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番外編 終 回帰した芥川龍之介と芥川比呂志❬芥川龍之介視点❭
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前世、まだ、犀星君と出会う前の頃、
媚薬を盛られたことがあった。
何の集まりかもわからない
文学仲間との宴の席だった。
今更ながらに犀星に話すと 羞恥心で顔が暑くなる。
「犀星君と出会う前の話だけど、
君に隠し事はしたくなかった」
「な!? 一体誰だい龍之介君に
媚薬なんて盛った奴は」
あの頃は若かったし、宴ができれば
“名目”は何でもよかった。
そんな中の媚薬騒動ぎだった。
――
あの後、プンスカと怒る犀星君を
宥めて一緒に眠った。
数日後……
「よう、芥川、久しぶりだな」
げっ……
打ち合わせを終えてを犀星君と二人で
出版社を出たところで件の媚薬騒動の時に
いた二人と遭遇した。
「……久しぶりだね」
僕の隣にいた犀星君は雰囲気で気付いたらしく
物凄い剣幕で二人を睨め付けている。
「室生犀星先生!?」
自分たちより遥かに格上の犀星君に睨め付けられて
二人はたじろいだ。
「ねぇ龍之介君、 若い頃、君に
媚薬を盛ったというのはこいつらかい?」
僕があの時のことを誰かに話すとは
思っていなかたんだろう。
「あれは……宴席での余興といいますか、
若気の至りといいますか……」
「宴席の余興やら若気の至りで、
仲間に薬を盛るとはどういう了見だい?
是非とも教えてほしいものだね?
龍之介君、先に帰っていていいからね」
犀星君の怒りが頂点に達している。
「いや、その……」
しろどもろどろになっいる二人犀星君は 距離を縮めた。
「幸い、その時は何事もなく済んだから
よかったものの、 一歩間違えれば、
龍之介君は“そういう目”に
遭っていたかもしれなかったんだ!!
それを、宴席の余興だの若気の至りだで済まそうとは
いい根性してるじゃないか。
僕はその場にいたわけではないが、
つまるところ、媚薬入りの酒を誰が飲むか、
賭けでもしていたんじゃないか?
たまたま、龍之介君が飲んでしまったわけだが、
自分たちが媚薬入りの酒を
飲んだらと思わなかったのか!?」
犀星君にそこまで言われて
やっと、“媚薬”の怖さに気付いたらしく、
顔面蒼白だった二人の顔から更に血の気が抜けていく。
「まさか、本当に効くとは思わなかったんです……」
「ちょっとした、冗談のつもりで……」
犀星君はいまだに言い訳を並べ立てる
二人の胸ぐらを掴んだ。
「冗談で人に薬を盛るとは、
だから、どういう了見なのかと訊いているんだよ!!」
こんなに冷たい犀星君は初めて見る。
普段から家でも出版社で打ち合わせをしている時も
終始穏やかで、子どもたちがいたずらで
物を壊してしまっても怒鳴ったりせず、
諭すよに叱るのが犀星君だ。
「君たちのたった一回の 、一時の冗談や余興で
龍之介君の人生を一生、台無しに
していたかもしれないと何故、気付かないんだ!!」
犀星君は何の前触れもなく二人を放した。
「どれくらい強い媚薬だったのかは知らないが
その時の龍之介君がどんな気持ちだったか
自分に置き換えて考えてみるといい」
確かに、あの時、いきなり身体が火照り、
羞恥に耐え、かろうじて、理性を保ちつつも、
家に帰るのも大変だった。
「怒ってくれてありがとう、犀星君。
⟦家に帰ったら、沢山、甘えてもいいかい?⟧」
僕が少しだけ、犀星君に甘える仕草を見せると
二人は驚いていた。
「おやおや、龍之介君、
もう、甘えているじゃないか」
犀星君の表情が一瞬だけ和らいだ。
犀星君の腕に自分の腕を絡め、少し引き寄せる。
「芥川……何で室生先生に?」
二人のうち一人が困惑気味に訊いてきた。
「何でって、犀星君が僕の人生において、
なくてはならない人で
唯一、甘えられる相手だからだよ」
年上で優しくて穏やかで、 自分のことより家族優先。
僕の大切な恋人だ。
「犯してしまった過去の過ちはどうすることもできないが、これからは、冗談や面白半分に人に薬を盛るなんて愚かな行為をすな。
その人の尊厳を傷付けるな!!
