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第2章
英雄になった雑用係
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◇ ◇ ◇
「本当にありがとうございました!」
村長らしき老人が深々と頭を下げてきた。
小さな集会所に集まった村人たちは皆、俺に向かって感謝の言葉を口にする。
「いえ……俺は、たまたま通りかかっただけです」
そう答えると、老人は首を振った。
「いいえ、あなたがいなければ、この村は滅んでいました。どうか、もう少しここに滞在していただけませんか?」
……滞在、か。
追放されてから行く当てもなかった俺には、願ってもない提案だった。
「わかりました。しばらく、お世話になります」
そう言うと、村人たちは拍手で歓迎してくれた。
◇ ◇ ◇
翌朝。
俺は村の外れで剣を振っていた。
昨日の戦闘で見えた自分の力――まだまだ使いこなせていない。
「【倉庫】から複製……二本、三本……いや、同時に五本はどうだ?」
手にした剣が一振り、そして空中に四本の剣が現れ、俺の意志に従って舞い踊る。
大地を抉り、木々を斬り裂き、舞い戻ってくる剣たち。
「……やれるな」
俺が思っていた以上に、このスキルは強大だった。
だが同時に、魔力の消費も激しい。これを戦場で使いこなすには、もっと効率を考える必要がある。
◇ ◇ ◇
そんな折、村の少年が息を切らせて駆けてきた。
「だ、大変だ! また魔獣が……!」
「場所は?」
「北の森だ! しかも昨日よりも大きい!」
俺はすぐに立ち上がり、剣を腰に下げた。
「案内してくれ。今度は俺ひとりじゃ済まないかもしれない」
◇ ◇ ◇
北の森へ駆けつけると、そこには巨大な二頭の魔獣――黒い牙を持つ熊のような魔物が暴れていた。
村人たちが怯えながら後退していく。
「リオンさん!」
「もう駄目だ、あんなの倒せるはずが……!」
絶望の声。
だが俺は剣を抜き、【倉庫】を開いた。
「大丈夫だ。今度は、俺ひとりじゃない」
複製した剣が宙を舞い、五本の刃が一斉に魔獣を取り囲む。
「――全方位斬り!」
四方から襲いかかる剣、さらに俺の一撃が正面から叩き込まれる。
黒熊の咆哮が森を揺らし、次の瞬間――巨体が地に沈んだ。
「お、おおお……!」
「勝った! 勝ったぞ!」
村人たちが歓声を上げ、俺を囲んで称える。
その中心で、村長が涙ぐみながら言った。
「あなたは……我らの英雄です!」
◇ ◇ ◇
英雄。
勇者パーティーから「役立たず」と追放された俺が、いまや村を救った英雄と呼ばれている。
胸の奥が熱くなる。
――だが、同時に俺は確信していた。
「これは始まりに過ぎない。俺の力は、まだまだこんなものじゃない」
そしてその力を恐れ、羨み、歯噛みする存在がいることを、俺はまだ知らなかった。
勇者カイルたち。
――俺を追放したあいつらが、やがて再び俺の前に立ちはだかる日が来るのだ。
「本当にありがとうございました!」
村長らしき老人が深々と頭を下げてきた。
小さな集会所に集まった村人たちは皆、俺に向かって感謝の言葉を口にする。
「いえ……俺は、たまたま通りかかっただけです」
そう答えると、老人は首を振った。
「いいえ、あなたがいなければ、この村は滅んでいました。どうか、もう少しここに滞在していただけませんか?」
……滞在、か。
追放されてから行く当てもなかった俺には、願ってもない提案だった。
「わかりました。しばらく、お世話になります」
そう言うと、村人たちは拍手で歓迎してくれた。
◇ ◇ ◇
翌朝。
俺は村の外れで剣を振っていた。
昨日の戦闘で見えた自分の力――まだまだ使いこなせていない。
「【倉庫】から複製……二本、三本……いや、同時に五本はどうだ?」
手にした剣が一振り、そして空中に四本の剣が現れ、俺の意志に従って舞い踊る。
大地を抉り、木々を斬り裂き、舞い戻ってくる剣たち。
「……やれるな」
俺が思っていた以上に、このスキルは強大だった。
だが同時に、魔力の消費も激しい。これを戦場で使いこなすには、もっと効率を考える必要がある。
◇ ◇ ◇
そんな折、村の少年が息を切らせて駆けてきた。
「だ、大変だ! また魔獣が……!」
「場所は?」
「北の森だ! しかも昨日よりも大きい!」
俺はすぐに立ち上がり、剣を腰に下げた。
「案内してくれ。今度は俺ひとりじゃ済まないかもしれない」
◇ ◇ ◇
北の森へ駆けつけると、そこには巨大な二頭の魔獣――黒い牙を持つ熊のような魔物が暴れていた。
村人たちが怯えながら後退していく。
「リオンさん!」
「もう駄目だ、あんなの倒せるはずが……!」
絶望の声。
だが俺は剣を抜き、【倉庫】を開いた。
「大丈夫だ。今度は、俺ひとりじゃない」
複製した剣が宙を舞い、五本の刃が一斉に魔獣を取り囲む。
「――全方位斬り!」
四方から襲いかかる剣、さらに俺の一撃が正面から叩き込まれる。
黒熊の咆哮が森を揺らし、次の瞬間――巨体が地に沈んだ。
「お、おおお……!」
「勝った! 勝ったぞ!」
村人たちが歓声を上げ、俺を囲んで称える。
その中心で、村長が涙ぐみながら言った。
「あなたは……我らの英雄です!」
◇ ◇ ◇
英雄。
勇者パーティーから「役立たず」と追放された俺が、いまや村を救った英雄と呼ばれている。
胸の奥が熱くなる。
――だが、同時に俺は確信していた。
「これは始まりに過ぎない。俺の力は、まだまだこんなものじゃない」
そしてその力を恐れ、羨み、歯噛みする存在がいることを、俺はまだ知らなかった。
勇者カイルたち。
――俺を追放したあいつらが、やがて再び俺の前に立ちはだかる日が来るのだ。
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