下。
この国で最も有能と称えられ、冷徹であると噂される人物だ。
だが彼の金の瞳だけは、私を見るときいつも柔らかかった。
「婚約破棄の件、私からも異論はない。ただし――」
殿下はゆっくりとアレクシス殿下に視線を向けた。
「役立たず、とは聞き捨てならないな」
「兄上……!」
「リリアーヌ嬢が“役立たず”だと? その言葉、どれほど浅はかか分かっているのか?」
ルーク殿下の声は静かだが、怒りが滲んでいた。
「兄上、彼女は魔力量の測定で――」
「魔力だけが価値ではない。彼女は――」
そこまで言って、ルーク殿下は私の方を見る。
私は首を振った。
まだ……まだ言わないでください。
私の秘密を、ここで暴露されるわけにはいかない。
しかし彼は、私の気持ちを理解したように目を細め、言葉を変えた。
「……まあいい。いずれ、お前は後悔するだろう」
アレクシス殿下が不機嫌に舌打ちする。
「兄上は彼女を過大評価しすぎです。ミリアの方が有能で、美しく、優秀です!」
「それは良かったな。好きにするといい」
ルーク殿下は肩をすくめて言い、
「リリアーヌ嬢、こちらへ。送ろう」
と私に手を差し伸べた。
周囲の視線がざわつく。
「兄上!? なぜ彼女を送る必要が……!」
「彼女は今日から自由だ。だが、城を出るまでは護衛が必要だろう。――私が責任を持つ」
アレクシス殿下が青ざめる。
その顔を見て、私はほんの少しだけ胸がすっとした。
ーーざまぁ。
とはまだ言わないけれど。
これからゆっくり味わってもらうつもりだ。
私はルーク殿下の手を取り、広間を後にした。
その後ろから、ミリア嬢の「なんでそんなに優しくするの!?」「兄上はあなたのどこが……!」という嫉妬混じりの声が響いていた。
――私の価値には、誰よりも早く気づいた人がいる。
それが、この国で最も優秀と名高い第一王子だという事実。
その重さに、アレクシス殿下が気づくのは……もう少し後だ。
「……大丈夫か?」
城の裏庭に出たところで、ルーク殿下は私にそっと紅茶を差し出してくれた。
「ありがとうございます。殿下が助け舟を出してくださらなかったら、きっと面倒なことになっていました」
「当然だ。君は誰よりも価値のある女性だ。あの場で侮辱されて黙っていられるわけがない」
「……過大評価です」
「いや、過小評価されているだけだ」
彼の言葉に、胸が熱くなる。
私はずっと“隠していた”。
家のためというより、国のため。
そして何より――自分の存在が周りを惑わせないために。
私には、生まれつき“ある力”があった。
「……殿下、私……」
「言わなくていい」
彼は紅茶を置き、私の手にそっと触れた。
「君が何を隠しているか、だいたい見当はついている。だが、君が自分から話す時まで待つよ」
「……殿下は、本当に……優しい方です」
「君にだけ、だ」
心臓が跳ねた。
彼が私に特別な視線を向けるのは、以前から少し感じていた。
けれど、こうして言葉にされると逃げ場がない。
「……私、今日から自由になりました。殿下は、それでも……?」
「むしろ今日からだ。君が誰のものでもなくなった今――」
ルーク殿下の指先が私の頬に触れる。
「私は、堂々と君を求められる」
「ッ……!」
顔が一気に熱くなった。
「こ、困ります……!」
「困らせるつもりはない。だが逃がすつもりもない」
彼は穏やかに笑い、私の手をそっと包み込む。
「リリアーヌ。君の価値に誰よりも早く気づいたのは、この私だ。
アレクシスが手放すというのなら――私は、喜んで君を迎える」
その言葉は甘く、熱く、そして圧倒的に心を揺らす。
でも……まだ。
まだ私は答えを出せない。
「しばらく……考えさせてください」
「もちろん。だが、勘違いしないでほしい」
彼は私を引き寄せ、耳元で静かに囁いた。
