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とある彼女の話
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少女にとってこの日は、とても特別な日になった。
その少女は、街に住んでいた。
今頃砂漠で苦しんでいる何処かの少年に比べれば遥かに発展した場所で、生まれ育った。
では、少年より良い生活をしていたのか。
彼女は幸せだったか、その問いかけは、どっちもどっちと言えなくもない。
ただ、彼女は少年よりは間違いなく幸運だ。
何故なら彼女は、ちゃんと『ミスト』と言う世界を説明されたのだから。
「なぁユキ、俺は良い事を思いついたんだ」
ユキ、それは彼女の名だ。
彼女は部屋の隅で、何をするわけでも無くボーっとしていた。
またどうせ何時もの様に訳の分からない事を言って、私を殴るだけだ。
そうやって、彼女はろくに耳を傾けては居なかった。
「ね、ねぇ。 やっぱり…………」
「あ? いい案だろ、どうせ15になったら言えるんだ、今言ったって問題ねぇよ」
「まぁ、そうよね。 別にあの子かどうなろうと知った事じゃないし」
女は男の意見に納得したのか、興味を無くして編み物を始めた。
これから先、冷え込む季節だ。
この時期に編み物をして、店に売るとちょっと日々のご飯が豪華になるのだ。
「お前、兄貴が死んで退屈だろ? 食べる飯もろくにねぇし、怪我だってする。 俺はお前を不憫に思ってな、名案を思いついてやった」
彼女は何も反応しない。
ただ、男も慣れているのか、そんな彼女の様子などお構いなしに話を続ける。
「いいか? この世界には『ミスト』って別の世界があんだ。 そこは神の加護があって、望めばなんでも手に入る。 食料が欲しけりゃ食料を願えばいい、傷が痛ければ、傷が癒えることを願えばいい。 『ミスト』は素敵でなぁ、金を払う必要すらない」
彼女は、ここで初めて今日は男がいつもより気違いな事を言おうとしてる事に気づいた。
「方法は簡単、魔物を倒すだけ。 そしたら神がその功績を認めてそれに見合った物をくれる、子供でも分かる簡単な話だ。 それにお前は兄貴の娘だ、きっと魔物も余裕で倒せる」
男は更に続ける。
「そんな素敵な世界に行ける方法、知りたいか? 知りたいだろ、簡単だ、願えばいい。 『ミスト』に行きたいってな。 俺はお前を預かった時からお前を兄貴と同じ冒険者にするって決めてたんだ、だからこの話をできる15まで待ってたんだが…………思えば今言えば今家から追い出せ――じゃ無くて送り出せる事に気づいたんだよ」
彼女は考えた。
まぁここにいても先は無い、ならワンちゃんに書けるほうがまだましかもしれない。
「まぁここは街だから結界があって飛べないけど、街の外行きゃ飛べるから行って来いよ。 あぁ、武器の事なら心配しなくていい。 最初は神が無料でくれるんだよ」
「分かった、行く。 さよなら」
そう言って彼女は立ち上がり、家を出ようとした。
「え…………お、おぉ。 さ、流石兄貴の娘だ。 魔物だってお前にかかれば一殺よ」
その声は明らかに笑ってる。
彼女が家の扉を開け、外出た時男が家で「本当に行きやがった、アイツはバカかよw 子供が魔物に勝てるわけねぇだろww」と言っているのが聞こえた。
確かに死ぬだけだ。
ただ、男には家に居たって死ぬだけと言う彼女の考えまでは分からなかったらしい。
それに、男が言った事はどうやら事実だった。
『ミスト』に行きたい、そう願うと確かに拒まれた感じがしたのだ。
街の外に出たら、本当に自分は飛べるだろう。
そんな確信があった。
本当に最初は武器が無料で貰えるのか、そもそも生きていける環境なのか、考えなければ生けない事は大量にあるが、彼女は全部を無視して願った。
ミストに行きたい。
その少女は、街に住んでいた。
今頃砂漠で苦しんでいる何処かの少年に比べれば遥かに発展した場所で、生まれ育った。
では、少年より良い生活をしていたのか。
彼女は幸せだったか、その問いかけは、どっちもどっちと言えなくもない。
ただ、彼女は少年よりは間違いなく幸運だ。
何故なら彼女は、ちゃんと『ミスト』と言う世界を説明されたのだから。
「なぁユキ、俺は良い事を思いついたんだ」
ユキ、それは彼女の名だ。
彼女は部屋の隅で、何をするわけでも無くボーっとしていた。
またどうせ何時もの様に訳の分からない事を言って、私を殴るだけだ。
そうやって、彼女はろくに耳を傾けては居なかった。
「ね、ねぇ。 やっぱり…………」
「あ? いい案だろ、どうせ15になったら言えるんだ、今言ったって問題ねぇよ」
「まぁ、そうよね。 別にあの子かどうなろうと知った事じゃないし」
女は男の意見に納得したのか、興味を無くして編み物を始めた。
これから先、冷え込む季節だ。
この時期に編み物をして、店に売るとちょっと日々のご飯が豪華になるのだ。
「お前、兄貴が死んで退屈だろ? 食べる飯もろくにねぇし、怪我だってする。 俺はお前を不憫に思ってな、名案を思いついてやった」
彼女は何も反応しない。
ただ、男も慣れているのか、そんな彼女の様子などお構いなしに話を続ける。
「いいか? この世界には『ミスト』って別の世界があんだ。 そこは神の加護があって、望めばなんでも手に入る。 食料が欲しけりゃ食料を願えばいい、傷が痛ければ、傷が癒えることを願えばいい。 『ミスト』は素敵でなぁ、金を払う必要すらない」
彼女は、ここで初めて今日は男がいつもより気違いな事を言おうとしてる事に気づいた。
「方法は簡単、魔物を倒すだけ。 そしたら神がその功績を認めてそれに見合った物をくれる、子供でも分かる簡単な話だ。 それにお前は兄貴の娘だ、きっと魔物も余裕で倒せる」
男は更に続ける。
「そんな素敵な世界に行ける方法、知りたいか? 知りたいだろ、簡単だ、願えばいい。 『ミスト』に行きたいってな。 俺はお前を預かった時からお前を兄貴と同じ冒険者にするって決めてたんだ、だからこの話をできる15まで待ってたんだが…………思えば今言えば今家から追い出せ――じゃ無くて送り出せる事に気づいたんだよ」
彼女は考えた。
まぁここにいても先は無い、ならワンちゃんに書けるほうがまだましかもしれない。
「まぁここは街だから結界があって飛べないけど、街の外行きゃ飛べるから行って来いよ。 あぁ、武器の事なら心配しなくていい。 最初は神が無料でくれるんだよ」
「分かった、行く。 さよなら」
そう言って彼女は立ち上がり、家を出ようとした。
「え…………お、おぉ。 さ、流石兄貴の娘だ。 魔物だってお前にかかれば一殺よ」
その声は明らかに笑ってる。
彼女が家の扉を開け、外出た時男が家で「本当に行きやがった、アイツはバカかよw 子供が魔物に勝てるわけねぇだろww」と言っているのが聞こえた。
確かに死ぬだけだ。
ただ、男には家に居たって死ぬだけと言う彼女の考えまでは分からなかったらしい。
それに、男が言った事はどうやら事実だった。
『ミスト』に行きたい、そう願うと確かに拒まれた感じがしたのだ。
街の外に出たら、本当に自分は飛べるだろう。
そんな確信があった。
本当に最初は武器が無料で貰えるのか、そもそも生きていける環境なのか、考えなければ生けない事は大量にあるが、彼女は全部を無視して願った。
ミストに行きたい。
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