31 / 52
SPEED 04 平穏の驚駭
SPEED 04-15
しおりを挟む
「それはどうかなぁ?そのボタンは押さないことに意味があるのよ。本来は他国に対して直接的脅威に過ぎなかったモノが、敢えて行動しないでいると様々な譲歩を引き出すに有効な外交カードになっちゃうの。目先に囚われ安易にカードを切るなんて重要な交渉権を無形化するだけ。おまけに核や化学兵器そして細菌兵器での勝利は、第三国からの非難や弾圧等の制裁措置を受ける。一つの国を潰すにはそれはあまりにも大きな代償。仮に押すことがあるとすれば、弱者の恫喝を見透かされた末の自滅覚悟ね」
最中、政治的な話には興味がないのか、カルナが背中を反らした。
「はあぁぁぁ色々ヤヤコシイねんなぁ。お互い切り札を握っとったら動きようあらへんやん?アホらし、意味ナシやんけ」
「金儲けばかりの下衆な死の商人も、裏を返せばお前の言うように均衡(パワーバランス)を保つに役立つという見方もできる訳だ。が、今回の滅ドラッグだけは話が別だ」
「何でや?互いに化物兵士が居ったら今までと一緒やんけ」
「お前、勘違いしてるだろ。滅ドラッグの使途は自国の人間にじゃない」
「ハ?話が見えへんぞ」
眉間に刻まれた深い皺も怪訝を表明した。
「いいか、滅ドラッグという代物はその性質上、手にしているだけで間違いなく人道に反した行為だ。挙句そんな物を使って攻めたとなれば、如何なる理由(ワケ)があろうとツキカの言う各国からの反発を喰っちまう。かといって使わなければ宝の持ち腐れ。そこで戦争屋は一つの答えに辿り着く。対立国に現存するドラッグルートに乗せてしまえば、労せずとも敵側から続々と化物が生まれてくると」
「はへ?そんなルートやと化物の出現がランダム過ぎて命令が行き届かんやろ」
「それでいいのよ。理性の箍(タガ)が外れ易いジャンキーや予備軍が滅ドラッグによって更に思考能力を失う訳だから、敢えて命令を下さなくても勝手気まま本能の赴くままに略奪や殺戮を繰り返す。すると当然のように便乗犯も現れ国内は総パニック状態、無きに等しくなる秩序では足枷にも成り得ず内乱へと発展するのは火を見るよりも明らか」
「滅ドラッグを流し続けるだけで内側から侵食できる……汚い世界がアタシにも読めてきたわ。確かにその手を使えば攻め込んだ形跡は残らんし、仮に他国にバレたとしても非難される可能性も低い。なんせ表の世界では存在せえへん筈の滅ドラッグ、状況を把握し叩いた時点で死の商人との繋がりが親密や言うてんのも同じ。内乱で済ませた方が得策」
エルナは自分で自分に納得、頷き続けた。
最中、政治的な話には興味がないのか、カルナが背中を反らした。
「はあぁぁぁ色々ヤヤコシイねんなぁ。お互い切り札を握っとったら動きようあらへんやん?アホらし、意味ナシやんけ」
「金儲けばかりの下衆な死の商人も、裏を返せばお前の言うように均衡(パワーバランス)を保つに役立つという見方もできる訳だ。が、今回の滅ドラッグだけは話が別だ」
「何でや?互いに化物兵士が居ったら今までと一緒やんけ」
「お前、勘違いしてるだろ。滅ドラッグの使途は自国の人間にじゃない」
「ハ?話が見えへんぞ」
眉間に刻まれた深い皺も怪訝を表明した。
「いいか、滅ドラッグという代物はその性質上、手にしているだけで間違いなく人道に反した行為だ。挙句そんな物を使って攻めたとなれば、如何なる理由(ワケ)があろうとツキカの言う各国からの反発を喰っちまう。かといって使わなければ宝の持ち腐れ。そこで戦争屋は一つの答えに辿り着く。対立国に現存するドラッグルートに乗せてしまえば、労せずとも敵側から続々と化物が生まれてくると」
「はへ?そんなルートやと化物の出現がランダム過ぎて命令が行き届かんやろ」
「それでいいのよ。理性の箍(タガ)が外れ易いジャンキーや予備軍が滅ドラッグによって更に思考能力を失う訳だから、敢えて命令を下さなくても勝手気まま本能の赴くままに略奪や殺戮を繰り返す。すると当然のように便乗犯も現れ国内は総パニック状態、無きに等しくなる秩序では足枷にも成り得ず内乱へと発展するのは火を見るよりも明らか」
「滅ドラッグを流し続けるだけで内側から侵食できる……汚い世界がアタシにも読めてきたわ。確かにその手を使えば攻め込んだ形跡は残らんし、仮に他国にバレたとしても非難される可能性も低い。なんせ表の世界では存在せえへん筈の滅ドラッグ、状況を把握し叩いた時点で死の商人との繋がりが親密や言うてんのも同じ。内乱で済ませた方が得策」
エルナは自分で自分に納得、頷き続けた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?
くまの香
ファンタジー
いつもの朝、だったはずが突然地球を襲う謎の現象。27歳引きニートと27歳サラリーマンが貰ったスキル。これ、チートじゃないよね?頑張りたくないニートとどうでもいいサラリーマンが流されながら生きていく話。現実って厳しいね。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる