最弱スキル【鑑定】しかないと言われた俺、実は最強の切り札でした 〜勇者パーティーを追放された俺の逆転劇〜

鳴神 祈

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第32章

レグナス潜入 ― 裏社会の真実 ―

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◆ 東の交易都市レグナス

 東の大地を抜け、俺たちは交易都市レグナスへと辿り着いた。
 そこは華やかな表通りと、裏社会が共存する街――金と権力がすべてを動かす場所だ。

 昼間は商人と旅人で賑わい、夜になれば賭場と闇取引が活発になる。
 表向きは「自由都市」だが、その裏には勇者一行が築いた資金網が潜んでいるという。

「ここが勇者の金の根か……派手な場所だな」
 カインが吐き捨てるように言う。

「正義の顔をして、裏ではこんな街を利用してるなんて」
 リナの声には怒りが滲んでいた。

 俺はセラに視線を向ける。
「例の情報屋、ここにいるんだな?」
 彼女は小さく頷いた。
「ええ。『クロ』って呼ばれてる男。元は私の部下よ」



◆ 闇商会への潜入

 夜。
 俺たちはセラの案内で、裏通りの奥にある酒場へ向かった。
 看板の明かりは消え、店内は薄暗い。
 奥の個室で待っていたのは、フードを被った青年――クロだった。

「……久しいな、セラ。死んだと思ってたぜ」
「生きてたわ。あんたが勇者側に寝返ったって聞くまではね」

 セラの声には冷えた刃が潜む。
 だがクロは微笑み、カウンターに指を叩いた。
「寝返った? 違うね。生き延びたんだよ。
 勇者の連中は金を持ってる。利用できるならする。それだけさ」

 俺は一歩前へ出て言った。
「取引だ。勇者アルトの金の流れ――知っている限り、全部話せ」



◆ 闇の記録

 クロは興味深そうに俺を見つめ、くすりと笑った。
「噂は聞いてる。裏切られた鑑定士、か。……いいだろう。だがタダじゃ話せない」

「何が欲しい?」
「証だよ。あんたの《真鑑定》の力で、俺が本当に狙われてるか確かめてみろ」

 俺は頷き、スキルを発動する。
《真鑑定:対象・クロ》

《ステータス異常:暗殺指定(発信者・勇者アルト)》

「……間違いない。勇者が、お前を消すつもりだ」
 クロの表情が強張り、そして苦笑に変わった。
「はは……やっぱりな。奴ら、口封じに動いてやがる」

 彼は机の下から小さな金属筒を取り出し、俺に差し出した。
「これが勇者の金の流れを記録した魔導記録だ。
 商会の取引、軍資金、裏の奴隷取引――全部つながってる」



◆ 崩れゆく均衡

 その瞬間――。
 窓の外で、鋭い金属音が響いた。

「囲まれてる!」ミリアが叫ぶ。
 闇の中から複数の影が飛び込んでくる。
 黒装束の刺客たち――勇者の私兵部隊だ。

 カインが剣を抜き、リナが詠唱を始める。
「ユウマ! データを守って!」

「分かってる!」
 俺は魔導記録を懐にしまい、セラと背中合わせになる。

「セラ、ここを抜けたらどうする?」
「レグナスを出るわ。次の目的地は“東の帝国”。そこなら勇者の資金も手が出せない」

「なら――生き延びてからだ!」

 閃光と剣閃が交錯し、夜の酒場が戦場と化した。



◆ 新たな決意

 戦闘の末、刺客たちは退けられた。
 息を荒げながら、セラが言った。
「ユウマ……このままじゃ勇者の腐敗は止まらない。帝国に行けば、王国に対抗できる力を得られる」

 俺は頷いた。
「勇者を倒すために、真実を暴く。そのためなら、どんな闇でも踏み込むさ」

 朝焼けがレグナスの街を照らす。
 それは血のように赤く、まるでこの先の戦いを予告するかのようだった。

(勇者を超える“真の英雄”になるために――
 俺はもう、迷わない)
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