自分が薬を盛られたらと思え。わかったな?」
二人は口ごもり、何も言えなくなった。
犀星君の瞳の奥に宿る静かな怒りと、
それに反する温かさを前に、ただ俯くしかなかった。
「……はい、わかりました……
もう二度と、そんなことは……」
その声はか細く、震えていた。
犀星君はゆっくりと深く息を吐き、
二人の肩に手を置いたまま、重くも優しい声で告げる。
「いいか、龍之介君に限らず、人の心や身体を
弄ぶことは、決して許されないことだ。
遊び半分で済むことではない。忘れるな。」
二人は完全に萎縮し、俯いたまま黙るしかなかった。
犀星君の前で、自分たちの軽率さを思い知ったのだ。
僕は犀星君の腕に軽く顔を預け、
彼の胸の鼓動を感じながら、小声で小さく囁いた。
「⟦ありがとう……犀星君……⟧」
「龍之介君、今日はもう帰ろう。
その当時の君が無事でよかった……」
犀星君は僕の手を取り、静かに歩き出す。
「⟦家に帰ったら……いっぱい甘えても、
いいんだよね……?⟧」
犀星君は少し微笑み、僕の手を握り直す。
「好きなだけ甘えてくれていいよ、龍之介君」
足りない……
はしたないとは思うけど、犀星君には
好きなように僕に触れてほしい……
「もっと……触れて……
犀星君になら媚薬を盛られてもいいかもしれないね」
「何を言い出すんだい!?」
前世から、犀星君とは何度も身体を繋げてきたけれど、一度も無理強いされたことはなかった。
「ねぇ、今度、僕が“作る”から、媚薬、飲ませて?」
実は、身近な物で媚薬を作れることを知っている。
「“作る”だって!? どうやって……?」
「りんごジュースと赤ワイン、 いちごジャムを
混ぜ合わせるだけなんだ、簡単だよ」
そんな身近な物で作れることに驚いたのか
僕が作ると言ったことに驚いているのか……
「毎日、ちょっとずつ慣らすのがいいらしいよ」
僕が囁くと、犀星君は大きくため息を吐いた。
「……龍之介君、君は本当に時々、
僕の心臓に悪いことを言うね」
けれども、否定はしない。
真剣な瞳で僕を見つめている。
「でもね、媚薬なんてなくても、僕は君に夢中だ。
……それでも試したいというのなら
君が作ったものなら、
僕は全部飲み干してしまうかもしれない」
「……本当に? 僕が作った媚薬を……」
「君の手で作られたものなら、たとえ毒でも飲めるさ」
そんな言葉を真顔で言うものだから、
胸がじんわりと熱くなり、視界が滲んでくる。
「毒でも飲めるなんて、
そんなこと、言わないでくれ……」
僕は犀星君に抱き着いて自ら口付けをした。
「もし、この瞬間に僕が毒を含ませていたら
犀星君は死んでしまうかもしれないんだよ!?」
「それはそれで本望さ」
犀星君は慈愛に満ちた笑みを浮かべ、そう言った。
「それに、わざわざ、
作らなくても 僕にとっては
“龍之介君自身”が“媚薬”そのものなんだよ」
犀星君の書斎に敷いた布団の上に押し倒され
乱暴に着物の帯を解かれた。
解かれた帯が畳の上に落ちるのを
横目に僕は犀星君に抱き着いた。
抱き着いた時に着物がはだけ、
僕は犀星君の目の前に素肌を晒した。
「龍之介君、綺麗だよ」
電気の下に晒された僕の病的なまでに
白い肌を犀星君は綺麗だと言った。
犀星君の手は首筋から順にもどかしい程に
淡く全身を撫で回したと思ったら、
胸に戻ってきて乳嘴を摘まんだ。
「ぁん!! だめ……!!」
思わず声が洩れる。
乳首を弄られた瞬間、背筋に電流が走り、
腰がびくりと跳ねた。
「だめじゃないだろう?」
耳元で囁かれる低い声に、身を竦める。
その声音には、抗えぬ甘さと厳しさが同居していた。
「犀星君……っ、そんな風に……」
「可愛い声を我慢する方が、よほど身体に毒だよ」
摘まんでいた指先が緩み、
代わりに舌が柔らかく這い、先端を吸い上げる。
唇に挟まれ、舌先で転がされる感覚に、
堪らず指で畳を握りしめた。
「ひっ……あぁ……っ、やめて……っ」
「やめてほしいのかい?」
舐めあげた後、唇を離し、
僕の瞳を真っ直ぐに覗き込む。
その眼差しが熱すぎて、
視線を逸らすことすらできなかった。
「……やめてほしくない……」
震える声で告げると、
犀星君の瞳が一瞬柔らかく揺れる。
「素直でいい子だ、龍之介君」
片方の乳首を唇で啄みながら、もう片方を指で摘み、
