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第一話 帰宅と目撃
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僕、室生犀星は野暮用で少し外出していた。
帰宅して玄関に入ると親友・芥川龍之介君の下駄があった。
おや? 芥川君が来ているのか。
あまり深く考えずに家の中に入ると“情事”の声が聞こえてきた。
「ぁ、ぁ、“芥川さん”、もっと、奥まできて!!」
「“とみ子さん”の胎内、気持ちいいよ」
妻と親友の“不貞”の現場……
本来なら、怒鳴り込む場面なんだろうが、僕は物音を立てずに
二階の書斎に向かった。
文机の前に座り階下で見た妻と親友の“情事”に一種の優越感を覚えた。
とみ子のあの啼き方からして“初めて”ではないのだろう。
僕に隠れて不義密通を働いていた妻と親友。
妻のとみ子が僕の親友の芥川君に“恋慕”していたことに僕は気付いていた。
まさか、芥川君がそれに応えるとまでは思わなかったが……
階下からはまだ、艶めかしい吐息が聞こえてくる。
数分後、声が止んだ。
「二人とも、“情事”は済んだのかい?」
僕は階下に降りた。
「っ、犀星君!! すまない、僕は君を裏切った……
もう、ここへは来ないよ。
とみ子さん、今までありがとう」
芥川君は着物を整えて玄関に向かった。
「犀星さん、ごめんなさい……」
ーー
宣言通り、芥川君はぱったりと来なくなった。
芥川君が来なくなって五ヶ月後のある朝、目が覚めると
とみ子の姿が家の何処にもなく、居間の机の上には“離婚届け”と置き手紙があった。
【芥川さんの子を身籠りました、一人で育てます。
探さないでください。 浅川とみ子】
旧姓……
僕は芥川君の家に向かった。
帰宅して玄関に入ると親友・芥川龍之介君の下駄があった。
おや? 芥川君が来ているのか。
あまり深く考えずに家の中に入ると“情事”の声が聞こえてきた。
「ぁ、ぁ、“芥川さん”、もっと、奥まできて!!」
「“とみ子さん”の胎内、気持ちいいよ」
妻と親友の“不貞”の現場……
本来なら、怒鳴り込む場面なんだろうが、僕は物音を立てずに
二階の書斎に向かった。
文机の前に座り階下で見た妻と親友の“情事”に一種の優越感を覚えた。
とみ子のあの啼き方からして“初めて”ではないのだろう。
僕に隠れて不義密通を働いていた妻と親友。
妻のとみ子が僕の親友の芥川君に“恋慕”していたことに僕は気付いていた。
まさか、芥川君がそれに応えるとまでは思わなかったが……
階下からはまだ、艶めかしい吐息が聞こえてくる。
数分後、声が止んだ。
「二人とも、“情事”は済んだのかい?」
僕は階下に降りた。
「っ、犀星君!! すまない、僕は君を裏切った……
もう、ここへは来ないよ。
とみ子さん、今までありがとう」
芥川君は着物を整えて玄関に向かった。
「犀星さん、ごめんなさい……」
ーー
宣言通り、芥川君はぱったりと来なくなった。
芥川君が来なくなって五ヶ月後のある朝、目が覚めると
とみ子の姿が家の何処にもなく、居間の机の上には“離婚届け”と置き手紙があった。
【芥川さんの子を身籠りました、一人で育てます。
探さないでください。 浅川とみ子】
旧姓……
僕は芥川君の家に向かった。
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