82 / 127
第二章
37.謝罪と譲歩
しおりを挟む
「――さっきはすまなかった」
シルヴェリオからの謝罪に、フレイヤは目を瞬かせる。
「き、急に謝るなんて、どうしたのですか? シルヴェリオ様はなにも悪いことをしていないのに……」
「君が頑張って提示された納期通りに香水を作ろうとしたことを止めただろう。あの時、また君の気持ちを否定してしまったではないか」
その一言で、フレイヤは納期について話していた時のことかと合点した。
確かにシルヴェリオはフレイヤの気持ちを否定し、自分の主張を押し通した。しかしそれはフレイヤを想ってのことだったうえに、正論だったのだ。
それに結果として、シルヴェリオが交渉したことでフレイヤの仕事の負担は軽減された。むしろ自分が礼を言うべきなのではないかと思う。
すると話を聞いていたオルフェンが腕を組んで、シルヴェリオを睨んだ。
『ねぇ、シルヴェリオ。またフレイヤの気持ちを否定したって、どういうこと? 前にも同じようなことをしたの?』
「……ああ」
シルヴェリオは苦虫を嚙みつぶしたような顔になる。
「実はパルミロから注意されて知ったんだ。火の死霊竜に祈りを捧げに行った帰りに、君の気持ちを踏みにじるようなことを言って君を落ち込ませてしまったのだと……」
「そ、それは……」
フレイヤは言いよどんだ。
まさかパルミロに話した愚痴がシルヴェリオの耳に届くとは思ってもみなかった。
貴族で上司のシルヴェリオは、平民で部下であるフレイヤが自分の悪口を言っていたことを知って気分を害したのではないか。
その不安がフレイヤの心の中を支配する。
シルヴェリオの顔を恐る恐る見ると、彼は機嫌が悪そうというよりも申し訳なさそうな顔をしているではないか。
「俺は君を傷つけるつもりはなかった。ただ……君は他人のために自分の身を削りそうだから、俺が止めておかなければならないと思って言っていたんだ。しかし俺は言い方が悪いとパルミロに言われてしまったよ。これから気を付ける」
「……っ、シルヴェリオ様が謝る必要はありません。それに私は……まだまだ至らない点が多いから、人より頑張らないといけないのです」
「誰にそう言われた?」
「……カルディナーレ香水工房の工房長だったカルディナーレさんや、先輩たちに……」
「従業員たちが便乗して君を貶していたのか。……廃業になって良かった」
シルヴェリオの眉間に深い皺が刻まれる。深い青色の目の中には、怒りの炎が静かに渦巻いている。
「彼らの言葉は忘れてくれ。君は悪意ある言葉に惑わされていただけだ」
「ですが……」
「君に本当に至らない点が多いなら、今回の競技会では優勝できなかっただろう。それ以前に、競技会に参加できなかったはずだ。なんせ君が参加できたのは王妃殿下の推薦だからな。王妃殿下の評価を否定するつもりか?」
「い、いえ! そのようなつもりはございません!」
フレイヤは慌てて首を横に振った。
王妃殿下――王族の考えを否定するなんて、そんな畏れ多い事はできない。
「君の力を求めている人がたくさんいるはずだ。その中には、君でないと成し得ないことがあるだろう。君にはそのことに注力してほしい。これからは大量注文の仕事もたくさん依頼がくるだろうから、調香師を何人か雇って君の負担を減らすつもりだ。だから無理はしないでくれ」
「お気遣いありがとうございます。ですが……」
