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第一章 鴻鵠士(こうこくし)
第一章 第六幕
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「……おっちゃん、今日は穏やかで、絶好の飛行日和だって言ってたじゃない。上空で横殴りの突風が来るなんて、聞いてないわよ」
ルティカの恨み言を聞き、ジラザは実に楽しそうに鼻で笑った。
「なぁに言ってやがる。俺はちゃんと『強風が吹いても冷静に対処しろよ』って忠告しただろう。それを忘れてお前は、今日は穏やかで気持ちのいい気候だからと油断して、周囲への配慮を怠ったんじゃ無いのか? そもそも、いつ来るか分からない風の動きを読んで、しっかりと鴻鵠を操るのがお前の仕事だろ。ウォーミングアップであろうと手を抜いて無かったって、心の底から言えんのか?」
恨みがましくジラザを睨んでいたルティカだったが、正鵠をズドンと真正面から射抜かれ、二の句が告げなくなってしまった。ぐぐぐ、と唸りながら、自分の不甲斐無さに収まりを付ける事が出来ず、その舌先はバラクアへと向かった。
「ちょっとバラクア、何で一発目に私の言うとおりに動かないのよ! 翼畳んで降下って言ったじゃないのよ!」
誰がどう見ても八つ当たりである。
よって、バラクアも黙っちゃ居ない。
「それはこっちの台詞だ! どうしていきなりそんな無茶苦茶な指示が飛んで来るんだ!」
「風が来るからに決まってるでしょ!」
「お前の指示は急過ぎるし、説明が少なすぎるんだ!」
「その位察しなさいよ! そんな事も分からないで、よくレース鴻鵠なんてやってるわね!」
「何だと! もう一度言ってみろ! お前こそ、的確な指示の一つも出せずに、急な突風に慌てふためきやがって、それで鴻鵠士だなんて、恥ずかしくてしょうがないぜ!」
「なぁんですって! もう今日という今日は許さないんだから! あんたに鴻鵠士の必要性を嫌って程分からせてやるわよ! その身体にねえ!」
二人の喧嘩はいつもの事だが、今日はいつにも増してヒートアップしそうな予感を感じたジラザは、先程よりも大きな声をあげ、二人を叱りつけた。
「お前らいい加減にしろ! お前らがそんなん調子じゃ訓練にならんだろうが! ちょっと頭冷やせ! ウォーミングアップをしろとは言ったが、頭沸騰するまで熱を上げろとは言ってねぇぞ!」
「だっておっちゃん!」
「ですが師匠!」
「うるせぇっつってんだろ!」
ジラザの一喝に、仕方なく二人は黙り込んだ。
「ったくしょうがねぇなぁ。おいお前ら、今日の最初の訓練は別行動でやるぞ! バラクアは上空で高速飛行を100本だ。華瑠、これはお前に任せたからな」
「ハイシショー! お任せネ!」
「ルティカは俺と一緒に、この厩舎周りをランニング10周だ。行くぞ」
「10周! あのぉ、おっちゃん、私も一応か弱い女の子なんで、せめて5周くらいになりませんか?」
「つべこべ言ってると、20周になるが、いいんだな?」
「わっははぁい、おっちゃーん、私走るの大好きぃ! 10周走るの楽しみだなぁ」
ルティカが引きつった笑顔を浮かべたまま、ランニングの為の準備運動をし始める。
そんな中、華瑠はこっそりとジラザに耳打ちをした。
ルティカの恨み言を聞き、ジラザは実に楽しそうに鼻で笑った。
「なぁに言ってやがる。俺はちゃんと『強風が吹いても冷静に対処しろよ』って忠告しただろう。それを忘れてお前は、今日は穏やかで気持ちのいい気候だからと油断して、周囲への配慮を怠ったんじゃ無いのか? そもそも、いつ来るか分からない風の動きを読んで、しっかりと鴻鵠を操るのがお前の仕事だろ。ウォーミングアップであろうと手を抜いて無かったって、心の底から言えんのか?」
恨みがましくジラザを睨んでいたルティカだったが、正鵠をズドンと真正面から射抜かれ、二の句が告げなくなってしまった。ぐぐぐ、と唸りながら、自分の不甲斐無さに収まりを付ける事が出来ず、その舌先はバラクアへと向かった。
「ちょっとバラクア、何で一発目に私の言うとおりに動かないのよ! 翼畳んで降下って言ったじゃないのよ!」
誰がどう見ても八つ当たりである。
よって、バラクアも黙っちゃ居ない。
「それはこっちの台詞だ! どうしていきなりそんな無茶苦茶な指示が飛んで来るんだ!」
「風が来るからに決まってるでしょ!」
「お前の指示は急過ぎるし、説明が少なすぎるんだ!」
「その位察しなさいよ! そんな事も分からないで、よくレース鴻鵠なんてやってるわね!」
「何だと! もう一度言ってみろ! お前こそ、的確な指示の一つも出せずに、急な突風に慌てふためきやがって、それで鴻鵠士だなんて、恥ずかしくてしょうがないぜ!」
「なぁんですって! もう今日という今日は許さないんだから! あんたに鴻鵠士の必要性を嫌って程分からせてやるわよ! その身体にねえ!」
二人の喧嘩はいつもの事だが、今日はいつにも増してヒートアップしそうな予感を感じたジラザは、先程よりも大きな声をあげ、二人を叱りつけた。
「お前らいい加減にしろ! お前らがそんなん調子じゃ訓練にならんだろうが! ちょっと頭冷やせ! ウォーミングアップをしろとは言ったが、頭沸騰するまで熱を上げろとは言ってねぇぞ!」
「だっておっちゃん!」
「ですが師匠!」
「うるせぇっつってんだろ!」
ジラザの一喝に、仕方なく二人は黙り込んだ。
「ったくしょうがねぇなぁ。おいお前ら、今日の最初の訓練は別行動でやるぞ! バラクアは上空で高速飛行を100本だ。華瑠、これはお前に任せたからな」
「ハイシショー! お任せネ!」
「ルティカは俺と一緒に、この厩舎周りをランニング10周だ。行くぞ」
「10周! あのぉ、おっちゃん、私も一応か弱い女の子なんで、せめて5周くらいになりませんか?」
「つべこべ言ってると、20周になるが、いいんだな?」
「わっははぁい、おっちゃーん、私走るの大好きぃ! 10周走るの楽しみだなぁ」
ルティカが引きつった笑顔を浮かべたまま、ランニングの為の準備運動をし始める。
そんな中、華瑠はこっそりとジラザに耳打ちをした。
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