魔王さま、今度はドラゴンです!

通木遼平

文字の大きさ
46 / 68
第二章 妃選び

45.夜会(3)

しおりを挟む



 テラスの方にミモザの気配を感じながら、ガーディアはベライドの兄妹の話を右から左に聞き流していた。当然、ドゥーイの話もだ。ドゥーイは娘であるアンナベルを含めた他の候補者たちよりもベライドのローズを妃に推している様子を隠そうともしていなかった。
 いや、隠していてこれなのかもしれないが……ガーディアにはどちらでもかまわない。先ほどまでいたトロストの貴族――マリエルの両親よりも品は良かったが、マシだからといってガーディアの興味を引く理由にはならなかった。それならば媚を売る両親にもガーディアにも興味を示さず周囲に気を取られているマリエルの方が見ていて飽きないだろう。

 適度に――しかし強引に会話を切り上げれば、待ち構えていたようにイシルマリのリリアナと彼女の従兄だという伯爵がガーディアに声をかけた。彼らはリリアナを妃に、というよりもザルガンドと繋がりを持つことを重要視しているらしく、会話の内容も仕事と呼べる範囲に終始していたため先ほどよりもよほど話を聞く気になれた。
 とは言っても、国交についてはガーディアが一人で決められるものでもないし、今はミモザの様子が何よりも気になるため先ほどよりも話を聞いてはいたが集中できているわけではなかった。



 この会場に来てすぐに見つけたミモザは、一番美しい姿をしていた。



 もちろんいつも可憐さを残しつつも美しいが、今日の装いは彼女にとても似合っていたしドラゴンである彼女の美しさをより際立たせていた。もしあの装いを選んだのに、彼女自身がドラゴンだからというだけではなくガーディアがドラゴンだからという理由が含まれていればいいと心から願った。
 ガーディアが伸ばすのを手助けした宝石竜にしては少し変わった角は滑らかな曲線を描き、宝石竜特有のきらめきを湛えていた。髪はよく手入れされていて、きっと彼女が本来の姿に戻ればその美しさはいっそう際立つだろう。いつかその機会に恵まれればいいが、ザルガンドは基本的に人型の魔族に合わせた作りをしているためガーディア自身もそうだったがドラゴンを含めて人間よりもはるかに大きな体を持つ魔族が本来の姿になる機会はなかなか得られない。

 イシルマリの伯爵の話がちょうど途切れた瞬間だった。

 不意に会場の空気がざわめくのを感じ、ガーディアは視線を動かした。「陛下?」とそれに気づいたリリアナの声が聞こえる。ざわめきの中心はミモザがテラスから移動した軽食のある一角で、特に魔獣族からピリピリとした雰囲気が発せられていた。
 「何かあったのかしら……?」イシルマリの伯爵夫人が不安そうに夫の腕を取り、伯爵が従妹であるリリアナを庇うように位置をずらしたのを見ながら、ガーディアは大きく息を吐いた。比較的近くにいた魔獣族はすぐにピリピリとした空気を霧散させ、気まずそうにガ―ディアに視線を向けた。

「問題ないだろう。失礼する」

 返事を聞かずにガーディアはざわめきの中心へと向かった。ミモザの気配を感じる。またロスソニエルが彼女に絡んでいるのだろうか? しかしその予想は外れ、ミモザに絡んでいたのはあの新しい妃候補、シシー・バラガンだった。

「何を騒いでいる?」

 その場は怒りに満ちていた。シトロンは無表情だが視線は氷のようだったし、ミモザもいら立っている様子だったが、それ以上に周囲にいた魔獣族がシシー・バラガンに向ける怒りが強い。ガーディアが低い声でそう言うと、魔獣族たちは多少怒りをおさめたがそれでもまだシシーを強く睨みつけていた。

「ガーディアさま!」

 やれやれとため息をつきながらミモザとシトロンに事情をたずねようとしたガーディアだったが、そのひと言に怒りに満ちていた周囲の魔獣族が焦るほど機嫌を急降下させた。しかしその怒りを向けられている相手――シシーは、神経がよほど図太いのか全く気にすることなくガーディアにすり寄ろうとした。

「名前を呼んでいいといつ許した?」

 それをかわしながらガーディアは言った。底冷えするような夜の闇が窓から会場内に流れ込むようだった。ミモザがすぐさま傍によりガーディアの腕に触れなければそうなっていただろう。さすがにシシーもただならぬ空気を感じ、その顔を青くした。

「そ、それは……ですが、わたしは妃候補で……」
「ドゥーイが勝手にはじめた妃選びで勝手に増やした候補者に俺が興味を持つとでも?」

 すがるようにこちらを見てくるシシーから視線をはずしてガーディアは自分の腕に添えられたミモザの手を取った。「陛下……」とたしなめるように口を開いたミモザに名前で呼んで欲しいと言いたくなる気持ちをグッとこらえる。

「ミモザ、何があった? 何かされたのか?」
「わたしは何も……ただ、魔獣族の方に失礼な発言があってそれで……」

 厳しい視線をシシーに向け、ミモザはガーディアからすっと手を離した。

「謝罪をしてください。魔獣族の方々に」
「な、何を……! 使用人のくせに生意気よ!!」
「わたしが使用人であることは関係ありません。あなたの発言は魔獣族の方々に対する侮辱で、ここで魔獣族の方に攻撃されてもおかしくないものです」

 シシーはきょろきょろと落ち着きなく視線を動かした。周囲の魔獣族がどういう視線を自分に向けているのかやっと気づいた様子だった。
 ガーディアも事情を察し、シシーをいっそう冷ややかに見た。愚かな娘だと思う。同じベライドの者ならばまだローズの方がわきまえている。その内心は別にしても。

 ベライドは昔から魔族に対する偏見の強い国だ。事実はどうであれ魔族を人間より劣っていると考える者が多く、忌み嫌う者もまだ大勢いる。そういう国で生まれ育った人間が魔族に対してどういう感情を抱いているのかなんてわかりきっている。
 しかしこうしてザルガンドと国境を接している以上、ベライドの王侯貴族はその感情をうまく取り繕う術を身につけていた。ザルガンドの魔族たちもあからさまな態度を取られなければ基本的には人間の内心がどうなっているかは気にしない。人間たちはそれをわかっていて、己の身を守る意味も込めて上辺だけの態度を取るのだ。

 あからさまな態度を取ればどうなるか――子どもでもわかることだろう。

「わ、わたしに手を出せば国同士の問題になるわよ……!!」

 赤ん坊以下か……ガーディアはあきれた。しかも国同士の問題には絶対にならない。自分がベライドの王族ならこの国と対立するような真似はしない。伯爵家くらい簡単に切り捨てる。

「それがどうした?」

 ガーディアの突き放すような物言いに、シシーの顔色は青を通り越して白くなった。周囲に誰も味方はいない――そんな絶望から救うように「シシー!」と慌てた男の声が招待客の合間を縫って聞こえてきた。

 身なりのいい金髪の男がシシーに駆け寄りその体を抱きしめるように支えた。若々しくやさしげな、整った顔立ちの男をシシーは「お父さま」と呼んだ。ベライドのバラガン伯爵だ。この男がドゥーイの商売相手だということをガーディアは知っていた。

「一体何が……」
「その娘はこのザルガンドという国がどういう国かよく理解できないまま滞在してるようだな」
「こ、国王陛下……!」

 合流した妻に娘であるシシーを預けながら伯爵はガーディアにあいさつをしようとしたが、ガーディアはそれを遮った。

「失礼があったのなら謝罪いたします。娘はまだ若く、私や妻も娘可愛さに――」

 バラガン伯爵の碧眼が大きく見開かれ、並べられた言い訳は不自然に途切れた。その視線はガーディアではなく、彼のとなりに向けられている。それをたどるように、ガーディアはとなりを見た。表情を強ばらせたミモザが、その紫色の瞳をバラガン伯爵へと向けていた。

「お前は……!!」

 バラガンが声を上げると同時にびくりとミモザの肩が跳ね、ガーディアは思わずその細い肩を抱いた。

「知り合いか?」
「……いいえ」

 視線はもう、バラガンへもガーディアへも向いていない。

「彼女がどうした?」

 代わりにガーディアがバラガンへと厳しい視線を向けた。ミモザが何かを隠したのは明らかだったが、それをここで問いつめることはできないだろう。バラガンは一瞬顔をしかめたが、すぐに誤魔化すような笑顔をはりつけた。隙のない、商売人らしい笑顔だった。

「いえ、知り合いに似ていたもので……お騒がせして申し訳ありません。娘もはしゃぎすぎて疲れているのでしょう。素晴らしい夜会でしたから。今晩は一足先に下がらせていただきます。明日以降、ぜひ歓談の機会を設けていただけたら……それでは、失礼いたします」

 妻と娘をうながして会場を後にするバラガン伯爵に対し、ミモザはずっとうつむいたままだった。

「ミモザ、大丈夫か?」

 のぞき込むように顔を見ると、ミモザは力なく微笑んだ。顔色がよくないように見える。シトロンもさっきまでの無表情が嘘のように心配そうにミモザに視線を向けていた。周囲からの視線も感じ、ミモザの肩を抱いたまま見渡せば、いら立ちの行き場をなくした魔獣族が訴えるようにガーディアを見ているのに気づいた。

「シトロン」

 よく通る声で秘書官の名前を呼べば、彼はすぐに仕事の顔になった。

「この場にいる魔獣族から話を聞いてどう対応するか意見をまとめて来い」
「わかりました。陛下は?」
「ミモザを送っていく」

 ガーディアはまたミモザの顔をのぞき込みながら言った。

「本当に、何でもないんです……大丈夫ですから、気にしないでください」

 ミモザは言った。

「ただちょっと……その……知っている人に似ていて、驚いたんです」

 バラガンも同じことを言っていた。ガーディアは眉根を寄せてバラガンが去って行った方を見た。知り合いなのだろう。ミモザはザルガンドに来る前は人間の国で暮らしていた。それがアルディモアだけではなかったら……?

「いや、送っていく。今日はもう休め」
「陛下がここを離れない方がいいと思いますよ」

 苦笑いするミモザはいつもの調子に近く、ガーディアは少しほっとした。

「俺にはこんな夜会よりミモザの方が大切だ」
「そういうわけにはいきません」
「……わかった。送った後に戻るから、送らせてくれ」

 ガーディアはそれ以上譲らなかった。ミモザは少し困った様子を見せながらも差し出されたガーディアの腕に遠慮がちにその手を添えた。
 途中、アンナベルが――彼女もミモザを捜していたところだった――歩み寄りミモザに心配そうに声をかけていたがそれがかえってミモザにはよかったらしく、少し肩の力が抜けた様子だった。自分ではそうできなかったことに落ち込むが、ミモザがいつもの様子に戻ってくれるならそれが一番だ。

 会場を一歩出ると廊下は多少立ち話をする客たちがいたが比較的静かだった。ミモザは王宮内の空き室をいつも妃選びの準備に使っていて、そこに着替えもあると言うのでとりあえずその部屋まで送ることにする。この装いが見納めなのは残念で、ガーディアは焼き付けるようにミモザの姿を見つめた。

「陛下」

 しかし水を差すようにまた新たな声が響いた。この夜会だけでこうして声をかけられるのは何度目だろう……うんざりした気分でガーディアが振り返ると、そこには厳しい顔をしたロスソニエルがいた。

「何だ?」
「どちらへ行かれるのです?」
「ミモザを送っていく」
「シトロンは? シトロンに送らせればいいでしょう」

 ロスソニエルの厳しい視線はミモザに向けられていた。

「お前も何を当然のように陛下に送らせようとしているのだ」
「俺がそうしたいと言った」

 うんざりした気分を隠すことなくガーディアは言った。

「ロスソニエル、お前は批判できる立場なのか?」
「それは……しかし! 陛下には亡くなった聖女様がいらっしゃいます!! その者が陛下のとなりに当たり前のように立つなど、そんなこと……!!」
「俺のとなりに立つ者が誰がいいかは俺が決めることだ」

 ミモザはまさにその聖女の生まれ変わりだが、それはロスソニエルには通用しないだろう。そもそも言う必要がないとガーディアは思っていた。

「元々お前はドゥーイの牽制のために軍部が送り込んだ候補者なんだろう? 俺が自ら選ぶ相手には何の文句もないはずだが?」
「それは……しかし!!」

 会場に比べれば薄暗い廊下の闇が濃くなった気がした。

「ロスソニエル、お前の態度は彼女に対してもシトロンに対しても目に余る。この国の王としてより俺個人として許せるものじゃない――目をつぶるのは今回までだ。わかったら下がれ」

 ロスソニエルの視線は睨みつけるようにミモザに向けられ、ミモザの視線はたしなめるようにガーディアへ向けられた。そのくらいでと言いたいのだろうが、ガーディアもそう気が長いほうではない。悔しそうに唇を噛みしめ夜会の会場へと戻っていくロスソニエルにガーディアはため息をついた。

「陛下」
「ガーディアと」
「まだ会場が近いのでここでは呼べません。それより、ロスソニエルさまのことはもう少しうまくたしなめられたのでは?」
「ロスソニエルが純粋にミモザを尊敬しているだけなら――」
「わたしというか、わたしの前世ですね……」
「そうだな……あれはどうもミモザの前世――聖女だった頃の君に固執している。視野も狭くなっていて、生まれ変わったと言っても受け入れないだろう。こちらも一々突っかかられてはな……シトロンも昔から絡まれているし」
「そうでしたね」

 ロスソニエルは敬愛する王妃の目を避けているつもりだったかもしれないが、彼女がシトロンによく突っかかっていたのはミモザもきちんと知っていた。

「まあ、ああ言っておけば少しは大人しくなるだろう……」

 それよりもミモザの様子の方が気になる。何を隠されたのか問いつめるような真似はしないが、部屋にたどり着くまでにガーディアは何度も何度もミモザの顔色をのぞき込んだのだった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

差し出された毒杯

しろねこ。
恋愛
深い森の中。 一人のお姫様が王妃より毒杯を授けられる。 「あなたのその表情が見たかった」 毒を飲んだことにより、少女の顔は苦悶に満ちた表情となる。 王妃は少女の美しさが妬ましかった。 そこで命を落としたとされる少女を助けるは一人の王子。 スラリとした体型の美しい王子、ではなく、体格の良い少し脳筋気味な王子。 お供をするは、吊り目で小柄な見た目も中身も猫のように気まぐれな従者。 か○みよ、○がみ…ではないけれど、毒と美しさに翻弄される女性と立ち向かうお姫様なお話。 ハピエン大好き、自己満、ご都合主義な作者による作品です。 同名キャラで複数の作品を書いています。 立場やシチュエーションがちょっと違ったり、サブキャラがメインとなるストーリーをなどを書いています。 ところどころリンクもしています。 ※小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿しています!

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ

音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。 だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。 相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。 どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

処理中です...