フレイヤは躊躇いがちに言葉を切った。
シルヴェリオはアベラルドと違って、フレイヤのためを思って注意をしてくれるし、具体的に対策を考えてくれている。
彼の考えは正しいし、気遣いには感謝しかない。
しかしフレイヤにだって調香師としての矜持がある。自身が所属する香水工房のために、できる限りの努力をしたい。
「無理をしてでも成し遂げたいことがあるときは、無理をさせていただけませんか?」
「……」
シルヴェリオは逡巡したが、「いいだろう」と弱々しく了承した。
「その代わり、自分だけでやり遂げようとするのではなく周りを頼ると約束してほしい。それなら俺も譲歩できる。しかし、本当に危険だと判断した時は止めるつもりだ」
「はい、必ずシルヴェリオ様やレンゾさんに相談して進めていきます!」
元気よく返事をするフレイヤに、シルヴェリオは眉尻を下げながらも柔らかく微笑んだ。
その眼差しはどこか甘さがあり、いつもの彼らしくない表情にフレイヤは少しどぎまぎする。
「ところで、今夜は空いているだろうか? パルミロに店を貸し切らせてくれと頼んでいるから、レンゾさんも誘ってみんなで優勝を祝いたいのだが……」
シルヴェリオの誘いに、フレイヤとオルフェンはパッと目を輝かせる。
「私は空いています! 工房に戻ったらレンゾさんを誘いますね!」
『僕も空いているよ~!』
急な誘いだったが二人とも乗り気な反応だったため、シルヴェリオは密かに安堵した。
普段は自分から祝賀会を開催することのなかったシルヴェリオにとって、なかなか勇気のいる誘いだったのだ。
「それでは今夜、<気ままな妖精猫亭>に集合だ。俺は今から魔導士団に顔を出すから、二人はうちの馬車で工房に戻っていてほしい」
『わ~、魔導士は大忙しだね~』
「……このところ、建国祭の準備で忙しくてな」
シルヴェリオの表情が、あっという間に固くなった。
『ええっ? 魔導士も飾りつけをするの?』
「そんなわけないだろう。俺たちは警備関係の仕事を任されているんだよ。当日は騎士たちに任せるが、彼らの補助となる魔法を付与していくんだ。……これ以上は国家機密だから、この話は終わりだ」
そう言い、シルヴェリオは再び歩みを進める。
コルティノーヴィス家の馬車を見つけると、フレイヤをエスコートして乗せた。
「それでは、シルヴェリオ様。また後で」
「ああ、<気ままな妖精猫亭>で落ち合おう」
シルヴェリオが御者に声をかけると、馬車が動き出した。
フレイヤは窓からシルヴェリオに向かって会釈すると、視線を前に向ける。
(なんだかシルヴェリオ様の表情、とても不安そうだったけど……大丈夫なのかな?)
不安になったフレイヤはもう一度窓から外を見る。するとシルヴェリオと視線がかち合った。
てっきりシルヴェリオはもう立ち去ったとばかり思っていたフレイヤは盛大に慌てた。どうしたらいいのかわからず、ひとまずシルヴェリオに手を振った。
(ううっ、どうしよう……。私のせいでシルヴェリオ様を引き留めてしまっているよ……)
シルヴェリオは立ち止まり、目を見開いてフレイヤを見ているのだ。
彼もまさかフレイヤが振り返って自分を見ているとは思わなかったのだろう。
シルヴェリオはぎこちない動きで片手を動かすと、フレイヤに手を振り返す。そしてどこか照れくさそうに微笑みを浮かべた。
(えっ、手を振り返してくれた……?!)
