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第二話 狂気の沙汰と言われても
田端の町を三十分ほど歩き、芥川君の家に着いた。
呼び鈴を鳴らすと芥川君本人が出て来た。
「犀星君……
やっぱり、僕のことを殴りたくなったのかい?」
芥川君はかなり窶れていた。
「殴りに来たんじゃないよ。とみ子が離婚届けと置き手紙をして
家を出て行った。手紙には君の子を身籠ったと書いてあった」
僕の言葉に芥川君は驚いた顔をした。
「身に覚えはあるんだろう?」
「……そうだね。 犀星君、本当にすまなかった……
君から妻を、朝子ちゃんと朝巳君から母親を奪ってしまった。
だが、あの日以来、とみ子さんとは手紙のやりとりもしていないし会ってもいないんだ」
この際、お腹の子が誰の子かなんてどうでもいい。
教員時代の貯金があるにしろ、身重の身体で何処に?
二人の地元の金沢の友人知人に手紙を出したがとみ子を見ていないという。
「信じるよ、芥川君は僕の親友だ」
芥川君はとみ子が失踪したと告げた時とは違う驚いた顔をした。
「なんで……? 怒ってよ、犀星君!!
罵るなり殴り飛ばすなり、絶交するなりしてくれれば……」
「最初は驚いたのは本当だけど、とみ子が君に恋慕していることを
前々から気付いていたし、どちらかというと“祝福”に近い感情なんだよ。
産まれてくる子を“僕の子”として育てていいかい?」
「犀星君、本気かい? 孕ませた当人にである僕が言えたことじゃないが
僕ととみ子さんの子を犀星君の戸籍に入れて育てる?
産まれれば“養育費”はきちんと出すけど……」
「本当は養育費なんていらないけど、子育ては何かと入り用だから
その時は受け取ることにするよ。
芥川君、僕はね、本当に怒ってないし二人を責めるつもりもないんだよ。
だって、僕は二人が大好きだからね。
そうだな、僕のことも“抱いて”くれたら、許してあげよう。
とみ子を虜にした君に僕も啼かされてみたい。
それとも、男の僕じゃ、欲情しないかな?」
芥川君は一歩下がった。
「欲情するとかしないとかの問題の前だ!!
妻を寝取って、あまつさえ、孕ませた男に“抱かれたい”なんて狂気の沙汰だよ!!」
僕は芥川君を抱き締めた。
「“文士”なんて生き物はどこかしら狂っていて壊れているものだよ。
とみ子を探しに行く前に、僕を“抱いて”おくれ」
僕が本気だとわかったんだろう。
芥川君は僕を家の中に招き入れ、書斎に連れてきた。
「犀星君、いいんだね?」
「“抱かれる”のは初めてだけど、芥川君になら捧げるよ」
芥川君は羽織を背に敷いてくれた。
「ぁ、んっ、んっ」
本来、受け入れるべきではない場所だから、当然、痛みが伴う。
「~~~っ!!」
だけど、僕の心は満たされていた。
「ありがとう、芥川君。とみ子が虜になったわけがわかったよ」
事後、着物を整えた後、僕は芥川君に抱き着いたまま離れなかった。
「芥川君の体温を感じられて僕は幸せだよ」
僕は芥川君の胸に頬を寄せなが呟いた。
「さて、とみ子を探しに行こう。
お腹の子が芥川君のであれ、身重の女性が一人でなんて大変だ」
呼び鈴を鳴らすと芥川君本人が出て来た。
「犀星君……
やっぱり、僕のことを殴りたくなったのかい?」
芥川君はかなり窶れていた。
「殴りに来たんじゃないよ。とみ子が離婚届けと置き手紙をして
家を出て行った。手紙には君の子を身籠ったと書いてあった」
僕の言葉に芥川君は驚いた顔をした。
「身に覚えはあるんだろう?」
「……そうだね。 犀星君、本当にすまなかった……
君から妻を、朝子ちゃんと朝巳君から母親を奪ってしまった。
だが、あの日以来、とみ子さんとは手紙のやりとりもしていないし会ってもいないんだ」
この際、お腹の子が誰の子かなんてどうでもいい。
教員時代の貯金があるにしろ、身重の身体で何処に?
二人の地元の金沢の友人知人に手紙を出したがとみ子を見ていないという。
「信じるよ、芥川君は僕の親友だ」
芥川君はとみ子が失踪したと告げた時とは違う驚いた顔をした。
「なんで……? 怒ってよ、犀星君!!
罵るなり殴り飛ばすなり、絶交するなりしてくれれば……」
「最初は驚いたのは本当だけど、とみ子が君に恋慕していることを
前々から気付いていたし、どちらかというと“祝福”に近い感情なんだよ。
産まれてくる子を“僕の子”として育てていいかい?」
「犀星君、本気かい? 孕ませた当人にである僕が言えたことじゃないが
僕ととみ子さんの子を犀星君の戸籍に入れて育てる?
産まれれば“養育費”はきちんと出すけど……」
「本当は養育費なんていらないけど、子育ては何かと入り用だから
その時は受け取ることにするよ。
芥川君、僕はね、本当に怒ってないし二人を責めるつもりもないんだよ。
だって、僕は二人が大好きだからね。
そうだな、僕のことも“抱いて”くれたら、許してあげよう。
とみ子を虜にした君に僕も啼かされてみたい。
それとも、男の僕じゃ、欲情しないかな?」
芥川君は一歩下がった。
「欲情するとかしないとかの問題の前だ!!
妻を寝取って、あまつさえ、孕ませた男に“抱かれたい”なんて狂気の沙汰だよ!!」
僕は芥川君を抱き締めた。
「“文士”なんて生き物はどこかしら狂っていて壊れているものだよ。
とみ子を探しに行く前に、僕を“抱いて”おくれ」
僕が本気だとわかったんだろう。
芥川君は僕を家の中に招き入れ、書斎に連れてきた。
「犀星君、いいんだね?」
「“抱かれる”のは初めてだけど、芥川君になら捧げるよ」
芥川君は羽織を背に敷いてくれた。
「ぁ、んっ、んっ」
本来、受け入れるべきではない場所だから、当然、痛みが伴う。
「~~~っ!!」
だけど、僕の心は満たされていた。
「ありがとう、芥川君。とみ子が虜になったわけがわかったよ」
事後、着物を整えた後、僕は芥川君に抱き着いたまま離れなかった。
「芥川君の体温を感じられて僕は幸せだよ」
僕は芥川君の胸に頬を寄せなが呟いた。
「さて、とみ子を探しに行こう。
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