役立たずと追放された俺、万能スキルで世界を救う

鳴神 祈

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第5章

英雄と落ちぶれた勇者

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◇ ◇ ◇

 エリスと組んでから数日。
 俺たちは村の周辺で討伐依頼をこなしながら、連携を磨いていた。

「リオンさん、右の木陰!」
「任せろ!」

 彼女が矢を放つと同時に、俺は【倉庫】から複製した剣を三本飛ばす。
 剣と矢が交錯し、木陰に潜んでいた魔獣を瞬時に貫いた。

「やった!」
「……見事だ、エリス」

 彼女の腕は確かだった。俺の剣術と相性が抜群にいい。
 お互い、かつて追放された身だが――だからこそ息が合うのかもしれない。

◇ ◇ ◇

 その日の夜。
 村人たちは俺とエリスを囲み、宴を開いてくれた。

「リオンさん、エリスさん! 本当にありがとう!」
「俺たちの村に、こんな頼もしい守り手ができるなんて!」

 歌や笑い声が響く中、エリスが小さく呟いた。

「……私、こうやって誰かに感謝されたの、初めてです」

「追放された奴らに、そんな経験はないからな」
「ええ……でも、今は幸せです」

 彼女の笑顔を見て、胸の奥が少し温かくなる。
 俺もまた、同じ気持ちだった。

◇ ◇ ◇

 一方その頃――王都。

「カイル様、もう限界です! 魔物の討伐依頼、失敗ばかりで!」
「ギルドからの評価も地に落ちたわ!」
「このままじゃ……パーティーが解散になるぞ!」

 仲間たちの言葉に、勇者カイルは苛立ちを隠せなかった。

「黙れ! 全部リオンのせいだ! あいつが裏切ったから……!」

「でも、リオンは今や“英雄”と呼ばれてるそうよ」
 セリナの言葉が突き刺さる。

「村を救ったって噂、もう王都中に広まってる。ギルドだって、今やリオンの名前を知らない者はいないわ」

「なっ……!?」

 グランが拳を握りしめた。
「つまり俺たちは……リオンに負けたってことかよ……!」

 その瞬間、カイルは机を叩き割るほどの力で拳を振り下ろした。
「違う! 絶対に違う! リオンなんかに負けるはずがない!」

 だが仲間たちは、もうその言葉を信じていなかった。

◇ ◇ ◇

 やがて王都に流れる二つの噂が、人々の口に上るようになった。

 一つは――「村を救い、人々を助ける英雄リオン」の話。
 もう一つは――「失態を繰り返し、弱体化した勇者パーティー」の話。

 その対比は、やがて決定的な形で交わることになる。

◇ ◇ ◇

「リオンさん、次の依頼はどうしますか?」
「そうだな……そろそろ村の外に出てみるのもいいかもしれない」

 俺は空を見上げ、胸の内で呟いた。

「――いつか必ず、奴らと再会する。そのとき俺は……“英雄”として立っている」
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