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第一章 聖女の髪飾り
6.気弱な妃候補
しおりを挟むミモザの王宮の使用人としての仕事がはじまった。試用期間の後半と同じく調理場に配属されたミモザは基本的に使用人寮の調理場で働くことになったが、今は妃選びの関係もあって満遍なくあちこちの手伝いに駆り出される可能性が高かった。特にまだ入ったばかりの新人ならなおさらだ。応援に行った部署での仕事ぶりがよければ異動も認められるらしいが、ミモザは調理場で満足しているので関係ない。
「絶対に仕事を押し付けられているのよ!」
庭園の管理をする部署に配属されたというティンクと、彼女とおなじ部署になった同期のジェンがカリカリとしながら言った。それから洗濯係のアリーサを含めた四人で、ミモザはせっせと王宮の調理場の裏で野菜の皮むきをしている。魔法ももちろん使っているが、おそろしい量だった。めったにない晩餐会が行われるからだ。
「でも今日はお妃様候補の方たちの歓迎会があるんでしょう?」
「今日だけじゃないじゃないの!」
おっとりとしたアリーサに、ジェンが口をとがらせた。せっせとにんじんの皮をむきながら、ミモザはこの本採用になって十日間ほどのことを思い返していた。
ミモザは普段、主に使用人寮の調理場で今日のように皮むきや、洗い物をすることが多い。調理場は時間帯によって忙しさに波のある部署なので、忙しい時にいたっては指示を受ける時かわからないことを質問する時くらいしか会話がない。
が、それでギスギスすることはなく、基本的にはどんなに見た目が不機嫌そうでも面倒見がいい者が多いのもあって、それ以外の休憩時間やちょっとした合間の時間はよく会話をし、ミモザもすぐに打ち解けることができた。
気のいい先輩から寮の部屋で使えるサイズのいらなくなったカーペットを譲ってもらったり、ちょっとした家庭料理のコツを教えてもらったりと意外と和気あいあいとした部署だ。
最初の三日間ほどは寮生活を整えるのと仕事に慣れるのでバタバタして過ごし、ある日、手が空いた時に掃除を手伝って欲しいと言われた。もちろん、使用人寮の掃除だ。ところが掃除係は調理場の仕事とは何もかも違っていた――仕事内容はもちろん、先輩たちの態度が、だ。
というのも、調理場や洗濯場などのように責任者の目の届く範囲で仕事をする部署とは違って掃除や庭の手入れなどは常に誰かの目が光っているわけではない。パランティアやスティナはある程度見回っているかもしれないが、常にその千里眼を使っているわけではないのだろう。つまり手を抜いたりさぼったりする者もそこそこ存在したのだ。
そして間の悪いことに王宮内の仕事を手伝って欲しいと依頼が来ると、王宮に憧れを持つ者たちがこぞって立候補し――しかも責任者に話を通さずに王宮に行ってしまう。大体はここ十年ほどで働きはじめた女性で、理由は採用試験に気合を入れた格好で来た者たちと同じだった。
そういう者たちは当然自分たちより後に入った使用人に仕事を押し付ける。その上相手が新入りとなれば実力が下だとバカにした態度を取り、反抗を許さない。男性使用人を味方につけて力に物を言わせたり自ら暴力をふるったりしてとにかく言うことをきかせようとしてくる。
更に責任者が最終チェックに来る頃にはちゃっかり持ち場に戻ってきて、後輩の仕事を自分の手柄にするのだ。王宮でもきっとまともに仕事をしていないに違いない……。
庭の部署も似たような感じらしいが、あちらはそもそも仕事をする範囲が広いせいか他の部署から手伝いの依頼がめったに来ないので多少マシらしい。依頼が来た時は最悪だとティンクはこぼした。今日は調理場と晩餐会の会場の手伝いの依頼があったらしく、当然会場へ行きたがった者に庭での仕事を押し付けられ、更には調理場に来ることにもなったのだという。
「本当は、別の精霊が来る予定になっていたの。わたしは別のことしてたし……でもその精霊が中に行っちゃって……ミモザがいるからまだ気持ち的にマシだけど」
「リーダーたちに相談したら、なんとかならないのかしら?」
「ちらっと言ってみたけどリーダーも忙しいみたいで……」