ねっとりと愛撫する。
胸の奥から熱がせり上がり、喘ぎが抑えられなくなる。
「ふぁっ……あ、あぁ……っ」
耳の裏を舐められ、首筋に熱い吐息を
吹きかけられただけで、全身が甘く痺れる。
「感じやすいね……こんなにも」
「犀星君……僕……おかしく……なって……」
「もっとおかしくしてあげよう」
囁かれると同時に、帯を解かれた着物の裾が完全に開き、
僕の下腹へと大きな掌が滑り込む……
犀星君は僕の片方の乳首を唇で啄みながら、
僕のものをかなり強い力で握った。
犀星君の掌が、熱を帯びた僕の中心をしっかりと
握り締めた瞬間、腰の奥から痺れるような
衝撃が突き抜け、声にならない吐息が零れた。
「ひぁっ……! やっ……強すぎ……っ」
指の間から溢れそうなほど昂ぶったそこを、
犀星君はゆっくり、けれど容赦なく扱く。
「強すぎるくらいでなければ、君はすぐに
我慢してしまうだろう?」
片方の乳首はまだ舌に吸われ、湿った音を立てている。
胸と下腹、二方向から一度に責められ、
理性の糸はとうに千切れそうだった。
「犀星君……っ、僕……もう、変になる……っ」
「いいんだよ。変になって、僕にだけ晒せばいい」
言葉と同時に、指先が鈴口をなぞる。
背筋が跳ね上がり、堪えきれぬ快楽に畳へ爪を立てた。
「やぁっ……そこ、駄目だって……っ」
「駄目じゃない。ここが一番、気持ちいいんだろう?」
掌が亀頭を覆い、溜めるようにぐっと圧を掛ける。
視界が白んで、涙が滲んだ。
「ふぁ……ぁあ……っ、だめぇ……」
快楽の波が一気に押し寄せてきて、一瞬
頭の中が真っ白になった。
更に鈴口を指をで押し広げるように弄られ、
僕は一際、高い声で啼いた。
「ひゃ、ぁっ、犀星君、だめ!!」
容赦なく鈴口を押し広げられながら後ろも弄られ
息が一瞬、止まった。
今世の犀星君は前世よりも
僕を求めている気がするのは気のせいだろうか?
「だめじゃないだろう? 身体は素直だよ?」
犀星君の低く甘い声が耳に響き、
背筋をぞくりと駆け抜ける。
僕の身体は言葉を発する前に反応してしまい、
理性の残滓は薄く、快楽に完全に支配されていた。
犀星君は片方の乳首を唇で啄み、
同時にもう片方の手で下腹を強く握り、
僕の中を刺激する。
その同時攻撃に、僕は抗うこともできず、
思わず膝を畳に突き立て、背を反らす。
「ひぁっ……あっ……あぁ……犀星君……っ」
声にならない声が漏れ、瞳は涙で潤む。
犀星君は僕の反応を楽しむかのように、
力加減を絶妙に変え、僕の喘ぎを引き出す。
「龍之介君……いいんだ、
全部、僕だけに見せてくれれば」
その言葉に、僕は胸がぎゅっと
締め付けられるような感覚を覚える。
犀星君の手は止まらず、柔らかくも確実に
僕の身体を征服していく。
――一瞬、意識が遠のきかける。
「いやっ……だめ……もう……」
でもその声すら、甘く絡みつく快楽に溶かされ、
抑えきれない吐息と混ざってしまう。
「駄目じゃないよ、龍之介君……
素直な身体は、正直だ」
その言葉に、僕はさらに身を預け、
身体中の感覚が犀星君に集中していく。
乳首を吸われ、下腹を握られ、指で広げられ、
快楽が全身を貫く――
「ぁ……あぁ……もう……変になっちゃう……」
僕の声はついに高く震え、涙が頬を伝う。
犀星君はそんな僕を見て、微笑みながらも、
決して手を止めない。
「いいんだ……龍之介君……もっと……僕に晒してくれ」
その言葉に、僕の理性は完全に溶け、
身体は快楽の波に沈み込む。
快楽と愛情が入り混じった感覚……
犀星君と触れ合う全てが僕を
狂おしいほどに満たしていく。
犀星君の指先、唇、手のひら、すべてが、
僕の身体に刻まれるようだった。
ーー
僕が目を覚ましたのは真夜中だった。
新しい着物に替わっているということは、
犀星君が後処理と着替えをしてくれたのだろう。
身体にはまだ、先程の甘美な余韻が残っていた。
隣で眠っている犀星君に そっと、口付けをした。
「僕を起こすとは、まだ、足りなかったのかい?」
「そうじゃないけど、
犀星君に抱き締めてほしくて……
せっかく、眠っていたのに、ごめん」
行為をしたかったわけじゃなくて
本当に抱き締めてほしかっただけだ。
「謝ることはないさ、龍之介君になら
何をされてもいいと言っただろう?
