夢の中でもつかまえて~会社の先輩の強引な罠から逃れられません~

haru

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5.エレベーターの中で(1)

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「あっ・・お疲れさまです。」
 思わず目が合って、軽く会釈する。

 エレベーターに入ってきたのは、企画部の藤崎さん。
 私より頭一つ分くらい背が高い。
 珍しく、メガネはずしてる。いつも仕事中だけ、つけてるのかな?
「お疲れさま。昨日は遅くまで大変だったね。無理してない?」
「い、いえ、峠は越えたというか・・・あとは細かい修正だけなので」
「そっか、今回、納期も短かったし、特に二ノ宮さんには迷惑かけたね。」
「いえ、そんな・・・・・。いつもフォローとか、ありがとうございます」
 いつもさりげなく、こうやって気にかけてくれる・・・。
 藤崎さん自身も忙しくて、今は大変だろうな――――
 
 チラっと見上げると、藤崎さんも少し間を置いてこちらを見て――――
「二ノ宮さん さ、この後・・・予定とかある?」
「・・・えっ?」
「・・・もし良かったら」
 その時、藤崎さんの肩ごしに、片面ガラス張りの、外の景色が見えて、
 遠くの方、細い線がピカッと光った。
「あれ?・・・」
 景色の向こう、どんよりとした暗い雲の合間から、細く長い稲光がいくつも光ってみえる。
 同時に空がチカっと点滅したみたい。

 その直後、ドーンと外で雷鳴が響いたかと思うと、エレベーターが突然止まった。
「えっ・・・」
 驚いてると、エレベーター内の電気も一瞬で消えてしまい、
「・・・ウソ・・・・」

 突然、頭上から、バリバリバリッと、雷の音がとどろく。
「きゃぁあっ!」
 思わず、藤崎さんの左肩のほうにパッと身を寄せ、肩口を両手でつかむ。
「うぅ・・・・」
 どしゃぶりの雨の音も、同時にエレベーター内に響いてきて――――

 豪雨の音の中、耳の近くまで顔が近づき
「・・・大丈夫か?」
 雷が怖くて、返事できないでいると
「大丈夫・・・音もすぐ止むと思うから」

 安心させるためか、私の二の腕あたりを軽く右手でポンポンと触れて―――


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