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1stプロジェクト ヤンデレ懺滅作戦
5.未来科学の恩賞・古月 結二
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「そうそう。アタシに任せて! 二人とも、アタシの力を聞くがよい!」
古月さんはスマートフォンを鞄から取り出して電話をかけ始めた。彼女はキャッチホンにして、ぼくと東堂さんが聞こえるようにしてくれる。
「もしもし、執事の三国? 校門近くにいないけど……まあ、いいや。ちょっと頼みたいことがあるんだけど、いいかしら?」
「はい……お宅どちら様ですか?」
古月は老人の声に反応し、電話を切った。
「ユニちゃん? 間違い電話だったら、しっかり謝ることだね」
「はーい」
うわの空で返事をして、再度電話をかける彼女。
「もしもし……あっ! 三国」
「今日の午後から、休暇を取ったのでお嬢様に付き添ってはいられません。ではまた」
どうやら執事に裏切られたらしい。古月さんは休暇のことをすっかり忘れていたようだが。
彼女は今にも蒼いスマートフォンを粉々にしそうな勢いで怒りをあらわにし、そのまま地面にたたきつけた。聞かされるんじゃなくて、見せつけられたな。力を。
「壊れろ!」
「ふ、古月さん。落ち着いてえ!」
「ユニちゃあん……」
一日にして、ここまでクラス委員長のイメージが崩れていくことを誰が想像しただろう。彼女はスマートフォンを拾い上げて、道路の向こうにあるどぶ川へとそれを放り捨てた。
彼女のやることが大胆過ぎて、何が起こっているのかは理解できない。
「残念ねえ……」
「いいもん。自分で探すから。自分のネットワーク使って調べるからいいよ」
そう言って彼女は懐から翠色のスマートフォンをいじり始めた。しかも、スワイプやタップを高速で繰り返している……
「確か。宮古って人を襲撃するんだから、彼のことを知らないといけないんだよね。これで調べられないことはないと思うけど、顔写真とかある? 同性同名がいるから困っちゃって」
「あ、宮古さんの画像ならあるよ。どう?」
何か目前で未来のハイテクさを感じさせる行動をしているけれど、ぼくがその中に入っても良いのか分からなくない。スマートフォンに不思議さを知った。小さいのに素晴らしい……
自分のちっぽけさが情けなくなる。
そんなぼくを応援するかのように東堂さんは彼女の黄色いスマートフォンを頬に当ててきた。
「見て見て! これがターゲットの写真」
画面に映るターゲットの写真を拝見させてもらう。それならと、ぼくは持っているスマートフォンを差し出しメールで送ってもらえるように頼む。
すると、思いもしないことが起きてしまった。
「ねえ。三人で通信会話アプリのグループを作った方が良くない?」
ぼくの顔が熱くなった。まさか、そんな行動がぼくに許されているのか!?
今まで、そのアプリに家族以外の人物を登録することはなかった。そういうことをしても、いつか忘れられて誰からの連絡も来なくなる。
その時、ぼくのスマートフォンを持つ手は震えていた。その様子に東堂さんが言う。
「あれ? 陽介君、登録の仕方分からないの?」
黙って何回も何回も頷いていた。そして、無意識のうちに彼女へスマートフォンを渡している。
数分も経たぬ間にスマートフォンがぼくの元へ戻ってきた。
「あ。私とユニちゃんとの友達登録しといたよ」
「と、ともだち?」
「幾ら、グループや友達登録したからって夜バンバン送ってきたら、すぐにブロックして無視するからね! 御影。分かった?」
またも首を縦に振る。分かっています。そんな馬鹿なことはしないので安心してください。
浮かれあがった心と共に、ぼくは駅の方向へと走っていた。息が切れても関係なく、ただ走り続ける。
「あっ!? ちょっと御影? 何処行くのよ!」
「もう時間だから、急いで帰らないといけないんだよ! 後で連絡取ろう!」
古月さんの言葉にそう答えると、駅へと一心不乱に向かう。
早く帰宅して、この感動に一人で浸っていよう……
――――――――――――――――――――
この喜びを例えられるものがない。はっ。そうか。いわゆる「青春来たーっ」て奴だ。家に到着したぼくは夕食を済まし、珍しくも夜の間に風呂も入った。ベッドの上で彼女たちの連絡が来るのを待つだけだ。
期待が胸にこみあげて、ニヤニヤが止まらない。
「グループ名『完全犯罪計画部』……もっといいネーミングセンスとかなかったのかな?」
スマートフォンに充電器をつけて彼女たちから情報の提供を待っている。
いつもは目立たないぼくでも、ここでは明るくなれるのだろうか。
それにしても、一体最初の言葉は何となるんだ!?
そう思っているとスマートフォンが振動を始めた。ついに来た!
「……ああ」
最初のメッセージは東堂さんからであった。いいや。彼女はメッセージではなく画像を送ってきたのだ。ぼくのスマホに映ったのは三枚の写真。この人が宮古 楽助なのは確実だ。
「これが楽助。依頼主の彼女がストーカーされてるときに撮影した写真みたい」
東堂さんからそう断言するメッセージが来た。
三枚の写真には、ストーカーである彼の顔や体がしっかり撮れている。これなら、ミッションを簡単にクリアできるかもしれない。
そんな調子に乗って仕事を進めようとしているぼくに天罰が下るのは、すぐ後のことだった。
またスマートフォンが揺れた。どうやらグループとは全く関係ない人物から送られたメッセージ……
「ヒメからメッセージです! 今から陽君の部屋に突入!」
その意味を理解する前に、背後から大きな影が突然飛び掛かってきた!?
古月さんはスマートフォンを鞄から取り出して電話をかけ始めた。彼女はキャッチホンにして、ぼくと東堂さんが聞こえるようにしてくれる。
「もしもし、執事の三国? 校門近くにいないけど……まあ、いいや。ちょっと頼みたいことがあるんだけど、いいかしら?」
「はい……お宅どちら様ですか?」
古月は老人の声に反応し、電話を切った。
「ユニちゃん? 間違い電話だったら、しっかり謝ることだね」
「はーい」
うわの空で返事をして、再度電話をかける彼女。
「もしもし……あっ! 三国」
「今日の午後から、休暇を取ったのでお嬢様に付き添ってはいられません。ではまた」
どうやら執事に裏切られたらしい。古月さんは休暇のことをすっかり忘れていたようだが。
彼女は今にも蒼いスマートフォンを粉々にしそうな勢いで怒りをあらわにし、そのまま地面にたたきつけた。聞かされるんじゃなくて、見せつけられたな。力を。
「壊れろ!」
「ふ、古月さん。落ち着いてえ!」
「ユニちゃあん……」
一日にして、ここまでクラス委員長のイメージが崩れていくことを誰が想像しただろう。彼女はスマートフォンを拾い上げて、道路の向こうにあるどぶ川へとそれを放り捨てた。
彼女のやることが大胆過ぎて、何が起こっているのかは理解できない。
「残念ねえ……」
「いいもん。自分で探すから。自分のネットワーク使って調べるからいいよ」
そう言って彼女は懐から翠色のスマートフォンをいじり始めた。しかも、スワイプやタップを高速で繰り返している……
「確か。宮古って人を襲撃するんだから、彼のことを知らないといけないんだよね。これで調べられないことはないと思うけど、顔写真とかある? 同性同名がいるから困っちゃって」
「あ、宮古さんの画像ならあるよ。どう?」
何か目前で未来のハイテクさを感じさせる行動をしているけれど、ぼくがその中に入っても良いのか分からなくない。スマートフォンに不思議さを知った。小さいのに素晴らしい……
自分のちっぽけさが情けなくなる。
そんなぼくを応援するかのように東堂さんは彼女の黄色いスマートフォンを頬に当ててきた。
「見て見て! これがターゲットの写真」
画面に映るターゲットの写真を拝見させてもらう。それならと、ぼくは持っているスマートフォンを差し出しメールで送ってもらえるように頼む。
すると、思いもしないことが起きてしまった。
「ねえ。三人で通信会話アプリのグループを作った方が良くない?」
ぼくの顔が熱くなった。まさか、そんな行動がぼくに許されているのか!?
今まで、そのアプリに家族以外の人物を登録することはなかった。そういうことをしても、いつか忘れられて誰からの連絡も来なくなる。
その時、ぼくのスマートフォンを持つ手は震えていた。その様子に東堂さんが言う。
「あれ? 陽介君、登録の仕方分からないの?」
黙って何回も何回も頷いていた。そして、無意識のうちに彼女へスマートフォンを渡している。
数分も経たぬ間にスマートフォンがぼくの元へ戻ってきた。
「あ。私とユニちゃんとの友達登録しといたよ」
「と、ともだち?」
「幾ら、グループや友達登録したからって夜バンバン送ってきたら、すぐにブロックして無視するからね! 御影。分かった?」
またも首を縦に振る。分かっています。そんな馬鹿なことはしないので安心してください。
浮かれあがった心と共に、ぼくは駅の方向へと走っていた。息が切れても関係なく、ただ走り続ける。
「あっ!? ちょっと御影? 何処行くのよ!」
「もう時間だから、急いで帰らないといけないんだよ! 後で連絡取ろう!」
古月さんの言葉にそう答えると、駅へと一心不乱に向かう。
早く帰宅して、この感動に一人で浸っていよう……
――――――――――――――――――――
この喜びを例えられるものがない。はっ。そうか。いわゆる「青春来たーっ」て奴だ。家に到着したぼくは夕食を済まし、珍しくも夜の間に風呂も入った。ベッドの上で彼女たちの連絡が来るのを待つだけだ。
期待が胸にこみあげて、ニヤニヤが止まらない。
「グループ名『完全犯罪計画部』……もっといいネーミングセンスとかなかったのかな?」
スマートフォンに充電器をつけて彼女たちから情報の提供を待っている。
いつもは目立たないぼくでも、ここでは明るくなれるのだろうか。
それにしても、一体最初の言葉は何となるんだ!?
そう思っているとスマートフォンが振動を始めた。ついに来た!
「……ああ」
最初のメッセージは東堂さんからであった。いいや。彼女はメッセージではなく画像を送ってきたのだ。ぼくのスマホに映ったのは三枚の写真。この人が宮古 楽助なのは確実だ。
「これが楽助。依頼主の彼女がストーカーされてるときに撮影した写真みたい」
東堂さんからそう断言するメッセージが来た。
三枚の写真には、ストーカーである彼の顔や体がしっかり撮れている。これなら、ミッションを簡単にクリアできるかもしれない。
そんな調子に乗って仕事を進めようとしているぼくに天罰が下るのは、すぐ後のことだった。
またスマートフォンが揺れた。どうやらグループとは全く関係ない人物から送られたメッセージ……
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