熟睡している所を起こされても、媚薬を飲まされても
毒を飲まされても、僕は構わないんだよ」
“熟睡している所
を起こされても”というのはともかく、
“媚薬”や“毒”を飲まされてもなんて……
「ごめん犀星君、媚薬を作るなんて言って
君を試したんだ……」
犀星君を疑ったわけじゃなく、
僕が勝手に不安になっただけだ。
前世から愛されているのはわかっていても
ふとした時に、不安になってしまう。
―本当に僕でいいんだろか?
―僕に絆されて、仕方ないく抱いてくれているんじゃないか?と。
頭ではわかっているのに、僕は疑心暗鬼に
苛まれることがある。
「試すようなことをした僕を嫌いになったかい?」
普通なら愛を試されて怒らない人はいない。
「まさか、嫌いになるわけないじゃないか」
「僕は、君の愛を試したんだよ!?」
自分でも愚かなことをしているとわかっている……
「いつか、僕のことを嫌いになったら
追い出していいからね……」
誰よりも、犀星君に嫌われることが一番怖い。
「僕が龍之介君を嫌いになる日なんて一生来ないから
君を追い出すことも一生ないよ。
そもそも、君が僕を試すのは僕の愛を
確かめたいからだろう?」
「なら、いくらでも好きなだけ
試してくれて構わないさ」
犀星君は優しすぎる。
「なんで、怒らなかったんだい?
僕は犀星君の愛を試したんだよ!?」
僕はいつも、自分に自信がなかった。
実の両親にも養親だった伯父夫妻にも愛されないまま幼少期を迎え、僕は自己肯定感が希薄な子どもに育ち、そのまま大人になってしまった。
“無償の愛”というものを僕は
犀星君に愛してもらうまで知らなかった。
「僕は……ずっと、愛されたかった。
母親に愛されなくても父親には愛されたかった。
子どもの頃、姉さんは、僕に無関心だったくせに義兄が自害したら、金の無心をしてきた。
僕は実の家族に愛されなかったから、
犀星君の愛すらも試してしまった……
どこまで許してくれるだろうか……と」
「犀星君の愛を試した僕を罰して……
お仕置きして」
――犀星君は僕の顔をそっと覗き込み、
静かに微笑んだ。
「龍之介君……君がどんなに不安になろうと、
どんなに試そうと、僕の愛は変わらない。
君が僕に甘えるなら、
僕は喜んで受け止めるだけだよ」
その言葉に、胸の奥で長く凍っていた
何かが溶けるのを感じた。
涙がこぼれ、自然と僕は彼の胸に顔を埋めた。
「ごめん……僕、つい……不安になって……」
声が震える。
「謝ることはない。君が不安になるのも、
愛を知る過程の一部さ。
僕は君の不安も、恐れも、すべて抱きしめたいんだ」
犀星君の手が髪を優しく撫で、背中を包み込む。
そのぬくもりは、これまで知らなかった
“安心”そのものだった。
「ねぇ、犀星君……」
僕はそっと声を上げる。
「……僕、もっと……君に甘えていい?」
「もちろんさ。龍之介君が望む限り、
いつでも好きなだけ甘えていい」
言葉だけじゃない。
犀星君の体温、心臓の鼓動、指先の柔らかさ。
すべてが僕を包み込み、安心と快楽、
そして愛情で満たしていく。
僕は恐れや疑いを捨て、ただ彼に身を委ねた。
幼い頃、誰にも愛されなかった
孤独な日々を思い出すたびに、
今、この瞬間の温かさがどれほど貴重で、
どれほど守りたいものかを噛み締める。
「龍之介君……僕はね、君を愛している。
君のすべてを、僕だけに晒してほしい」
その言葉に、僕は小さく頷き、唇を重ねた。
もう、恐れも疑いも、
僕たちの間には存在しなかった。
深夜の書斎には、ただ二人の吐息と鼓動が響く。
僕の身体も心も、犀星君に完全に委ねられ、
愛され、守られている。
「これからも……ずっと、僕を抱きしめて……」
僕の声は震えても、心は満たされていた。
「ずっとだよ、龍之介君。
君が望む限り、僕は君を離さない」
――僕たちの夜は、甘美な愛と、
絶対の信頼の中で静かに、