またもや予想外の反応に驚かされる。そしてちょっと照れくさい。
シルヴェリオの姿が見えなくなるまで手を振り続ける中、フレイヤの胸の中で、小さく軋む音がするのだった。
シルヴェリオからの謝罪に、フレイヤは目を瞬かせる。
「き、急に謝るなんて、どうしたのですか? シルヴェリオ様はなにも悪いことをしていないのに……」
「君が頑張って提示された納期通りに香水を作ろうとしたことを止めただろう。あの時、また君の気持ちを否定してしまったではないか」
その一言で、フレイヤは納期について話していた時のことかと合点した。
確かにシルヴェリオはフレイヤの気持ちを否定し、自分の主張を押し通した。しかしそれはフレイヤを想ってのことだったうえに、正論だったのだ。
それに結果として、シルヴェリオが交渉したことでフレイヤの仕事の負担は軽減された。むしろ自分が礼を言うべきなのではないかと思う。
すると話を聞いていたオルフェンが腕を組んで、シルヴェリオを睨んだ。
『ねぇ、シルヴェリオ。またフレイヤの気持ちを否定したって、どういうこと? 前にも同じようなことをしたの?』
「……ああ」
シルヴェリオは苦虫を嚙みつぶしたような顔になる。
「実はパルミロから注意されて知ったんだ。火の死霊竜に祈りを捧げに行った帰りに、君の気持ちを踏みにじるようなことを言って君を落ち込ませてしまったのだと……」
「そ、それは……」
フレイヤは言いよどんだ。
まさかパルミロに話した愚痴がシルヴェリオの耳に届くとは思ってもみなかった。
貴族で上司のシルヴェリオは、平民で部下であるフレイヤが自分の悪口を言っていたことを知って気分を害したのではないか。
その不安がフレイヤの心の中を支配する。
シルヴェリオの顔を恐る恐る見ると、彼は機嫌が悪そうというよりも申し訳なさそうな顔をしているではないか。
「俺は君を傷つけるつもりはなかった。ただ……君は他人のために自分の身を削りそうだから、俺が止めておかなければならないと思って言っていたんだ。しかし俺は言い方が悪いとパルミロに言われてしまったよ。これから気を付ける」
「……っ、シルヴェリオ様が謝る必要はありません。それに私は……まだまだ至らない点が多いから、人より頑張らないといけないのです」
「誰にそう言われた?」
「……カルディナーレ香水工房の工房長だったカルディナーレさんや、先輩たちに……」
「従業員たちが便乗して君を貶していたのか。……廃業になって良かった」
シルヴェリオの眉間に深い皺が刻まれる。深い青色の目の中には、怒りの炎が静かに渦巻いている。
「彼らの言葉は忘れてくれ。君は悪意ある言葉に惑わされていただけだ」
「ですが……」
「君に本当に至らない点が多いなら、今回の競技会では優勝できなかっただろう。それ以前に、競技会に参加できなかったはずだ。なんせ君が参加できたのは王妃殿下の推薦だからな。王妃殿下の評価を否定するつもりか?」
「い、いえ! そのようなつもりはございません!」
フレイヤは慌てて首を横に振った。
王妃殿下――王族の考えを否定するなんて、そんな畏れ多い事はできない。
「君の力を求めている人がたくさんいるはずだ。その中には、君でないと成し得ないことがあるだろう。君にはそのことに注力してほしい。これからは大量注文の仕事もたくさん依頼がくるだろうから、調香師を何人か雇って君の負担を減らすつもりだ。だから無理はしないでくれ」
「お気遣いありがとうございます。ですが……」
フレイヤは躊躇いがちに言葉を切った。
シルヴェリオはアベラルドと違って、フレイヤのためを思って注意をしてくれるし、具体的に対策を考えてくれている。
彼の考えは正しいし、気遣いには感謝しかない。
しかしフレイヤにだって調香師としての矜持がある。自身が所属する香水工房のために、できる限りの努力をしたい。
「無理をしてでも成し遂げたいことがあるときは、無理をさせていただけませんか?」
「……」
シルヴェリオは逡巡したが、「いいだろう」と弱々しく了承した。
「その代わり、自分だけでやり遂げようとするのではなく周りを頼ると約束してほしい。それなら俺も譲歩できる。しかし、本当に危険だと判断した時は止めるつもりだ」
「はい、必ずシルヴェリオ様やレンゾさんに相談して進めていきます!」
元気よく返事をするフレイヤに、シルヴェリオは眉尻を下げながらも柔らかく微笑んだ。
その眼差しはどこか甘さがあり、いつもの彼らしくない表情にフレイヤは少しどぎまぎする。
「ところで、今夜は空いているだろうか? パルミロに店を貸し切らせてくれと頼んでいるから、レンゾさんも誘ってみんなで優勝を祝いたいのだが……」
シルヴェリオの誘いに、フレイヤとオルフェンはパッと目を輝かせる。
「私は空いています! 工房に戻ったらレンゾさんを誘いますね!」
『僕も空いているよ~!』
急な誘いだったが二人とも乗り気な反応だったため、シルヴェリオは密かに安堵した。
普段は自分から祝賀会を開催することのなかったシルヴェリオにとって、なかなか勇気のいる誘いだったのだ。
「それでは今夜、<気ままな妖精猫亭>に集合だ。俺は今から魔導士団に顔を出すから、二人はうちの馬車で工房に戻っていてほしい」
『わ~、魔導士は大忙しだね~』
「……このところ、建国祭の準備で忙しくてな」
シルヴェリオの表情が、あっという間に固くなった。
『ええっ? 魔導士も飾りつけをするの?』
「そんなわけないだろう。俺たちは警備関係の仕事を任されているんだよ。当日は騎士たちに任せるが、彼らの補助となる魔法を付与していくんだ。……これ以上は国家機密だから、この話は終わりだ」
そう言い、シルヴェリオは再び歩みを進める。
コルティノーヴィス家の馬車を見つけると、フレイヤをエスコートして乗せた。
「それでは、シルヴェリオ様。また後で」
「ああ、<気ままな妖精猫亭>で落ち合おう」
シルヴェリオが御者に声をかけると、馬車が動き出した。
フレイヤは窓からシルヴェリオに向かって会釈すると、視線を前に向ける。
(なんだかシルヴェリオ様の表情、とても不安そうだったけど……大丈夫なのかな?)
不安になったフレイヤはもう一度窓から外を見る。するとシルヴェリオと視線がかち合った。
てっきりシルヴェリオはもう立ち去ったとばかり思っていたフレイヤは盛大に慌てた。どうしたらいいのかわからず、ひとまずシルヴェリオに手を振った。
(ううっ、どうしよう……。私のせいでシルヴェリオ様を引き留めてしまっているよ……)
シルヴェリオは立ち止まり、目を見開いてフレイヤを見ているのだ。
彼もまさかフレイヤが振り返って自分を見ているとは思わなかったのだろう。
シルヴェリオはぎこちない動きで片手を動かすと、フレイヤに手を振り返す。そしてどこか照れくさそうに微笑みを浮かべた。
(えっ、手を振り返してくれた……?!)
またもや予想外の反応に驚かされる。そしてちょっと照れくさい。
シルヴェリオの姿が見えなくなるまで手を振り続ける中、フレイヤの胸の中で、小さく軋む音がするのだった。
35
あなたにおすすめの小説
パン作りに熱中しすぎて婚約破棄された令嬢、辺境の村で小さなパン屋を開いたら、毎日公爵様が「今日も妻のパンが一番うまい」と買い占めていきます
さくら
恋愛
婚約者に「パンばかり焼いていてつまらない」と見捨てられ、社交界から追放された令嬢リリアーナ。
行き場を失った彼女が辿り着いたのは、辺境の小さな村だった。
「せめて、パンを焼いて生きていこう」
そう決意して開いた小さなパン屋は、やがて村人たちの心を温め、笑顔を取り戻していく。
だが毎朝通ってきては大量に買い占める客がひとり――それは領地を治める冷徹公爵だった!
