22 / 53
1 Side 慧
21 どうにかしないと
しおりを挟むどうしたらいいかわからなかった俺は、とりあえずいまの状況を変える必要があると思い、バイトの帰りに呼び出して話をしてみようと考えた。
――すこしでも、この空気を変えなければ。
そう意気込んだ俺は、土曜の昼前に裏口から店に入った。
普段なら誉史が先に準備をしていることが多かったので、緊張しながら休憩室に入る。しかしなぜかそこにあいつの姿はなかった。
どうしたのだろう、俺はそう思い開店準備をするマスターに聞いてみる。
「おはようございます、マスター。誉史まだ来てないんですね」
「あ、慧くんおはよう。……それがね、さっき連絡来たんだけど、今日は体調不良でお休みなんだって」
そのことばに、これまで風邪を引いたり弱っているあいつの姿を見たことがなかったので、俺は驚く。また同時に、こころの奥底で安心している自分がいることに気づいた。
俺はひとりそれを叱責する。
――何をほっとしているんだ、俺は……。
面と向かい合うのが気まずいからといって、これではただ問題を先延ばしにしているだけなのだ。
このときの俺は、確かに気づいていた。
自分の中に芽生えた恋心は、日を追うたびに大きく膨れ上がって、存在感を増している。
それは英梨さんのとき以上に自分自身を侵食しており、このままではいつか何も手につかなくなってしまうのではという心配すらあった。
――とりあえず、今日はあいつがいない分しっかりやらないと。
俺は鏡に映る自分の顔を叩いて、表へと向かったのだった。
夏の暑さが収まりつつある行楽日和ということで、どうやら人々は郊外へと足を運んでいるらしい。喫茶店「みどり」は忙しくはあったものの、十分俺ひとりで対応できる客数だった。
――ふう、どうにかなった。
時刻は十六時。夕方最後のお客様を見送り、少しずつ傾いてきた西の日を感じながらテーブルを拭いていた時だった。
カランと玄関のベルが鳴り、
「――いらっしゃいませ」
俺がそう声をかける。
そこにいたのは、すべてを受け入れるかのような穏やかな微笑みを浮かべた俺の女神――英梨さんだった。
25
あなたにおすすめの小説
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
【完結】男の後輩に告白されたオレと、様子のおかしくなった幼なじみの話
須宮りんこ
BL
【あらすじ】
高校三年生の椿叶太には女子からモテまくりの幼なじみ・五十嵐青がいる。
二人は顔を合わせば絡む仲ではあるものの、叶太にとって青は生意気な幼なじみでしかない。
そんなある日、叶太は北村という一つ下の後輩・北村から告白される。
青いわく友達目線で見ても北村はいい奴らしい。しかも青とは違い、素直で礼儀正しい北村に叶太は好感を持つ。北村の希望もあって、まずは普通の先輩後輩として付き合いをはじめることに。
けれど叶太が北村に告白されたことを知った青の様子が、その日からおかしくなって――?
※本編完結済み。後日談連載中。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
学校一のイケメンとひとつ屋根の下
おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった!
学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……?
キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子
立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。
全年齢
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる