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未来の息子が生まれましたが、
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しおりを挟む『イリノスの魔法使い』
同じ魔力を用いるのに使い方が異なるため、長い間冷戦が続いていた相手。
グラン国の魔導士は基本的に魔力を計算して身体の中から魔法を編み出すが、それと共に身体的な戦闘訓練を行い魔道具を用いて直接戦闘も行う。それに対しイリノスの魔法使いは杖と呪文を用いて魔法を繰り出す。
グラン国の魔導士が『動』だとしたらイリノスの魔法使いは『静』。
同じ魔力を用いて魔法を繰り出すのだが扱い方が別物で、グラン国の魔導士はイリノスの魔法使いのことを「杖と呪文が無ければ何も出来ない奴ら」、イリノスの魔法使いはグラン国の魔導士のことを「野蛮民族」だとお互いを罵りあってきた。
「戦力が上がるなら別に方法は何だっていい。とりあえず体力が無くて魔力も少ない奴らは杖と呪文を媒介に魔法を上手く構築できるのなら万々歳だ。」
「…まぁ、ね。…でも上の人たちは嫌がるだろうね。イリノスに教えを乞うなんてってね。」
「うるせぇ、時代は変わってくんだよ。いつまで古臭ぇこと言ってんだ。それで死んでちゃ意味ねぇだろ。」
「まぁね。」
「…卒業して組織に入ってる奴らは俺らがしごくとして、」
「俺らって?」
「俺とお前とアニッサ。」
「あぁ、決定なのね。」
「当たり前だろ。…それか、お前教師になる?」
「唐突だな。」
「お前教えるの上手いじゃん。向いてるだろ。ジャン・クリフトフ学園全体のレベル上げてきてくんね?」
「組合から一時脱退してもいいなら考えるよ。」
「あ、やっぱ今のなし。」
俺が即答するとクリフは「どっちだよ」と笑い出した。
「お前が抜けたら今やばい。…あー、学園はオデッセに任せるか。」
「…まぁ…、オデッセ先生なら安心だよね。あの人どっちかって言うとエイデンの考えに近いし。体術訓練未だ勝てないし。」
…そうなんだよな。基本的なスキルに関してはすでに俺らの方がレベルは上だけど、体術に関しては未だ勝てないんだよな。あと、基礎魔導学専攻だけあって少ない魔力で器用に魔法を生み出すから省エネで魔力切れを起こすことなんて無い。
「…よし、学園はオデッセに頼もう。んで、今来てるイリノスの魔法使いにも声かけてみるか。」
「そうだね。」
「…それより、ソフィアは何で入ってこないんだ?」
「…っ!?……はは、…バレてた?」
話の途中から気配はあったが、邪魔したくなかったのだろう。話がまとまったところで外にいるソフィアに声をかけるとゆっくりとドアが開いた。
「隠れてたの?」
「普通にバレるだろ。別に入ってきたも良かったのに。」
「…う…、準備できたけど、…ご飯食べる?」
「食う。」
「気を使ってくれたんだろう?ありがとう。」
クリフの発言に視線を逸らすソフィア。
…やっぱり何かが変だ。
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