オメガバース全集

ひやむつおぼろ

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オメガバース 無知 ギャグ 幼なじみ 執着

「えっ!男らしい高タンパク質の取り方を教えてくれるのか!?」完

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 俺は、雄也に呼び出されてトイレの個室にいた。コンコンと控えめなノックが響く。

「っ、はいってます」

「ふふ、アキラ。ぼくだよ」

 ガチャと鍵を開けて、雄也を迎え入れる。前までは全然興奮したり恥ずかしかったりしなかったのに、好きな人と二人でこんな近くにいたなんて、しかもエッチなこともしてたなんて思うと、顔がカァッと赤くなる。

 雄也はなんだか居心地の悪そうな顔をして、トイレの個室のドアの前に立った。

「ラットは、もう平気か?」

 ビクッと肩を跳ねさせて、雄也は恐る恐るこちらを見た。

「あぁ、えっと、ごめんね。アキラにカウンセリングルームに運ばせちゃって」

 ラットの間の記憶は残ってないのか…。好きだの僕のだの散々言ってくれたことを思い出し、あの時、自分の気持ちに自覚していたらと後悔する。

「気にしないでくれ、大丈夫だから。それより、雄也に話したいことがあって…。」

「……やっぱり。」

 小さい声で雄也が何かを口にする。聞き取れなかったし、俯いているしで、雄也が何を思っているのかわからない。

「? 雄也、なに」

「やっぱり、嫌だったんでしょ。僕がアキラのこと好きって言ったこと!これを辞めたいって言うんでしょ!そりゃそうだよね。気持ち悪いよね、男なのに、アキラが欲しいなんて!」

「ゆ、ゆうや落ち着いて」

 雄也、覚えてたのか。俺に好きって言ったこと。なのにしれっと出てきたのか。なんで。疑問とともに愛おしい相手が泣いて錯乱していることに胸が痛む。

「ね、アキラ教えてよ。アキラが欲しがってたオメガ。僕からアキラの初恋奪ったオメガ。僕が、そいつを噛んでやる。アキラは僕なんか嫌いでしょ。僕の番にはなってくれないんでしょ?僕のにならないなら、僕、ぼくは。」

「雄也!!!」

 バシン、と両頬を手のひらで叩いて顔を上げさせる。雄也の目は嫉妬の炎で燃えて、こちらを一切見ていない。なんてやつだ!雄也が俺以外を噛む?聞き捨てならない。

「雄也は、俺じゃなく他のオメガと番になりたいのか?」

「ちがう。アキラが欲しい。でも、番じゃなくても、一緒にいたい。友達でもいい。」

 雄也、言葉が足りないぞ。ラットの時の方が恋愛偏差値が高くてどうするんだ。
 でも、そうだな。ラットの時のトロトロの雄也が教えてくれた。大丈夫。きっとできる。

「雄也、よく聞け、俺に好きなオメガなんて元から居ないんだ。」

「庇うなんて許さないよ」

 居もしない相手にやきもち焼いて…なんで雄也はそんなかわいいことするんだ。雄也の焦点はこちらに合わず、目は座ったままだ。

 雄也の顔にずずっと近く。柔らかそうな唇をギュッと噛んで、悔しそうに俺を通して俺が庇ったオメガを探している。うん、なんだか腹が立ってきた。まだ番じゃないからここにはキスできないけど、ほっぺならいいよな?ちゅっと音を立てて触れると、初めて裕也と目があった。

「あっ、あきら?!」

「雄也がガリ勉になってアルファになって、ドンドン俺を置いてくから、一個でもおんなじ授業とりたくて、おんなじ教室に行きたくて…。だから、アルファになりたかったんだ。雄也がオメガならオメガになりたいって言ったと思う。少しでも側にいたかったんだ。」

 ほっぺにキスしたのがだんだんと恥ずかしくなってきて、思わず目を逸らす。

「じゃあアキラの好きなオメガは……?」

「同じクラスのアルファから、アルファになって良かったこと聞いたんだ。そしたら、好きな子がオメガだったからって言ったから…使った。嘘ついてごめん。」

「そう、なんだ…」

 雄也が後ろ手にトイレの鍵を開けた。逃げ出す気だな?させない。グイッと腕を引き、便座に押し倒す。

「雄也、俺はアルファにはなれない。授業一個お揃いにしたところで、もう満たされないところまで来ちゃったから…。雄也のこれからが全て欲しい。」

 ポカンと開けた口が可愛くて、思わず唇の端にキスをする。これはマウストゥーマウスじゃないからセーフだ。

「雄也が好きだ。番にしてくれ」

 ランドセルを床に落として、服を脱ぎ、噛みやすいように後ろを向いた。

 エナメル質の歯が、うなじの皮膚を裂く。ガッと体が熱くなり、体の作り全てが雄也専用に入れ替わっていくのがわかった。

 俺はそのまま、気を失った。

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