子連れ教師は三神くんがお気に入り☆

華愁

文字の大きさ
5 / 9

第四話☆休日出勤と留守番と暴露

しおりを挟む
それはある休日に起こった。

満彦が午前中だけ学校に用があるとかで
桜耶と二人で留守番をしていたら、チャイムが鳴った。

休みの日に来客なんて初めてだった。

一応、俺も此処の住人だが家主の満彦がいない今、
勝手に出るわけにはいかず
悩んでいると今度はドアを叩きながら怒鳴り出した。

そして、その声を聞いた途端に桜耶が怯え出した。

『桜耶? どぉした?』

涙目になりながら首を横に振るだけで
極力声を出さないようにしている。

リビングから移動して仕事中かも知れない満彦に電話を掛けた。

「柾?」

三コールで満彦は出た。

『仕事中に悪い……実は』

俺は五分前に起きた事態を簡潔に話した。

「それは、元妻だ。

桜耶は母親にいい思い出があまりないんだ」

どういうことだ?

実母だよな?

桜耶を見る限り、虐待されてたわけでもなさそうだし……

電話越しでも俺の考えがわかったのか、満彦は
訊く前に応えてくれた。

「別に桜耶に対して直接危害を加えたわけではない」

となると、男を連れ込んでいたか
言葉で桜耶が傷つくことを言ったかだ。

『そうなのか、じゃぁ、出なくてもいいんだな?』

桜耶が怯えていたし、家主の満彦がいないから
端から出る気はないのだが。

「あぁ、ほっといていい」

近所迷惑だが仕方ない。

最優先は桜耶だからな。

『わかった。

早く帰ってこいよ』

それだけ言って電話を切った。

お昼ギリギリで、満彦が帰って来た。

「ただいま」

玄関を開けると満彦は元妻の襟首を掴んでいた。

『お帰り』

俺の顔を見るなり喚こうとした
元妻の口を満彦が手で塞いだ。

「柾、悪いが、タオルを一枚持って来てくれ」

『わかった』

騒がれると近所迷惑だし、何より桜耶が怖がる。

洗面所に行く途中で子ども部屋を覗いた。

『桜耶?』

返事がない。

中に入ってベッドに近づくといつの間にか
眠ってしまったらしく規則正しい寝息が聞こえてきた。

良かった……

音を立てないように
静かに子ども部屋の
ドアを閉めてから
洗面所に寄り
玄関に戻った。

『持って来たぞ』

「サンキュー、桜耶は?」

俺が子ども部屋に寄って来たことをわかってる口振りだ。

『寝てるよ』 

満彦も良かったと思ったんだろう。

目元が少し緩んだ。

とりあえず、リビングに移動して、俺は満彦の隣に
元妻は俺の向かい座った。

「何であんたがこの家にいるのよ‼」

何でもなにも、今は俺の家でもある。 

「家族なんだ、当たり前だろう」

嬉しいこと言ってくれるぜ。

そもそも、桜耶と満彦を置いて出て行ったうえに
離婚届けまてま置いてったくせに今更何の用があるんだか。

「何が家族よ‼

どうせ、この子が入り浸ってるだけでしょ‼」

俺を指してこの言い種。

この人、頭大丈夫か?

桜耶の母親とは思えない……

「柾を侮辱するな。

碌に飯も作らず、おまけに浮気して
桜耶に構ってもやらない。終いには離婚届けを
置いて出て行った奴に誰かを侮辱する権利なんかないんだよ‼」

子ども部屋を気にしながら大声を出さないように
注意しながも満彦は怒りを露にしている。

うわぁ~

浮気していたのか……

成る程、離婚届けもその男と一緒になるためか。

「満彦、落ち着け桜耶が起きるだろう」

俺のために怒ってくれたのは
非常に嬉しいが今はそんな場合じゃない。

最優先は桜耶のことだ。

「そうだな。悪い」

俺たちの会話が気に入らなかったらし。

「何であんた、その人のこと呼び捨てにしてるのよ‼」

恋人を名前で呼んで何が悪い。

『恋人同士なんだから柾が俺を呼び捨てに
するのは当たり前だろう』

満彦も同じことを思ったらしく、俺が
言葉にする前に言われてしまった。

満彦の言葉が信じられないのだろう。

「何だったら証明してやろうか?」

ニヤリと笑った満彦は隣にいる俺を自分の方に向かせ
顔を近付け、後頭部を押さえてキスをした。

突然のキスに驚いたがすぐに
目を瞑り、ねだるように満彦にしがみついた。

見せつけるようにエスカレートしていく。

唇を離して満彦は言った。

「これでわかっただろう?

それと、須寿垣に俺たちの事を言っても無駄だからな。

柾はもう須寿垣の生徒じゃないからな」

告げられた真実に元妻は目を見開いている。

『そういうことですよ』

勝ち誇った顔をしてやった。

立ち上がり、俺を殴ろうとしたがそれは叶わなかった。

何故なら、両手首をタオルで縛ってあるからだ。

そう、さっき洗面所から持って来たやつだ。

「わかっただろう、柾はもう須寿垣の
生徒じゃないし俺たちは恋人同士だ。

そのタオルは外してやるから二度と此処に来るな‼」

満彦は元妻を玄関まで連れて行き、タオルを
外してやりながらもう一度言った。

「二度と此処に来るな」

そして、玄関を少々乱暴に閉めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法

あと
BL
「よし!別れよう!」 元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子 昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。 攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。    ……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。 pixivでも投稿しています。 攻め:九條隼人 受け:田辺光希 友人:石川優希 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 また、内容もサイレント修正する時もあります。 定期的にタグ整理します。ご了承ください。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

異世界に勇者として召喚された俺、ラスボスの魔王に敗北したら城に囚われ執着と独占欲まみれの甘い生活が始まりました

水凪しおん
BL
ごく普通の日本人だった俺、ハルキは、事故であっけなく死んだ――と思ったら、剣と魔法の異世界で『勇者』として目覚めた。 世界の命運を背負い、魔王討伐へと向かった俺を待っていたのは、圧倒的な力を持つ美しき魔王ゼノン。 「見つけた、俺の運命」 敗北した俺に彼が告げたのは、死の宣告ではなく、甘い所有宣言だった。 冷徹なはずの魔王は、俺を城に囚え、身も心も蕩けるほどに溺愛し始める。 食事も、着替えも、眠る時でさえ彼の腕の中。 その執着と独占欲に戸惑いながらも、時折見せる彼の孤独な瞳に、俺の心は抗いがたく惹かれていく。 敵同士から始まる、歪で甘い主従関係。 世界を敵に回しても手に入れたい、唯一の愛の物語。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

敗戦国の王子を犯して拐う

月歌(ツキウタ)
BL
祖国の王に家族を殺された男は一人隣国に逃れた。時が満ち、男は隣国の兵となり祖国に攻め込む。そして男は陥落した城に辿り着く。

処理中です...