魔王さま、今度はドラゴンです!

通木遼平

文字の大きさ
49 / 68
第二章 妃選び

48.継父

しおりを挟む



 夜会の翌日の王宮は、いつもよりもゆっくりと朝がはじまった。

 と言ってもそれはあくまでごく一部の者たちだけで王宮で働く使用人たちは――もちろん、夜会の夜遅くまで働いていた者こそ休みだったが――どこか雑然とした昨夜の名残を片づけなければいけなかったのでいつもの朝と大して変わらない時間から働きはじめていた。

 仕事内容だけはいつもと違う。掃除係は会場となった大広間やその傍にある休憩や化粧直しなどに使われた小部屋の片づけをしなければいけなかったし、庭園の担当者も会場に面した庭園のゴミ拾いや、酒に酔った者が踏み込んだらしい花壇などを整え直さなければいけなかった。
 調理場で働く者たちは皿洗いに追われ、洗濯係はテーブルクロスなどはもちろん、掃除係の元に派遣され汚れた絨毯を元通り綺麗にするのに尽力した。

 ミモザは幸い今日は休みをもらっていた。昨晩、ガーディアはあの後ミモザが再び眠くなるまで他愛のないおしゃべりにつき合ってくれた。ミモザが眠りにつく時はまだそこにいた彼がいつ自分の部屋に戻ったのかはわからないが、目を覚ました時にはまだ部屋の中に彼の気配が残っているようだった。

 今日はできる限り部屋にいるつもりだ。本当は夜会でのシシー・バラガンの発言のことがあったのでシトロンの様子を見に行きたかったが、ガーディアから聞いた話によると今日は夜会の招待客たちが人間も魔族もみんなこぞってガーディアや、宰相府の重役たちに面会を申し込んでいるらしいのでシトロンも忙しいだろう。
 普段交流のない近隣国の人間たちはもちろん、ザルガンドの各地から来た魔族の長たちもこの十年引きこもっていたガーディアへの面会を強く望んでいた。この国は基本的に各地の自治に任せていたしガーディアが特別何かしなくても宰相府だけで国が動かせるようにはなっていたのでその辺りの問題はなかったが、ガーディアが娘を喪うということがはじめてだったため純粋に彼の様子を知りたいらしかった。

 のんびりと起床をし、ほとんど誰もいない寮の食堂へと向かった。自分で何か作って食べるつもりだったがミモザの姿を見つけた調理場の先輩が自分も小腹がすいたからと言って残り物で軽食を作ってくれたのでありがたくいただくことにした。

「おいしそうなもの食べてるね」

 やわらかな声に顔を上げるとぐるりと丸まった角が目に入った。「おはようミモザ」とほがらかに笑うのは同期の一人、エドメだ。羊の魔獣族である彼は厩舎や家畜小屋などの動物の世話を主にしていた。

「おはよう、エドメ」
「休みなのに早いね」
「そうでもないと思うけど」

 時計を見ながらミモザは言った。エドメは休みの日、いつも昼近くまで眠っているようなので、そんな彼の休日と比べればたしかに早いかもしれないが。
 エドメは常にテーブルの上に用意されているポットからお茶をもらうと、自由に使っていいジャムをひとさじ落としてミモザの向かいの席に座った。作業がひと段落して休憩に戻ってきたのだ。

「昨日の夜会はどうだった?」

 エドメに聞かれて、ミモザは肩をすくめた。

「大変だったんだね」
「でもわたしは早めに帰ったから」
「あの新しい妃候補の子、魔獣族のこと悪く言ったんだって?」
「どうして知ってるの?」
「どこにでも耳が早いやつっているんだよ」

 エドメはお茶を飲みながら言った。

「ミモザ、怒ってくれたんだろう? ありがとう」
「お礼を言われるようなことはしてないけど……」

 魔獣族が、というよりもシトロンを悪く言われたからという怒りの方が強かった。しかしそれは口にできない。

「あの妃候補の子はまだこの国にいるんだってね」
「そうなの……でも、陛下は何か考えがあるみたいだから……」
「うん、まあ……いなくなって欲しいなぁとは思うけど、陛下が考えもなく残しているとは思わないよ」

 「そう思わないやつもいるかもしれないけど」とエドメはつづけた。

「陛下が決めたことに文句を言うなんておそろしいことできないもんね」

 冗談めいた口調にミモザは少しほっとした。

「でも早めにどうにかしてほしいって、その……」
「うん、陛下に伝えられたら、伝えておくね」
「ありがとう」

 エドメはうれしそうに笑った。自分たちのことをあんな風に言う人間がいつまでも近くにいることに対していい気分がしないのは当然のことだ。穏やかなエドメでさえそうなのだから、他の魔獣族だって同じ思いだろう。シトロンだって……。