「言ったんだ?」
「現場を見ないと注意もできないから難しいって困らせちゃった……」
ジェンがつづけた。ミモザが以前、掃除係の手伝いに行った際もリーダーにその件を報告したがやはり同じような反応だった。注意したくないわけではなく、本当に忙しいことと、現場を見ずに注意するのはさすがに問題になるからだ。サブが数名いるが、掃除係はサブの中に面倒な性格の精霊がいてリーダーはサブと連携して見張るとは一応約束してくれたものの、どうなるかわからなそうだった。
ミモザはそもそも調理場なので、それ以上は下手に意見すると調理場と掃除係の関係が険悪になってしまう。調理場は気のいい者が多いので、あまり迷惑になるようなことをしたくない。リーダーは話を聞いてくれるが、そうでない者もいるのだから。
「ミモザ、もう終わったの?」
愚痴をこぼし合っている間ににんじんをすっかりむき終わったミモザは立ち上がった。
「うん」
「ミモザって料理も掃除も洗濯も手慣れてるよね」
「似たような仕事をしてたから」
試用期間に流れた噂はいつの間にか消えていた。パランティアかスティナが気をきかせてくれたのかもしれない。ティンクたち同期には花街の、蘭の館で下働きをしていたと話してあったが、それ以外にはあえて自分から以前どこで働いていたのかは言わなかった。
蘭の館のことは大好きだが、ファレーナからもあまり王宮で蘭の館にいたことを言わないほうがいいと言われていた。心配してくれたのだろう。ミモザはにんじんの入ったかごを持って立ち上がった。
あの試用期間の最終日にミモザを糾弾しようとした魔獣族もそうだったが、王宮でも働く者が多い以上、花街についてよく思わない者もいるだろうというのがファレーナの考えだった。ファレーナたちは自分の仕事に誇りを持っていたが、ミモザがそのせいで肩身の狭い思いをすることはないと。
調理場でせっせと野菜を切っている使用人の一人ににんじんを渡すと、たまっていた生ゴミを捨ててきて欲しいと頼まれたので、ミモザはできるだけゴミを集めて荷車につみ、ティンクたちにひと声かけて使用人寮の裏手にあるゴミ捨て場に向かった。
王宮の調理場や洗濯場は半地下にあり、建物の外から出入りができるのだが、この辺りを歩くのは使用人しかいない。いや、使用人でも仕事によっては近づかない者もいるほどだ。
木々がうっそうと生い茂り、ゴミ捨て場や裏門までの道は古い石畳が気持ち程度に敷いてある。ガタガタと荷車を押していると、ふと大きな広葉樹の下に何かが丸まっているのが見えた。
いや、何かではない――誰かだ。
その姿がよく見えるところまで来て、ミモザは足を止めた。こんなゴミ捨て場に行く道の途中にはふさわしくない豪華なドレスを着た、見た目はミモザと同じ年頃の女性がうずくまっていた。
木の陰になっているせいで黒っぽく見える濃い茶色の髪は綺麗に結い上げられ、金で作った小さな花飾りが散りばめられている。ミモザは困惑しながら、そっと荷車を押して近づくと、「あの……」と控えめに声をかけた。
「あの、大丈夫ですか?」
ゆるゆると上がった顔は気が弱そうで、薄茶色の瞳は不安で揺れていた。顔色もよくない。
「具合が悪いんですか? ここはその……使用人が通る道なので……王宮まで戻った方がいいですよ。道がわからないなら案内しますから……」
王宮で働く上級使用人――にしてはきちんとドレス姿なので、もしかしたら誰かそれなりの地位の者の家族かもしれない。
「だ、大丈夫です」
弱々しい声が答えた。
「でも、顔色が悪いですよ?」
「ほ、本当に大丈夫なんです……だから、王宮に戻るのはちょっと……」
うつむいてしまった女性にミモザは困ってしまった。ミモザも早くゴミを捨てて戻らなければならない。
「だけどここにいると、ここを通る使用人の方たちも驚いちゃいますし……あっちが寮なんです」
ミモザが指をさした方に顔を向けた女性は「そうなんですね」と声を落とした。
「王宮まで送りますよ。これを捨ててからになっちゃいますけど……ちょっと待っていてください」