「今日も妻のパンが一番うまい」
「妻ではありません!」
毎日のように繰り返されるやりとりに、村人たちはすっかり「奥様」呼び。
頑なに否定するリリアーナだったが、公爵は本気で彼女を妻に望み、村全体を巻き込んだ甘くて賑やかな日々が始まってしまう。
やがて、彼女を捨てた元婚約者や王都からの使者が現れるが、公爵は一歩も引かない。
「彼女こそが私の妻だ」
強く断言されるたび、リリアーナの心は揺れ、やがて幸せな未来へと結ばれていく――。
パンの香りと溺愛に包まれた、辺境村でのほんわかスローライフ&ラブストーリー。
銀狼の花嫁~動物の言葉がわかる獣医ですが、追放先の森で銀狼さんを介抱したら森の聖女と呼ばれるようになりました~
川上とむ
恋愛
森に囲まれた村で獣医として働くコルネリアは動物の言葉がわかる一方、その能力を気味悪がられていた。
そんなある日、コルネリアは村の習わしによって森の主である銀狼の花嫁に選ばれてしまう。
それは村からの追放を意味しており、彼女は絶望する。
村に助けてくれる者はおらず、銀狼の元へと送り込まれてしまう。
ところが出会った銀狼は怪我をしており、それを見たコルネリアは彼の傷の手当をする。
すると銀狼は彼女に一目惚れしたらしく、その場で結婚を申し込んでくる。
村に戻ることもできないコルネリアはそれを承諾。晴れて本当の銀狼の花嫁となる。
そのまま森で暮らすことになった彼女だが、動物と会話ができるという能力を活かし、第二の人生を謳歌していく。
落ちぶれて捨てられた侯爵令嬢は辺境伯に求愛される~今からは俺の溺愛ターンだから覚悟して~
しましまにゃんこ
恋愛
年若い辺境伯であるアレクシスは、大嫌いな第三王子ダマスから、自分の代わりに婚約破棄したセシルと新たに婚約を結ぶように頼まれる。実はセシルはアレクシスが長年恋焦がれていた令嬢で。アレクシスは突然のことにとまどいつつも、この機会を逃してたまるかとセシルとの婚約を引き受けることに。
とんとん拍子に話はまとまり、二人はロイター辺境で甘く穏やかな日々を過ごす。少しずつ距離は縮まるものの、時折どこか悲し気な表情を見せるセシルの様子が気になるアレクシス。
「セシルは絶対に俺が幸せにしてみせる!」
だがそんなある日、ダマスからセシルに王都に戻るようにと伝令が来て。セシルは一人王都へ旅立ってしまうのだった。
追いかけるアレクシスと頑なな態度を崩さないセシル。二人の恋の行方は?
すれ違いからの溺愛ハッピーエンドストーリーです。
小説家になろう、他サイトでも掲載しています。
麗しすぎるイラストは汐の音様からいただきました!
虐げられた令嬢は、姉の代わりに王子へ嫁ぐ――たとえお飾りの妃だとしても
千堂みくま
恋愛
「この卑しい娘め、おまえはただの身代わりだろうが!」 ケルホーン伯爵家に生まれたシーナは、ある理由から義理の家族に虐げられていた。シーナは姉のルターナと瓜二つの顔を持ち、背格好もよく似ている。姉は病弱なため、義父はシーナに「ルターナの代わりに、婚約者のレクオン王子と面会しろ」と強要してきた。二人はなんとか支えあって生きてきたが、とうとうある冬の日にルターナは帰らぬ人となってしまう。「このお金を持って、逃げて――」ルターナは最後の力で屋敷から妹を逃がし、シーナは名前を捨てて別人として暮らしはじめたが、レクオン王子が迎えにやってきて……。○第15回恋愛小説大賞に参加しています。もしよろしければ応援お願いいたします。
【完結】ぼくは悪役令嬢の弟 〜大好きな姉さんのために復讐するつもりが、いつの間にか姉さんのファンクラブができてるんだけどどういうこと?〜
水都 ミナト
恋愛
「ルイーゼ・ヴァンブルク!!今この時をもって、俺はお前との婚約を破棄する!!」
ヒューリヒ王立学園の進級パーティで第二王子に婚約破棄を突きつけられたルイーゼ。
彼女は周囲の好奇の目に晒されながらも毅然とした態度でその場を後にする。
人前で笑顔を見せないルイーゼは、氷のようだ、周囲を馬鹿にしているのだ、傲慢だと他の令嬢令息から蔑まれる存在であった。
そのため、婚約破棄されて当然だと、ルイーゼに同情する者は誰一人といなかった。
いや、唯一彼女を心配する者がいた。
それは彼女の弟であるアレン・ヴァンブルクである。
「ーーー姉さんを悲しませる奴は、僕が許さない」
本当は優しくて慈愛に満ちたルイーゼ。
そんなルイーゼが大好きなアレンは、彼女を傷つけた第二王子や取り巻き令嬢への報復を誓うのだが……
「〜〜〜〜っハァァ尊いっ!!!」
シスコンを拗らせているアレンが色々暗躍し、ルイーゼの身の回りの環境が変化していくお話。
★全14話★
※なろう様、カクヨム様でも投稿しています。
※正式名称:『ぼくは悪役令嬢の弟 〜大好きな姉さんのために、姉さんをいじめる令嬢を片っ端から落として復讐するつもりが、いつの間にか姉さんのファンクラブができてるんだけどどういうこと?〜』
【完結】旦那様、離縁後は侍女として雇って下さい!
