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SPEED 04 平穏の驚駭
SPEED 04-12
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「まだあんのか!?俺の堪忍袋の緒(リミッター)はとっくの昔にブチ切れてんぞ」
「あと少しの辛抱ぉ。行動の前には全てを把握しといた方が特典も多いわよ。あなたの場合イタイ思いをして会得するんだろうけど?」
「月華チャン?俺は利かん坊のペットか?」
「ペットに失礼だな」
カルナに届くか届かないか、零士が呟いた。
「ったく、ホン……マ!口の減らん」
「お前程じゃない。続けるぜ。ジャンキーを大量に生産し得た莫大な汚い金を元手に、奴等は次のステップに進む。ジャンキーの死人(ゾンビ)化……カルナ、お前が駐車場で見た……奴だ」
「ゾンビィゥィッ!?」
カルナとエルナから同時に素っ頓狂な声が。
「派手な声を出すな……俺とてゾンビなんて陳腐な表現は避けたいぜ……」
「ゼロが照れて言いよどむなんて珍しいわね」
「子供ん時の面影が残っててカワイイなぁ」
結果として零士は所在を失った。
「アホ!男に対してカワイイなんて形容詞を使うな!にしても零士よ、ゾンビとはデカく出たな」
零士は、流れ上カルナにフォローされ、
「染み着いてんだろ?その目その身体に、あの苦い体験が。嫌という程に味わったろ?致命傷を何度も喰うも起き上がって来るアイツの執着心を」素早く平常心を取り戻した。
「でもよぉ、映画じゃあるまいしゾンビって」
苦い体験が去来、自然と語気は弱まる。
「ゼロ。じゃあゾンビはナイ方向で」
「あ?これも一から説明しろってのか?」
「そんなタルイことせんでええ、要点だけマトメたらええんや。お前そういうの得意やろ」
「簡単に言ってくれるぜ……元々、奴等でさえドラッグによってあんな化物が生まれて来ようとは想像だにできなかった筈だ。恐らくは偶然の産物……ドラッグの副作用だろう」
「難儀な偶然やのう。で?」
「人間の身体というものは約六十兆個もの細胞から構成される集合体。その細胞一つひとつには核なるモノが存在し、細胞増殖や遺伝情報等に関して指令塔の役割を担う。つまり、核に在する遺伝子から指令が下されることで細胞は常に新しい細胞へと生まれ変わる。新陳代謝だな。が、生物にとって不可欠な核も、奴等のドラッグ使用継続の前には敢えなく崩壊、細胞分裂による増殖機能を殺される。当然、既存の細胞も徐々に死滅の途を辿る」
途方もない話を淡々と語る零士に、二人の反応(リアクション)が一瞬出遅れる。
「零士さん?……ソレ……ソッコーで死体やん」
「だろ?だが、運命の歯車は、偶然を味方に付けた奴等に向け更に周り出す……六十兆の核は全て消滅する……筈が、ある部位にのみにだけたった一つの生き残りが認められた……わかるか、カルナ?」
問われ、カルナはあの忌まわしき時空(とき)へと探りを馳せた。
「……心臓か!」
「御名答、呑み込めてきたじゃねぇか。心臓の一細胞にのみ生き残った核、ジャンキーの状態を第一段階とするならばコレが第二段階。更にドラッグ漬けが進行すれば心臓自体が一個の核へと変貌、この段階にまで達した場合にのみ死滅した六十兆全てが死にながらにして生き永らえる。但し六十兆が一つに、単細胞生物としての転生を余儀なくされてだがな」
「それで心臓を握り潰したんか……そや!アイツの身体がイキナリ燃え出したんは!」
零士の右手が月華に流れた。
「あと少しの辛抱ぉ。行動の前には全てを把握しといた方が特典も多いわよ。あなたの場合イタイ思いをして会得するんだろうけど?」
「月華チャン?俺は利かん坊のペットか?」
「ペットに失礼だな」
カルナに届くか届かないか、零士が呟いた。
「ったく、ホン……マ!口の減らん」
「お前程じゃない。続けるぜ。ジャンキーを大量に生産し得た莫大な汚い金を元手に、奴等は次のステップに進む。ジャンキーの死人(ゾンビ)化……カルナ、お前が駐車場で見た……奴だ」
「ゾンビィゥィッ!?」
カルナとエルナから同時に素っ頓狂な声が。
「派手な声を出すな……俺とてゾンビなんて陳腐な表現は避けたいぜ……」
「ゼロが照れて言いよどむなんて珍しいわね」
「子供ん時の面影が残っててカワイイなぁ」
結果として零士は所在を失った。
「アホ!男に対してカワイイなんて形容詞を使うな!にしても零士よ、ゾンビとはデカく出たな」
零士は、流れ上カルナにフォローされ、
「染み着いてんだろ?その目その身体に、あの苦い体験が。嫌という程に味わったろ?致命傷を何度も喰うも起き上がって来るアイツの執着心を」素早く平常心を取り戻した。
「でもよぉ、映画じゃあるまいしゾンビって」
苦い体験が去来、自然と語気は弱まる。
「ゼロ。じゃあゾンビはナイ方向で」
「あ?これも一から説明しろってのか?」
「そんなタルイことせんでええ、要点だけマトメたらええんや。お前そういうの得意やろ」
「簡単に言ってくれるぜ……元々、奴等でさえドラッグによってあんな化物が生まれて来ようとは想像だにできなかった筈だ。恐らくは偶然の産物……ドラッグの副作用だろう」
「難儀な偶然やのう。で?」
「人間の身体というものは約六十兆個もの細胞から構成される集合体。その細胞一つひとつには核なるモノが存在し、細胞増殖や遺伝情報等に関して指令塔の役割を担う。つまり、核に在する遺伝子から指令が下されることで細胞は常に新しい細胞へと生まれ変わる。新陳代謝だな。が、生物にとって不可欠な核も、奴等のドラッグ使用継続の前には敢えなく崩壊、細胞分裂による増殖機能を殺される。当然、既存の細胞も徐々に死滅の途を辿る」
途方もない話を淡々と語る零士に、二人の反応(リアクション)が一瞬出遅れる。
「零士さん?……ソレ……ソッコーで死体やん」
「だろ?だが、運命の歯車は、偶然を味方に付けた奴等に向け更に周り出す……六十兆の核は全て消滅する……筈が、ある部位にのみにだけたった一つの生き残りが認められた……わかるか、カルナ?」
問われ、カルナはあの忌まわしき時空(とき)へと探りを馳せた。
「……心臓か!」
「御名答、呑み込めてきたじゃねぇか。心臓の一細胞にのみ生き残った核、ジャンキーの状態を第一段階とするならばコレが第二段階。更にドラッグ漬けが進行すれば心臓自体が一個の核へと変貌、この段階にまで達した場合にのみ死滅した六十兆全てが死にながらにして生き永らえる。但し六十兆が一つに、単細胞生物としての転生を余儀なくされてだがな」
「それで心臓を握り潰したんか……そや!アイツの身体がイキナリ燃え出したんは!」
零士の右手が月華に流れた。
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