返事を待たずにミモザは力いっぱい荷車を押してゴミ捨て場に向かい、できるだけ早くその場に戻ってきた。女性はうずくまったまま、ミモザを待っていた。その顔はやはり不安で彩られている。
「お待たせしました」
ミモザは笑った。
「王宮がどうしてもいやなら、どこか他の場所でもいいですよ」
一人で歩かせるのはちょっと心配な顔色だ。ミモザの言葉に女性は少しうつむいて、「王宮で大丈夫です」と力なく答えた。
荷車を押しながらゆっくりと歩く。ドレスの裾が汚れていたのでミモザは魔法で軽くきれいにしてあげた。高そうなドレスだけれど、気の弱そうな彼女にはあまり似合っていないような気がした。
「王宮で何かあったんですか? あ、言いたくなかったら――」
「いえ、大丈夫です。その……今日の晩餐会に参加しないといけなくて、それが嫌で……」
「晩餐会って……」
さっきまで皮をむいていた山のようなにんじんを思い出した。
「国王陛下の妃選びのです……」
まさか――ミモザは息をのんだが、うつむいて歩くとなりの彼女は気づかなかった。
「父に言われて妃候補になったのですが、恐れ多くて……」
逃げ出したいけれど、それもできず、心の準備をしたくて独りになりたくてあんなところにいたのだと言う。
「ごめんなさい、使用人の方にこんな愚痴」
「い、いいえ! その……大変ですね」
うつむいていた顔が上がり、困ったような笑顔が見えた。
「でも、そんなに肩肘をはって参加することもないですよ。国王陛下はいい方ですし――」
「陛下をご存知なんですか?」
「あ、いえ――その、そう、聞いたことがあるというか……あなたのお父様がはり切っていてもあなた自身は気にしないで、ちょっとおいしいごはんが食べられる! くらいの気持ちでいたらいいと思いますよ」
きょとんとした後、気弱そうな彼女はフフと笑った。ここの料理は確かにおいしいけれどちょっと的外れだったかな、とミモザは反省したが笑ってくれたのでよしとしよう。
「ありがとう」
「いえ、そんな――」
「わたしは、アンナベルといいます。あの、よかったらまたお話できませんか? 他の候補の方も何人かお見かけしたのですが、人間の方が多くてちょっと話しかけづらくて」
「ただの使用人でよかったら――わたしは、ミモザです」
アンナベルは精霊の娘だった。年齢も魔族にしてはまだ若く、見た目と同じく実年齢もミモザと同じくらいだった。握手した手はほっそりとしていて働いて荒れたミモザの手と違い、きれいに手入れされていた。
アンナベルを王宮の近くまで送り調理場に戻った。戻るのが遅いとちょっと注意はされたが特に問題はなく、その後も皿洗いなど調理場の手伝いをしっかりとこなし、晩餐会がはじまる時間になるとミモザたちは逆に手があいた。
終わればまた皿洗いなど片づけがあるので調理場の外に置かれたベンチでちょっと休憩をする。歓迎会は晩餐会と舞踏会らしい。調理場の恰幅のいいコックが果物の余りをがんばったご褒美にわけてくれたのでミモザたちは喜んでそれを口に運んだ。疲れた体に甘みや水分がうれしい。
「ゴミ捨てから戻ってくるのが遅かったのはどうして?」
ぶどうを口に放り込みながら同僚のアリーサがたずねた。
「うーん、ちょっと道案内? していて」
「道案内?」
「実はお妃候補の方だったんだけど、顔色が悪くてうずくまっていたの」
「ゴミ捨て場に行く途中で?」
「そう」
「ふーん」
「ねぇ、どんな方だった?」
「ちょっと気弱そうだったけど、いい方だったよ」
「そうなんだ。よかった~」
「どうして?」
「ほら、もしお妃様が本当に選ばれるとして、いじわるな方だったら嫌じゃない?」
眼鏡を押し上げながらジェンが笑った。それはそうだ。ミモザもぶどうをひと粒手に取った。といっても、アンナベルが選ばれたら……と考えると胸の奥がもやもやする。彼がしあわせな出会いをするならそれで、という気持ちも嘘ではないがこのもやもやはどうにもならなそうだった。
「他の方たちもいい方だといいけどね」とティンクが言ったのに、ミモザは何も考えずにうなずいた。しかしそううまくはいかないことを、すぐに実感することになるのだった。
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