秘密の雇用関係~バイト先は担任の先生の家でした~

華愁

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第3話*.+バイト再開と突然の訪問

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西田に謝ってもらい誰にも言わないと
約束してもらってから一週間はLINEしなかった。

それでも、俺は
“焼継先生”じゃなくて“流風さん”に会いたかった。

❰今日からまた、バイトを再開してもいい?❱

内心でドキドキしながら返信を待った。

❰もちろん、待ってる。

あ、歩夢のオムライスが食べたい

作ってくれるか?❱

LINEの返事の内容に久しぶりに笑った。

❰了解、任せて❱

自然と流風さんの家に向かう足取りは軽かった。


ピーンポーン。

チャイムの音がやけに大きく聞こえた。

『おかえり、歩夢』

『ただいま、流風さん』

おかえりと言ってくれたことが嬉しかった。

部屋の中に入り、ブレザーを脱いで
Yシャツの袖をまくってキッチンに立ち
流風さんリクエストのオムライスを作り始め
ついでにポトフも作った。

料理をテーブルに並べ
キッチンをある程度片してから
二人で⦅いただきます⦆と言って食べ始めた。

食後、いつものように紅茶を飲んでいたら
突然チャイムがなった。

『俺以外に来客の予定あった?』

多分、それはないとわかっていたが
流風さんに確認する。

『いや、歩夢以外の来客の予定はなかったんだが……

モニターで確かめてくる』

『俺も一緒にいい?』

頷いてくれたから俺も一緒にモニターを見て驚いた。

『父親の浮気相手だ』

俺の呟きに流風さんが驚いた顔をした。

『待て、歩夢。

今モニターに写って女が
歩夢の父親の浮気相手なのか!?』

流風さんの慌てようからなんとなく察しがついた。

『流風さんの元彼女?』

確信をついた俺の言葉に流風さんは
申し訳なさそうな顔をした。

『歩夢、すまない』

これは流風さんが謝ることじゃないし
それなら俺も謝らなくてはいけない。

『俺こそ、父親がごめん』

意外なところで繋がってしまった俺達。

『どうする?

電気がついてるから
不在は使えないけど
寝落ちしてたってことにして
このまま居留守使う?』

『いや、今、居留守を使っても俺が出るまで
何度も来るに決まってる』

今さら裏切った元彼氏に何の用があるんだか。

『なら、俺が出る』

そういうと流風さんは俺の腕を掴んだ。

『やっぱり俺が…』 

『大丈夫だから、ね?』

俺は流風さんを抱きしめた。

『歩夢!?』

驚いてる驚いてる。

『大丈夫だから、流風さんは書斎で仕事して』

★★

『あの、どちら様でしょうか?』

俺は知らないふりを装って訊いた。

「あれ、ここって焼継流風の家よね?

君こそ誰?」

あんたの浮気相手の息子で流風さんの
生徒兼家政夫ですけど。

『確かにここは焼継流風さんのお宅ですね。

俺はこちらに家政夫として来ている
“麦崎歩夢”と申します。

あいにく、焼継さんはお仕事中でして……

何か言伝てなどありましたら
伝えておきますが?』

俺の苗字に驚いたんだろう。

「麦崎……?」

『麦崎歩夢、あなたの浮気相手の息子ですよ。

奥村蕗那さん?』

俺がフルネームで呼ぶと
益々、驚いた顔をした。

「流風に話があるの」

今更何の話があるんだか。

『そうですか、ですが今日はお帰りください』

「あんた、流風とデキてるわけ?」

頭の悪い人は直ぐにそういう発想にいくんだな。

『馬鹿なことを言わないでください。

それから、何か話すことがあるのであれば
内容を文章で送ってください。

お引き取り願います!!』

強制的に玄関を閉めて
父親の浮気相手で流風さんを
裏切った人を追い返した。

だが、心のモヤモヤは晴れなかった。

俺達の関係は複雑だ。

☆教師と生徒☆

☆雇用主と家政夫☆

☆信じていた人に裏切られた者同士☆

名前のつけられない関係に
俺は寂しさを感じていたんだと気づいた。

この家の中では雇い主と家政夫だけど、
同時にただの焼継流風と麦崎歩夢で
いられるのも事実だったから。
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