HEAVENS HEARTS

HI-ROCKS

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SPEED 03 確証の破綻

SPEED 03-02

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競い合うようZ1とハーレーが佇む格納庫(ハンガー)に足を踏み入れるカルナとエルナ。

「怖い顔して二人とも何しに行くの?」

格納庫(ハンガー)の奥に山積みとされたタイヤ上から微笑み混じりの声が。

「月華……さん?」

「ったく……お前等はヤリたい放題か……」

カルナは度重なる招かざる客に怒る気力も失せ、早々に呆れ顔とされた。

「気にしない気にしない」

「アンタが言うなアンタが、他人(ひと)ん家に不法侵入カマしとる張本人が」

「アラ、意外と難しい言葉(センテンス)知ってるのね」

「おいおい、今はそんな冗談を笑える状況やないんや」

「へえ、どんな状況か私にも教えて欲しいわ」

「月華さん、あんたのことは好きやけど……お願いやから今だけは邪魔せんといて」

視線に揺らぎのないエルナの心痛な訴え。

すると月華は、四メートル程ある座るタイヤの山から一気に飛び降り、

「邪魔をする気は一切ないわ。あなた達の御父様が受けた連中の仕打ちを考えればね……ただ、私の知る人間をみすみす犬死にさせる訳にはいかない」エルナの真剣さに応えた。

「ほう、全てお見通しってか……なら話は早い。アソビはまた今度や、んじゃな」

銘々の愛機に跨るカルナとエルナ。が、二台の前には月華が立ち塞がり、行く手を阻む。

「月華さん……どうして……」

「オイ、ええ加減にしとけよ。あんま度(オイタ)が過ぎると女やいうても承知せぇへんぞ」

「面白いな。どう承知しないのか見せてみろよカルナ」

月華の後方、突然の零士の声。

「はぁぁぁ……ゾロゾロとまぁ邪魔しくさってからに。お前等の目的は何や」

カルナはウンザリと吐き捨てた。

「言ったでしょ、自ら死にに行くあなた達の引き止めよ」

「月華さん、死ぬ死ぬって袈裟やで」

「あなた達は何もわかってない……相手は治外法権の上に」

「そんなん大した問題やあらへん。オレ強」

「例の駐車場での一件、忘れてないよな?アレとお前の欲するアノ領事館、実は一本の線で繋がるんだぜ」

月華を遮ったカルナのお株を即座に奪う零士の注解。

カルナは表情を持ち去られた。去来するあの虚実な一時に。

「ヤッパ何かあったんや、あん時……教えてやカル兄ぃ」

「お前ちょっと黙っとけや」

静かなるも鬼気迫るカルナの口調。さすがのエルナも口答えを呑み込んだ。

「どうした?兄貴のプライドが邪魔して話せなかったか?」

「あんまナメんなよ……俺はそんな安っぽい男やないぞコラッ!何ならもう一度、決着(ケリ)」

「ストップ!本筋から外れてるわ……とにかく、あなたもあそこで一戦を交えたのならわかる筈、勝ち目がないってことが」

「ええから退(ど)けや!コレは俺達の問題や!どんな奴が出て来ようが関係ない……筋が通らん奴はブッ潰す!それだけや!」

結局、引き止めは火に油となり、格納庫(ハンガー)周辺に懐柔なき静寂を引き込んだ。
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