 明日の昼までにはバラガン伯爵は帰国することはわかっていたが、やはり早めにシトロンに会いに行こうとミモザは思った。この王宮は広い。客室のある来賓館を避けてだってシトロンの執務室には行けるし、昨日のできごとを考えればシトロンのところにバラガン伯爵がいるとも思えないので、執務室にさえ行ってしまえば鉢合わせることもないだろう。





***





 そう思ったのは甘かった。

「見つけたぞ……!!」

 地を這うような低い声がミモザを呼び止めた。ミモザにとって運が悪いことにその廊下はしんと静まり返っていて、誰かが近づく気配もない。窓から見下ろせば庭には誰かがいるかもしれないが、騒ぎさえ起こさなければ気づかれないだろう。





 エドメと話した後、少し部屋で時間をつぶしてから昼時を狙ってミモザはシトロンに会いに出かけることにした。忙しくても昼休みはあるはずだ。もしかしたら誰か招待客と食事の約束をしているかもしれないが。
 部屋を出たタイミングでティンクと出くわした。彼女も今日は休みで、まだ眠そうな顔をしている。シトロンに会いに行ってくると言うと昨晩のことを聞いていたティンクはその内容を思い出したのかしかめっ面をしてシシーがまだ妃候補としてこの国の残ることへの不満をこぼした。みんな思うことは同じらしい。シトロンの様子がわかったら、“白い庭”へ立ち寄ってガーディアにこのことを伝えるのもいいかもしれない。

 シトロンの執務室は星宮せいぐうの近くにあるのでミモザはそこに向かうことにした。誰にも会わずに星宮の近くまで行くのに一番いい道筋は“白い庭”まで行ってから星宮へ入ることだったが、“白い庭”に行けば間違いなくガーディアが――彼のところに客がいたとしても――現われるだろう。彼への伝言はあったが先に会うとシトロンのところに行きづらくなりそうなので、それ以外であまり誰かに会わないような廊下を選んで行った。

 庭を通り抜け、客室や大広間から離れた廊下を静かに通り抜けた。この辺りは掃除係も時々しか掃除をしに来ない。廊下を突き当りまで行って使用人用の通路を――掃除道具などをしまう物置を兼ねた通路が王宮のあちこちに設置されていた――通れば星宮に近い廊下に出る。一番近くの階段を上がればシトロンの執務室まではすぐだった。



 でも決して気を抜いたわけではない。



 「見つけたぞ」という低い声は知っている声で、ミモザは表情を強ばらせた。振り返らずに立ち去ろうとするも一足先に強い力で腕をつかまれ強引に後ろを向かされた。
 ミモザの腕をつかんだ金髪碧眼の人間の男は年の割に若く見え、普段ならば穏やかでやさしげに見えるだろう整った顔立ちをしている。しかし今はミモザを蔑むように見据えていた。

「店から勝手に逃げ出してどこに行ったかと思えばこんなところにいたとは」

 ラングドール・バラガンは吐き捨てるようにそう言った。

「昨日はシシーにも恥をかかせ……お前のせいでこの国にいられなくなったじゃないか!!」
「わたしのせいじゃありません。彼女が世間知らずだったせいです」

 怒りなのか恐れなのか、震えそうになる声をこらえながらミモザはきっぱりと言った。

「黙れ! この償いは店でしっかりとしてもらうぞ……!!」
「放してください! わたしはもう、あなたとは関係ありません……!!」

 腕をつかむ力が強まり、爪が二の腕に食い込む感触がした。ミモザがその気になればいくら成人男性でも相手は人間だ。簡単に振り払えるがうっかりケガをさせるわけにはいかない。別の問題になって、ガーディアやシトロンに迷惑をかけるだろう。それにこの男を相手に手加減をすることはミモザには難しかった。

 この、継父に対して手加減することは。

「関係ないだと?」

 ラングドールは鼻で笑った。

「残念だがお前の戸籍も、契約書もそのままだ。親である俺がお前のことを決める権利がある。昨夜の償いも今まで逃げていた分もきっちり働いてもらうぞ。お前の体は俺の物だからな。当然――」

 ラングドールの視線がミモザの角を見た。

「その角もな。そこらの宝石よりもよほど高く売れた――質も最高だ」

 ラングドールが空いている手で襟飾りに触れた。美しい緑色の宝石はエメラルドのようにも見えたが、そうではないことはミモザにはひと目でわかった。

 軋むような音がミモザののどの奥から漏れた。

「お前……母さんの角を……!!」
「うるさい!!」

 頬に鋭い熱が走り、ミモザは廊下に倒れ伏した。のどの奥の熱を抑えるのに精一杯でまともに受けてしまったが怒りのせいで痛みは感じなかった。

「生意気な目を……!! 俺がお前の母親を救ってやったんだぞ!! 当然の報酬だ!!」
「何が救ってやった!? お前は母さんをだましてあんなところで働かせただけ!! それに、他の魔族だって……!!」
「黙れ!!」