ひかり芽衣
恋愛
男爵令嬢のマリーは、バツイチで気難しいと有名のタングール伯爵と結婚させられた。
数年後、マリーは結婚生活に不満を募らせていた。
子供達と離れたくないために我慢して結婚生活を続けていたマリーは、更に、男児が誕生せずに義母に嫌味を言われる日々。
そんなある日、ある出来事がきっかけでマリーは離縁することとなる。
離婚を迫られるマリーは、子供達と離れたくないと侍女として雇って貰うことを伯爵に頼むのだった……
侍女として働く中で見えてくる伯爵の本来の姿。そしてマリーの心は変化していく……
そんな矢先、伯爵の新たな婚約者が屋敷へやって来た。
そして、伯爵はマリーへ意外な提案をして……!?
※毎日投稿&完結を目指します
※毎朝6時投稿
※2023.6.22完結
【完結】余命半年の元聖女ですが、最期くらい騎士団長に恋をしてもいいですか?
金森しのぶ
恋愛
神の声を聞く奇跡を失い、命の灯が消えかけた元・聖女エルフィア。
余命半年の宣告を受け、静かに神殿を去った彼女が望んだのは、誰にも知られず、人のために最後の時間を使うこと――。
しかし運命は、彼女を再び戦場へと導く。
かつて命を賭して彼女を守った騎士団長、レオン・アルヴァースとの再会。
偽名で身を隠しながら、彼のそばで治療師見習いとして働く日々。
笑顔と優しさ、そして少しずつ重なる想い。
だけど彼女には、もう未来がない。
「これは、人生で最初で最後の恋でした。――でもそれは、永遠になりました。」
静かな余生を願った元聖女と、彼女を愛した騎士団長が紡ぐ、切なくて、温かくて、泣ける恋物語。
余命×再会×片恋から始まる、ほっこりじんわり異世界ラブストーリー。
虐げられていた黒魔術師は辺境伯に溺愛される
朝露ココア
恋愛
リナルディ伯爵令嬢のクラーラ。
クラーラは白魔術の名門に生まれながらも、黒魔術を得意としていた。
そのため実家では冷遇され、いつも両親や姉から蔑まれる日々を送っている。
父の強引な婚約の取り付けにより、彼女はとある辺境伯のもとに嫁ぐことになる。
縁談相手のハルトリー辺境伯は社交界でも評判がよくない人物。
しかし、逃げ場のないクラーラは黙って縁談を受け入れるしかなかった。
実際に会った辺境伯は臆病ながらも誠実な人物で。
クラーラと日々を過ごす中で、彼は次第に成長し……そして彼にまつわる『呪い』も明らかになっていく。
「二度と君を手放すつもりはない。俺を幸せにしてくれた君を……これから先、俺が幸せにする」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる