HEAVENS HEARTS

HI-ROCKS

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SPEED 05 覚醒の光条

SPEED 05-16

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「俺が繰り出した動き(モノ)をマネて何になる?」

「わからんか?テメェのプライドをズタズタにする為のワンステップやんけ」

零士が額に手を当て表情助長、踵を返した。

「で、お前はめでたく俺のフェイクスターとなれる訳だ」

「何やオイ!さっきからモノマネ師とかマガイモノ呼ばわりしやがって!言いたいことあんのやったらハッキリ言えや!」

「これだけ言ってまだわかんねぇか?対抗意識を燃やし己を磨く、それ自体は互いに得る物も多く一向に構わん。縮めれば縮める程その反動により大きく弾け飛ぶスプリングの原理の如く、相手との差が大きければ大きい程に成長を望めたりもするからな。だが、今お前が進もうとしている道は俺の敷いたレールの上、そんな奴が俺を越えたとて所詮は延長線上の存在、それだけでしかない」

さすがのカルナも同調せざるを得ないモノを感じた。が、振り翳した槍の手前、
「ヘッ!今から負けた時の言い訳か?」
生来の気性の横槍も刺さり、意に反した台詞を口にしてしまう。

「馬鹿だ馬鹿だと思ってはいたが、まさかこれ程の可能性(ポテンシャル)を未だ温存していたとはな」

「ヤ……ロウ……バカバカ言いやがって、そらテメエの脳ミソは上等やろうよ」

「そうだぜ、お前みたいに己の歩む道を踏み外すことなど皆無だからな。とにかくだ、カン違いを治すに早いに越したことはない。さもなくば、お前の存在自体いずれ意味がなくなっちまうぜ。俺という人間はオリジナルの俺ひとりで十分だ」

「インテリは能書きが多くて……参んねんなぁ……言葉より!身体で証明してくれや!」

攻勢の構えを取るカルナ。

「生憎とむさ苦しい奴を相手にジャレてる気分じゃないんでな。カルナ、お前にも少ないなりに長所なるモノがあるだろう。かなり無(ゼロ)に近いだろうが」

「何が言いた」

「その数少ない長所を伸ばせばお前の数多い短所も薄らぐだろうってよ。多少な!ともすればフェイクではないオリジナルとしてのお前で俺を越えられるやもしれん。モットも!限りなく低い確率なのは言うまでもない」

畳み掛ける呂律はカルナを半ば呆然とさせ、
「ズケズケとまあ……ああ言えばこう言うムカツクその口はどうにかならんのか?」
構えを解かせるに十分な効果を生んだ。

「お前に言われたかねぇよ。じゃあな」

零士は鼻で笑い部屋を後に。

「言い逃げかよ……」

独り言を呟きドアを背にすカルナは、忌まわしきベッドに腰を下ろすべく歩を進めた。

―ナ~ニが長所をや、エラソーに……!……-

順に運ばれていた両足がピタリと止まり、カルナは背にするドアに向き直った。

―ヘッ!嫌(や)な野郎や。口を開けりゃ性格最悪、閉じてりゃ格好重視……オマケにオセッカイときとる、処置ナシやな……やったろうやんけ!―
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