 腹部を蹴り飛ばされ、うめく間もなく角をつかまれて強引に顔をあげさせられる。ミモザが憎しみを込めてラングドールを睨みつける以上に、ラングドールはギラギラとした視線をミモザに向けていた。整っているはずの顔立ちは醜悪な感情に染まり、角を握る手はギリギリと力を強めていく。

「お前……まさか余計なことをこの国で話していないな……!?」

 ミモザは押し黙った。話しておけばよかったと心底後悔している。

「話したのか!?」

 しかしミモザの態度をそう判断したラングドールはますます頭に血をのぼらせた。ミモザの角を力いっぱいつかんだままミモザの体を蹴りつけ、彼女を罵った。

 これだけこの男が騒いでいても誰も来ないということは、このすぐ下の庭には使用人一人いないということだろう。つかまれた角の根元が熱い――にじみ出た血がミモザの目じりをかすめて流れていった。





***





「あれ? シトロンさま?」

 外の空気でも吸おうとティンクが寮から出たところで、彼女はシトロンにばったり出くわした。シトロンは少し疲れた顔をしていたがいつもより上等そうな服を着ていてその夕日に似た濃い金髪を昨晩のように撫でつけていた。

「ミモザに会いに来たんだが」

 ミモザもシトロンもお互いに夜会でのことが気になっていたらしい。微笑ましくて思わずにやけてしまったが、不満そうな視線を向けられてティンクは唇を引き結んだ。

「ミモザならシトロンさまに会いに行くって出かけましたよ。すれ違ったんですね」
「俺に?」
「夜会であの新しい妃候補の子が問題を起こしたじゃないですか。それで、シトロンさまのことが気になったみたいです」
「そうか……ありがとう」

 自分に会いに行ったならきっと執務室の方へ向かったのだろう。シトロンは来た道を引き返した。

 シトロンの今日の予定はほとんどガーディアと一緒だった。一日を予定通り終わらせるために、彼が客と会う時、傍に控えていたのだ。それなりに予定がつまっていたので話が長くなりそうな相手はシトロンがうまく間に入って時間通り会談を終わらせなければならなかった。
 ガーディアはいつもそれほど仕事熱心というわけではないが、今日はどことなく上の空で、一応、客に対してはそれなりの対応をしてはいたが、シトロンはそんなガーディアの様子がずっと気になっていた。

 昼を過ぎた頃、昼食を共にとりながらガーディアはミモザの様子を見に行くようにシトロンに告げた。ちょうど午後の予定を確認していた時だった。午後も訪問客が多く、ガーディアはうんざりした顔を隠すこともしなかったが、ため息とともに自分がミモザのところにすぐに行くことはできないと判断したのだろう。

 昨晩の夜会で魔獣族のことでシシー・バラガンが問題のある発言をし、ミモザと言い争いになった後――シシー・バラガンの父親と顔を合わせた時、ミモザの様子は明らかにおかしかった。ガーディアが送って行ったが、事情を聞いたのだろうか? 夜更けにガーディアが出かけて行った気配がしたから、きっとミモザのところに行ったのだろうと思ったけれど……しかしわざわざ様子を見に行くように言うということは、ガーディアもミモザから何も聞けなかったのかもしれない。

 不安になりながら、執務室へ戻る足を速めた。もう少し行けば執務室のある廊下へたどり着く。



 この王宮内にはふさわしくない血の気配は、執務室とは別の方向から漂ってきた。



 思わず立ち止まったシトロンの背後から、冷たい夜の気配がした。ぞっとする何かが背中を撫で、「まさか……」という思いと共にシトロンは黄金の毛皮を逆立ててその血の気配の方向へと駆け出したのだった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

差し出された毒杯

しろねこ。
恋愛
深い森の中。 一人のお姫様が王妃より毒杯を授けられる。 「あなたのその表情が見たかった」 毒を飲んだことにより、少女の顔は苦悶に満ちた表情となる。 王妃は少女の美しさが妬ましかった。 そこで命を落としたとされる少女を助けるは一人の王子。 スラリとした体型の美しい王子、ではなく、体格の良い少し脳筋気味な王子。 お供をするは、吊り目で小柄な見た目も中身も猫のように気まぐれな従者。 か○みよ、○がみ…ではないけれど、毒と美しさに翻弄される女性と立ち向かうお姫様なお話。 ハピエン大好き、自己満、ご都合主義な作者による作品です。 同名キャラで複数の作品を書いています。 立場やシチュエーションがちょっと違ったり、サブキャラがメインとなるストーリーをなどを書いています。 ところどころリンクもしています。 ※小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿しています!

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ

音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。 だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。 相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。 どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

処理中です...