担任とその恋人に構われています!!

華愁

文字の大きさ
4 / 5

第三話★*:・゜正反対の僕達が仲良くなったのが不思議なようです。

しおりを挟む
翌日から真貴君は普通に僕に声を
掛けて来てくれた。


『詩弦、はよ』


「真貴君、おはよう、
昨日、あの後«恋人»のこと
抱き潰してない?」

僕がふざけて言うと笑った。

『流石の俺も平日にはヤらねぇよ(笑)』

確かに一颯さんの欠席理由が
{真貴君に抱き潰されたから}じゃ
洒落にならいもんね。

「そっか、疑ってごめん」

『思ってねぇだろう?

まぁいいけどよ。

それよりは、昼飯一緒に食わねえか?

⟦一颯が‘三人分’の弁当を
作って来たらしいんだ⟧』

それは断ったら失礼だよね。

「いいよ、でも僕買い弁だから
食堂付き合ってくれる?」

一颯さんは料理もできるんだ。

『わかった、んじゃ四時間目が
終わったら食堂行って詩弦の弁当
買ってから中庭行こうぜ』

「ありがとう」

そんな茶番劇がちょうど終わる頃に
担任の一颯さんが教室に入って来た。

毎日のことながらHRホームルーム中に
静かなことなんてあったためしがないけど
一颯さんは気にしていないのか
皆が聞いていようと聞いてなかろうと
その日の必要事項を話している。

目が合うと僕にだけわかるように笑った。

一瞬でいつもの表情かおに戻すとそのまま教室を出て行った。

*------------------*

一時間目は数学で二時間目は理科と理数続きで
三時間目は現代社会だった。

四時間目の授業の用意をしていたら隣の席の
穂積さんに話し掛けられた。

「ねぇ野山君、今朝七尾君と話してたけど
いつから仲良くなったの?」

「昨日の放課後からだよ」

理由はあえて言う必要はないよね。

「そうなんだ、七尾君って
ちょっと怖いイメージがあったから
野山君と話してるのを見て驚いたちゃった」

真貴君は見た目不良っぽいもんね(笑)

「あの髪色とちょっと目付きが悪いから
怖そうだけど話してみると普通だよ」

一颯さん限定のドSだけど
話していると普通なんだよね。

『詩弦、聞こえてんぞ』

実は斜め後ろに真貴君が居るのは知っていた。

「え!? 七尾君!?」

あはは、穂積さんが驚いてる。

『目付きが悪いのは本当じゃん』

偶然知っちゃったけど優しい表情かおも知っている。

『元からだっつうの』

まぁ、あの表情かおを見れるのは
本来、恋人の一颯さんの特権だろうからクラスの皆は知らなくていい。

そんな話をしていたら本鈴が鳴り
四時間目の国語を無事に終えて鞄から財布とスマホを
取り出して真貴君の席に行った。

「真貴君、食堂付き合って」

『そうだったな、んじゃ行くか』

二人で教室を出た。

食堂に着いて自販機で真貴君が冷たい紅茶とブラックコーヒーを、
僕は冷たい緑茶とおやつにとチーズドッグを三個買って
旧校舎二階の空き教室に向かった。

「一颯さん、今日はHRホームルーム以来だね」

空き教室のドアをきっちり閉めてから口を開いた。

午前中に英語の授業はなかったからね。

『そうですね、座ってください』

教師が生徒二人に‹‹敬語››で話つつ椅子を引いている
というなんとも不思議な光景はあの頭かっちかちの年功序列が当たり前で
男尊女卑も甚だしい教頭が見たら卒倒ものだろう。

「ありがとう」

お礼を言うとにっこり笑ってくれた。

『どういたしまして。

さて昼休みは短いですから早速食べましょう』

机の上に並べられたお弁当はどれも美味しそうだ。

「これ一颯さん一人で作ったの!?

大変だったでしょう……」


『高校入学とともに一人暮らしを始めて十五年ですから
ある程度のルーティンはできていますし
前日から下拵えをしていた物もありますから
そう大した手間ではないんですよ?』

な、成る程…… 凄い!!

「そうなんだね、作って来てくれてありがとう」


『いえいえ』

取り皿まで用意していてくれた一颯さんに感謝しつつ
さっき買っておいたチーズドッグを二人に渡して
おやつまで食べ終わる頃に予鈴がなった。

『私は先に戻りますけど、
五時間目には遅れないでくださいね』

二人で間延びした返事をした。

適当な返しをしているけど五時間目には遅れるわけがない。

だって五時間目は今一緒に居る
一颯さんの英語なんだから。

あの後、勿論五時間目に遅れることはなく
六時間目の世界史を適当に聞きつつ放課後になった。

皆が帰った頃、一颯さんと三人で
他愛もない話しを一時間くらいして真貴君と教室を出た。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された

あまさき
BL
国民的アイドル×リアコファン社会人 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると… 「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」 気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 初めましてです。お手柔らかにお願いします。

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

本気になった幼なじみがメロすぎます!

文月あお
BL
同じマンションに住む年下の幼なじみ・玲央は、イケメンで、生意気だけど根はいいやつだし、とてもモテる。 俺は失恋するたびに「玲央みたいな男に生まれたかったなぁ」なんて思う。 いいなぁ玲央は。きっと俺より経験豊富なんだろうな――と、つい出来心で聞いてしまったんだ。 「やっぱ唇ってさ、やわらけーの?」 その軽率な質問が、俺と玲央の幼なじみライフを、まるっと変えてしまった。 「忘れないでよ、今日のこと」 「唯くんは俺の隣しかだめだから」 「なんで邪魔してたか、わかんねーの?」 俺と玲央は幼なじみで。男同士で。生まれたときからずっと一緒で。 俺の恋の相手は女の子のはずだし、玲央の恋の相手は、もっと素敵な人であるはずなのに。 「素数でも数えてなきゃ、俺はふつーにこうなんだよ、唯くんといたら」 そんな必死な顔で迫ってくんなよ……メロすぎんだろーが……! 【攻め】倉田玲央(高一)×【受け】五十嵐唯(高三)

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中  二日に一度を目安に更新しております

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

処理中です...