しかし深く重く続いていった。
媚薬を盛られたことがあった。
何の集まりかもわからない
文学仲間との宴の席だった。
今更ながらに犀星に話すと 羞恥心で顔が暑くなる。
「犀星君と出会う前の話だけど、
君に隠し事はしたくなかった」
「な!? 一体誰だい龍之介君に
媚薬なんて盛った奴は」
あの頃は若かったし、宴ができれば
“名目”は何でもよかった。
そんな中の媚薬騒動ぎだった。
――
あの後、プンスカと怒る犀星君を
宥めて一緒に眠った。
数日後……
「よう、芥川、久しぶりだな」
げっ……
打ち合わせを終えてを犀星君と二人で
出版社を出たところで件の媚薬騒動の時に
いた二人と遭遇した。
「……久しぶりだね」
僕の隣にいた犀星君は雰囲気で気付いたらしく
物凄い剣幕で二人を睨め付けている。
「室生犀星先生!?」
自分たちより遥かに格上の犀星君に睨め付けられて
二人はたじろいだ。
「ねぇ龍之介君、 若い頃、君に
媚薬を盛ったというのはこいつらかい?」
僕があの時のことを誰かに話すとは
思っていなかたんだろう。
「あれは……宴席での余興といいますか、
若気の至りといいますか……」
「宴席の余興やら若気の至りで、
仲間に薬を盛るとはどういう了見だい?
是非とも教えてほしいものだね?
龍之介君、先に帰っていていいからね」
犀星君の怒りが頂点に達している。
「いや、その……」
しろどもろどろになっいる二人犀星君は 距離を縮めた。
「幸い、その時は何事もなく済んだから
よかったものの、 一歩間違えれば、
龍之介君は“そういう目”に
遭っていたかもしれなかったんだ!!
それを、宴席の余興だの若気の至りだで済まそうとは
いい根性してるじゃないか。
僕はその場にいたわけではないが、
つまるところ、媚薬入りの酒を誰が飲むか、
賭けでもしていたんじゃないか?
たまたま、龍之介君が飲んでしまったわけだが、
自分たちが媚薬入りの酒を
飲んだらと思わなかったのか!?」
犀星君にそこまで言われて
やっと、“媚薬”の怖さに気付いたらしく、
顔面蒼白だった二人の顔から更に血の気が抜けていく。
「まさか、本当に効くとは思わなかったんです……」
「ちょっとした、冗談のつもりで……」
犀星君はいまだに言い訳を並べ立てる
二人の胸ぐらを掴んだ。
「冗談で人に薬を盛るとは、
だから、どういう了見なのかと訊いているんだよ!!」
こんなに冷たい犀星君は初めて見る。
普段から家でも出版社で打ち合わせをしている時も
終始穏やかで、子どもたちがいたずらで
物を壊してしまっても怒鳴ったりせず、
諭すよに叱るのが犀星君だ。
「君たちのたった一回の 、一時の冗談や余興で
龍之介君の人生を一生、台無しに
していたかもしれないと何故、気付かないんだ!!」
犀星君は何の前触れもなく二人を放した。
「どれくらい強い媚薬だったのかは知らないが
その時の龍之介君がどんな気持ちだったか
自分に置き換えて考えてみるといい」
確かに、あの時、いきなり身体が火照り、
羞恥に耐え、かろうじて、理性を保ちつつも、
家に帰るのも大変だった。
「怒ってくれてありがとう、犀星君。
⟦家に帰ったら、沢山、甘えてもいいかい?⟧」
僕が少しだけ、犀星君に甘える仕草を見せると
二人は驚いていた。
「おやおや、龍之介君、
もう、甘えているじゃないか」
犀星君の表情が一瞬だけ和らいだ。
犀星君の腕に自分の腕を絡め、少し引き寄せる。
「芥川……何で室生先生に?」
二人のうち一人が困惑気味に訊いてきた。
「何でって、犀星君が僕の人生において、
なくてはならない人で
唯一、甘えられる相手だからだよ」
年上で優しくて穏やかで、 自分のことより家族優先。
僕の大切な恋人だ。
「犯してしまった過去の過ちはどうすることもできないが、これからは、冗談や面白半分に人に薬を盛るなんて愚かな行為をすな。
その人の尊厳を傷付けるな!!
自分が薬を盛られたらと思え。わかったな?」
二人は口ごもり、何も言えなくなった。
犀星君の瞳の奥に宿る静かな怒りと、
それに反する温かさを前に、ただ俯くしかなかった。
「……はい、わかりました……
もう二度と、そんなことは……」
その声はか細く、震えていた。
犀星君はゆっくりと深く息を吐き、
二人の肩に手を置いたまま、重くも優しい声で告げる。
「いいか、龍之介君に限らず、人の心や身体を
弄ぶことは、決して許されないことだ。
遊び半分で済むことではない。忘れるな。」
二人は完全に萎縮し、俯いたまま黙るしかなかった。
犀星君の前で、自分たちの軽率さを思い知ったのだ。
僕は犀星君の腕に軽く顔を預け、
彼の胸の鼓動を感じながら、小声で小さく囁いた。
「⟦ありがとう……犀星君……⟧」
「龍之介君、今日はもう帰ろう。
その当時の君が無事でよかった……」
犀星君は僕の手を取り、静かに歩き出す。
「⟦家に帰ったら……いっぱい甘えても、
いいんだよね……?⟧」
犀星君は少し微笑み、僕の手を握り直す。
「好きなだけ甘えてくれていいよ、龍之介君」
足りない……
はしたないとは思うけど、犀星君には
好きなように僕に触れてほしい……
「もっと……触れて……
犀星君になら媚薬を盛られてもいいかもしれないね」
「何を言い出すんだい!?」
前世から、犀星君とは何度も身体を繋げてきたけれど、一度も無理強いされたことはなかった。
「ねぇ、今度、僕が“作る”から、媚薬、飲ませて?」
実は、身近な物で媚薬を作れることを知っている。
「“作る”だって!? どうやって……?」
「りんごジュースと赤ワイン、 いちごジャムを
混ぜ合わせるだけなんだ、簡単だよ」
そんな身近な物で作れることに驚いたのか
僕が作ると言ったことに驚いているのか……
「毎日、ちょっとずつ慣らすのがいいらしいよ」
僕が囁くと、犀星君は大きくため息を吐いた。
「……龍之介君、君は本当に時々、
僕の心臓に悪いことを言うね」
けれども、否定はしない。
真剣な瞳で僕を見つめている。
「でもね、媚薬なんてなくても、僕は君に夢中だ。
……それでも試したいというのなら
君が作ったものなら、
僕は全部飲み干してしまうかもしれない」
「……本当に? 僕が作った媚薬を……」
「君の手で作られたものなら、たとえ毒でも飲めるさ」
そんな言葉を真顔で言うものだから、
胸がじんわりと熱くなり、視界が滲んでくる。
「毒でも飲めるなんて、
そんなこと、言わないでくれ……」
僕は犀星君に抱き着いて自ら口付けをした。
「もし、この瞬間に僕が毒を含ませていたら
犀星君は死んでしまうかもしれないんだよ!?」
「それはそれで本望さ」
犀星君は慈愛に満ちた笑みを浮かべ、そう言った。
「それに、わざわざ、
作らなくても 僕にとっては
“龍之介君自身”が“媚薬”そのものなんだよ」
犀星君の書斎に敷いた布団の上に押し倒され
乱暴に着物の帯を解かれた。
解かれた帯が畳の上に落ちるのを
横目に僕は犀星君に抱き着いた。
抱き着いた時に着物がはだけ、
僕は犀星君の目の前に素肌を晒した。
「龍之介君、綺麗だよ」
電気の下に晒された僕の病的なまでに
白い肌を犀星君は綺麗だと言った。
犀星君の手は首筋から順にもどかしい程に
淡く全身を撫で回したと思ったら、
胸に戻ってきて乳嘴を摘まんだ。
「ぁん!! だめ……!!」
思わず声が洩れる。
乳首を弄られた瞬間、背筋に電流が走り、
腰がびくりと跳ねた。
「だめじゃないだろう?」
耳元で囁かれる低い声に、身を竦める。
その声音には、抗えぬ甘さと厳しさが同居していた。
「犀星君……っ、そんな風に……」
「可愛い声を我慢する方が、よほど身体に毒だよ」
摘まんでいた指先が緩み、
代わりに舌が柔らかく這い、先端を吸い上げる。
唇に挟まれ、舌先で転がされる感覚に、
堪らず指で畳を握りしめた。
「ひっ……あぁ……っ、やめて……っ」
「やめてほしいのかい?」
舐めあげた後、唇を離し、
僕の瞳を真っ直ぐに覗き込む。
その眼差しが熱すぎて、
視線を逸らすことすらできなかった。
「……やめてほしくない……」
震える声で告げると、
犀星君の瞳が一瞬柔らかく揺れる。
「素直でいい子だ、龍之介君」
片方の乳首を唇で啄みながら、もう片方を指で摘み、
ねっとりと愛撫する。
胸の奥から熱がせり上がり、喘ぎが抑えられなくなる。
「ふぁっ……あ、あぁ……っ」
耳の裏を舐められ、首筋に熱い吐息を
吹きかけられただけで、全身が甘く痺れる。
「感じやすいね……こんなにも」
「犀星君……僕……おかしく……なって……」
「もっとおかしくしてあげよう」
囁かれると同時に、帯を解かれた着物の裾が完全に開き、
僕の下腹へと大きな掌が滑り込む……
犀星君は僕の片方の乳首を唇で啄みながら、
僕のものをかなり強い力で握った。
犀星君の掌が、熱を帯びた僕の中心をしっかりと
握り締めた瞬間、腰の奥から痺れるような
衝撃が突き抜け、声にならない吐息が零れた。
「ひぁっ……! やっ……強すぎ……っ」
指の間から溢れそうなほど昂ぶったそこを、
犀星君はゆっくり、けれど容赦なく扱く。
「強すぎるくらいでなければ、君はすぐに
我慢してしまうだろう?」
片方の乳首はまだ舌に吸われ、湿った音を立てている。
胸と下腹、二方向から一度に責められ、
理性の糸はとうに千切れそうだった。
「犀星君……っ、僕……もう、変になる……っ」
「いいんだよ。変になって、僕にだけ晒せばいい」
言葉と同時に、指先が鈴口をなぞる。
背筋が跳ね上がり、堪えきれぬ快楽に畳へ爪を立てた。
「やぁっ……そこ、駄目だって……っ」
「駄目じゃない。ここが一番、気持ちいいんだろう?」
掌が亀頭を覆い、溜めるようにぐっと圧を掛ける。
視界が白んで、涙が滲んだ。
「ふぁ……ぁあ……っ、だめぇ……」
快楽の波が一気に押し寄せてきて、一瞬
頭の中が真っ白になった。
更に鈴口を指をで押し広げるように弄られ、
僕は一際、高い声で啼いた。
「ひゃ、ぁっ、犀星君、だめ!!」
容赦なく鈴口を押し広げられながら後ろも弄られ
息が一瞬、止まった。
今世の犀星君は前世よりも
僕を求めている気がするのは気のせいだろうか?
「だめじゃないだろう? 身体は素直だよ?」
犀星君の低く甘い声が耳に響き、
背筋をぞくりと駆け抜ける。
僕の身体は言葉を発する前に反応してしまい、
理性の残滓は薄く、快楽に完全に支配されていた。
犀星君は片方の乳首を唇で啄み、
同時にもう片方の手で下腹を強く握り、
僕の中を刺激する。
その同時攻撃に、僕は抗うこともできず、
思わず膝を畳に突き立て、背を反らす。
「ひぁっ……あっ……あぁ……犀星君……っ」
声にならない声が漏れ、瞳は涙で潤む。
犀星君は僕の反応を楽しむかのように、
力加減を絶妙に変え、僕の喘ぎを引き出す。
「龍之介君……いいんだ、
全部、僕だけに見せてくれれば」
その言葉に、僕は胸がぎゅっと
締め付けられるような感覚を覚える。
犀星君の手は止まらず、柔らかくも確実に
僕の身体を征服していく。
――一瞬、意識が遠のきかける。
「いやっ……だめ……もう……」
でもその声すら、甘く絡みつく快楽に溶かされ、
抑えきれない吐息と混ざってしまう。
「駄目じゃないよ、龍之介君……
素直な身体は、正直だ」
その言葉に、僕はさらに身を預け、
身体中の感覚が犀星君に集中していく。
乳首を吸われ、下腹を握られ、指で広げられ、
快楽が全身を貫く――
「ぁ……あぁ……もう……変になっちゃう……」
僕の声はついに高く震え、涙が頬を伝う。
犀星君はそんな僕を見て、微笑みながらも、
決して手を止めない。
「いいんだ……龍之介君……もっと……僕に晒してくれ」
その言葉に、僕の理性は完全に溶け、
身体は快楽の波に沈み込む。
快楽と愛情が入り混じった感覚……
犀星君と触れ合う全てが僕を
狂おしいほどに満たしていく。
犀星君の指先、唇、手のひら、すべてが、
僕の身体に刻まれるようだった。
ーー
僕が目を覚ましたのは真夜中だった。
新しい着物に替わっているということは、
犀星君が後処理と着替えをしてくれたのだろう。
身体にはまだ、先程の甘美な余韻が残っていた。
隣で眠っている犀星君に そっと、口付けをした。
「僕を起こすとは、まだ、足りなかったのかい?」
「そうじゃないけど、
犀星君に抱き締めてほしくて……
せっかく、眠っていたのに、ごめん」
行為をしたかったわけじゃなくて
本当に抱き締めてほしかっただけだ。
「謝ることはないさ、龍之介君になら
何をされてもいいと言っただろう?
熟睡している所を起こされても、媚薬を飲まされても
毒を飲まされても、僕は構わないんだよ」
“熟睡している所
を起こされても”というのはともかく、
“媚薬”や“毒”を飲まされてもなんて……
「ごめん犀星君、媚薬を作るなんて言って
君を試したんだ……」
犀星君を疑ったわけじゃなく、
僕が勝手に不安になっただけだ。
前世から愛されているのはわかっていても
ふとした時に、不安になってしまう。
―本当に僕でいいんだろか?
―僕に絆されて、仕方ないく抱いてくれているんじゃないか?と。
頭ではわかっているのに、僕は疑心暗鬼に
苛まれることがある。
「試すようなことをした僕を嫌いになったかい?」
普通なら愛を試されて怒らない人はいない。
「まさか、嫌いになるわけないじゃないか」
「僕は、君の愛を試したんだよ!?」
自分でも愚かなことをしているとわかっている……
「いつか、僕のことを嫌いになったら
追い出していいからね……」
誰よりも、犀星君に嫌われることが一番怖い。
「僕が龍之介君を嫌いになる日なんて一生来ないから
君を追い出すことも一生ないよ。
そもそも、君が僕を試すのは僕の愛を
確かめたいからだろう?」
「なら、いくらでも好きなだけ
試してくれて構わないさ」
犀星君は優しすぎる。
「なんで、怒らなかったんだい?
僕は犀星君の愛を試したんだよ!?」
僕はいつも、自分に自信がなかった。
実の両親にも養親だった伯父夫妻にも愛されないまま幼少期を迎え、僕は自己肯定感が希薄な子どもに育ち、そのまま大人になってしまった。
“無償の愛”というものを僕は
犀星君に愛してもらうまで知らなかった。
「僕は……ずっと、愛されたかった。
母親に愛されなくても父親には愛されたかった。
子どもの頃、姉さんは、僕に無関心だったくせに義兄が自害したら、金の無心をしてきた。
僕は実の家族に愛されなかったから、
犀星君の愛すらも試してしまった……
どこまで許してくれるだろうか……と」
「犀星君の愛を試した僕を罰して……
お仕置きして」
――犀星君は僕の顔をそっと覗き込み、
静かに微笑んだ。
「龍之介君……君がどんなに不安になろうと、
どんなに試そうと、僕の愛は変わらない。
君が僕に甘えるなら、
僕は喜んで受け止めるだけだよ」
その言葉に、胸の奥で長く凍っていた
何かが溶けるのを感じた。
涙がこぼれ、自然と僕は彼の胸に顔を埋めた。
「ごめん……僕、つい……不安になって……」
声が震える。
「謝ることはない。君が不安になるのも、
愛を知る過程の一部さ。
僕は君の不安も、恐れも、すべて抱きしめたいんだ」
犀星君の手が髪を優しく撫で、背中を包み込む。
そのぬくもりは、これまで知らなかった
“安心”そのものだった。
「ねぇ、犀星君……」
僕はそっと声を上げる。
「……僕、もっと……君に甘えていい?」
「もちろんさ。龍之介君が望む限り、
いつでも好きなだけ甘えていい」
言葉だけじゃない。
犀星君の体温、心臓の鼓動、指先の柔らかさ。
すべてが僕を包み込み、安心と快楽、
そして愛情で満たしていく。
僕は恐れや疑いを捨て、ただ彼に身を委ねた。
幼い頃、誰にも愛されなかった
孤独な日々を思い出すたびに、
今、この瞬間の温かさがどれほど貴重で、
どれほど守りたいものかを噛み締める。
「龍之介君……僕はね、君を愛している。
君のすべてを、僕だけに晒してほしい」
その言葉に、僕は小さく頷き、唇を重ねた。
もう、恐れも疑いも、
僕たちの間には存在しなかった。
深夜の書斎には、ただ二人の吐息と鼓動が響く。
僕の身体も心も、犀星君に完全に委ねられ、
愛され、守られている。
「これからも……ずっと、僕を抱きしめて……」
僕の声は震えても、心は満たされていた。
「ずっとだよ、龍之介君。
君が望む限り、僕は君を離さない」
――僕たちの夜は、甘美な愛と、
絶対の信頼の中で静かに、
しかし深く重く続いていった。
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