「私は、君を手放すつもりは一度もない」
「……!」
背筋が震えるほどの熱が走る。
彼の手から離れると、ほんの少し風が冷たく感じた。
その夜。
私は実家の屋敷に戻ると、父と母が驚いた顔で迎えてくれた。
「リリアーヌ! 婚約破棄など、本当に……?」
「はい。でも大丈夫です。むしろ、よかったのかもしれません」
「そ、そうか……しかし……」
父は複雑な表情で私を見る。
「リリア、アレクシス殿下は……君の“力”を知らないのだな?」
「はい。ずっと隠してきましたから」
「だが、ルーク殿下は……?」
「察しておられるようです」
母が胸に手を当てた。
「あの方なら……あなたを悪用することはなさそうね」
「うん」
わかっている。
彼だけは、いつも私の価値を見抜いていた。
魔力の有無ではなく、私の“本質”を。
――けれど、その価値に気づけなかった者もいる。
アレクシス殿下は早くも後悔し始めていることだろう。
だって、次の日。
私は屋敷の門で見てしまった。
「リリアーヌ! 話をさせてくれ!」
――アレクシス殿下が、朝一番に馬車で訪ねて来た。
あれほど“役立たず”と言って捨てた相手に。
彼は、必死に門を叩いていた。
私の価値に気づいたのは国中で――
あなた一人だけだと思っていたくせに。
王城の謁見の間。高い天井に声が響いた。
そう告げたのは、私の婚約者である第二王子アレクシス殿下だった。
周囲の貴族たちがくすくすと笑うのが聞こえる。彼らは、殿下の隣に寄り添う美しい茶髪の令嬢――伯爵令嬢ミリアが勝ち誇ったように微笑んでいるのを見て、もうすべてを察していた。
「理由は……何でしょうか?」
私は静かに問う。
「理由だと? リリアーヌ、お前は“役立たず”だからだ。王妃教育も人並み以下、魔力も低い。そんな者を王族の嫁に据えるわけにはいかない」
誰もが息を呑んだ。
だが私は――笑ってしまった。
だって、知っていたのだ。
アレクシス殿下は、私の“本当の価値”を何一つわかっていない。
「……そうですか。では、婚約破棄を受け入れます」
深々と頭を下げた。
ミリア嬢は嬉々とした声を上げる。
「あら、ずいぶん素直なのね? もっと取り乱すかと思ったわ」
「取り乱す理由がありません」
「ふふっ、まあ当然よね。“役立たず”なんですもの」
殿下とミリア嬢の冷たい視線が向けられる。
しかしその瞬間、玉座の横に控えていた“彼”が静かに一歩前へ出た。
「リリアーヌ嬢」
深みのある低い声。
広間の空気が一瞬で変わる。
振り向くと、そこに立っていたのは――
第一王子ルーク殿下。
この国で最も有能と称えられ、冷徹であると噂される人物だ。
だが彼の金の瞳だけは、私を見るときいつも柔らかかった。
「婚約破棄の件、私からも異論はない。ただし――」
殿下はゆっくりとアレクシス殿下に視線を向けた。
「役立たず、とは聞き捨てならないな」
「兄上……!」
「リリアーヌ嬢が“役立たず”だと? その言葉、どれほど浅はかか分かっているのか?」
ルーク殿下の声は静かだが、怒りが滲んでいた。
「兄上、彼女は魔力量の測定で――」
「魔力だけが価値ではない。彼女は――」
そこまで言って、ルーク殿下は私の方を見る。
私は首を振った。
まだ……まだ言わないでください。
私の秘密を、ここで暴露されるわけにはいかない。
しかし彼は、私の気持ちを理解したように目を細め、言葉を変えた。
「……まあいい。いずれ、お前は後悔するだろう」
アレクシス殿下が不機嫌に舌打ちする。
「兄上は彼女を過大評価しすぎです。ミリアの方が有能で、美しく、優秀です!」
「それは良かったな。好きにするといい」
ルーク殿下は肩をすくめて言い、
「リリアーヌ嬢、こちらへ。送ろう」
と私に手を差し伸べた。
周囲の視線がざわつく。
「兄上!? なぜ彼女を送る必要が……!」
「彼女は今日から自由だ。だが、城を出るまでは護衛が必要だろう。――私が責任を持つ」
アレクシス殿下が青ざめる。
その顔を見て、私はほんの少しだけ胸がすっとした。
ーーざまぁ。
とはまだ言わないけれど。
これからゆっくり味わってもらうつもりだ。
私はルーク殿下の手を取り、広間を後にした。
その後ろから、ミリア嬢の「なんでそんなに優しくするの!?」「兄上はあなたのどこが……!」という嫉妬混じりの声が響いていた。
――私の価値には、誰よりも早く気づいた人がいる。
それが、この国で最も優秀と名高い第一王子だという事実。
その重さに、アレクシス殿下が気づくのは……もう少し後だ。
「……大丈夫か?」
城の裏庭に出たところで、ルーク殿下は私にそっと紅茶を差し出してくれた。
「ありがとうございます。殿下が助け舟を出してくださらなかったら、きっと面倒なことになっていました」
「当然だ。君は誰よりも価値のある女性だ。あの場で侮辱されて黙っていられるわけがない」
「……過大評価です」
「いや、過小評価されているだけだ」
彼の言葉に、胸が熱くなる。
私はずっと“隠していた”。
家のためというより、国のため。
そして何より――自分の存在が周りを惑わせないために。
私には、生まれつき“ある力”があった。
「……殿下、私……」
「言わなくていい」
彼は紅茶を置き、私の手にそっと触れた。
「君が何を隠しているか、だいたい見当はついている。だが、君が自分から話す時まで待つよ」
「……殿下は、本当に……優しい方です」
「君にだけ、だ」
心臓が跳ねた。
彼が私に特別な視線を向けるのは、以前から少し感じていた。
けれど、こうして言葉にされると逃げ場がない。
「……私、今日から自由になりました。殿下は、それでも……?」
「むしろ今日からだ。君が誰のものでもなくなった今――」
ルーク殿下の指先が私の頬に触れる。
「私は、堂々と君を求められる」
「ッ……!」
顔が一気に熱くなった。
「こ、困ります……!」
「困らせるつもりはない。だが逃がすつもりもない」
彼は穏やかに笑い、私の手をそっと包み込む。
「リリアーヌ。君の価値に誰よりも早く気づいたのは、この私だ。
アレクシスが手放すというのなら――私は、喜んで君を迎える」
その言葉は甘く、熱く、そして圧倒的に心を揺らす。
でも……まだ。
まだ私は答えを出せない。
「しばらく……考えさせてください」
「もちろん。だが、勘違いしないでほしい」
彼は私を引き寄せ、耳元で静かに囁いた。
「私は、君を手放すつもりは一度もない」
「……!」
背筋が震えるほどの熱が走る。
彼の手から離れると、ほんの少し風が冷たく感じた。
その夜。
私は実家の屋敷に戻ると、父と母が驚いた顔で迎えてくれた。
「リリアーヌ! 婚約破棄など、本当に……?」
「はい。でも大丈夫です。むしろ、よかったのかもしれません」
「そ、そうか……しかし……」
父は複雑な表情で私を見る。
「リリア、アレクシス殿下は……君の“力”を知らないのだな?」
「はい。ずっと隠してきましたから」
「だが、ルーク殿下は……?」
「察しておられるようです」
母が胸に手を当てた。
「あの方なら……あなたを悪用することはなさそうね」
「うん」
わかっている。
彼だけは、いつも私の価値を見抜いていた。
魔力の有無ではなく、私の“本質”を。
――けれど、その価値に気づけなかった者もいる。
アレクシス殿下は早くも後悔し始めていることだろう。
だって、次の日。
私は屋敷の門で見てしまった。
「リリアーヌ! 話をさせてくれ!」
――アレクシス殿下が、朝一番に馬車で訪ねて来た。
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