江戸の味、極めし者

にゃんころ魔人

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第47話:四国での旅の終わりと新たな決断

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宗太郎と鮎子は徳島を後にし、四国四県の旅を終盤に迎えていた。広島への帰還を胸に、愛媛でみかん料理を提案し、香川のオリーブ畑で七之助と出会い、高知でかつおのたたき、鍋焼きラーメン、ゆず釜飯を味わい、徳島で阿波踊りとすだちうどんに触れた二人は、旅の道すがら愛を深めていた。鮎子のお腹に宿る新しい命が明らかになり、二人の未来は新たな段階へと進もうとしていた。旅の終盤に差し掛かった今、二人の心は希望と少しの感慨で満ちていた。


宗太郎と鮎子は今治の港に戻ってきた。思えばここから四国の旅が始まった。朝日が瀬戸内海を照らし、船の汽笛が静かに響き渡る。港には漁船が並び、潮の香りが漂っていた。宗太郎は鮎子の手を握り、彼女の隣で広島への帰還を意識した。鮎子の体調は日々微かな変化を感じさせ、四国の終盤では体調とのにらめっこが続いた。


「鮎子、今治の港は穏やかで美しいな。四国での様々な出会いに感謝し、そなたと広島へ帰る道が近づいた。そなたの体を気遣いながら、ゆっくり進もう。」


鮎子は宗太郎の手に寄り添い、微笑んで答えた。彼女の声には旅への愛着と新たな命への予感が混じっていた。妊娠による軽い吐き気を感じつつも、彼女の目は希望に満ちていた。


「うん、綺麗だね。今治の海が穏やかで、なんだか心が落ち着くよ。広島に帰ったら、父さんに会えるのが楽しみだけど…少し体がだるいかな。」


二人は船に乗り、瀬戸内海を渡って広島へ向かった。船上では潮風が二人の髪をなびかせ、旅の終わりと新たな始まりを予感させた。宗太郎は鮎子の肩に手を置き、彼女をそばに引き寄せた。旅の半分が残っている中での決断に迷いがあったが、彼女の笑顔が彼を前進させた。


「鮎子、そなたのそばにいると海の風も特別だ。まだ日本各地の旅は半分も終わっておらんが、そなたと赤子を連れて行くか迷う。そなたの笑顔が俺の旅を支えるよ。」


鮎子は宗太郎の胸に軽く寄り、照れながら囁いた。彼女の体には新しい命が宿り、軽いだるさを感じつつも旅への意欲を保っていた。


「あなた…ありがとう。旅を続けるのも素敵だけど、今は赤ちゃんのために少し休みたい。あなたと一緒なら、広島で新しい夢を見られるよね。」


宗太郎は鮎子の頬に手を添え、優しく微笑んだ。船の揺れの中でも、二人の世界は静かで親密だった。旅の終盤に差し掛かった今、彼らの愛はより深まりを見せ、家族としての未来を模索し始めていた。


「鮎子、そなたの健康と赤子が俺の最優先だ。旅を中断し、そなたが赤子を産むまで広島で過ごそう。そなたの肌に触れるたび、俺の愛が深まるよ。」



船は無事に広島に着き、宗太郎と鮎子は広島の自宅に到着した。鮎子の父・辰五郎が玄関で二人を出迎え、旅の無事を喜んだ。家の中は懐かしい香りに満ち、四国の旅の終わりを温かく迎える雰囲気だった。鮎子は宗太郎の手を握り、意を決して口を開いた。


「お父さん…。実は、私のお腹に……赤ちゃんができたんだ。徳島で医者に診てもらって、わかったの。」


辰五郎は驚きと喜びで目を丸くし、すぐに笑顔を浮かべた。彼の声には深い感動が込められていた。


「鮎子、宗太郎、おめでとう! 赤ちゃんか…。俺も早く孫の顔を見たい。」


宗太郎は辰五郎に頭を下げ、感謝の言葉を述べた。旅の半分が残っている中での決断に迷いがあったが、家族の未来を優先する決意を固めた。


「辰五郎殿、ありがとうございます。旅はまだ半分も終わっておりませんが、鮎子と赤子の安全を第一に考え、旅を中断します。新しい家族3人で、将来的に色んなところを巡りたい気持ちは強いですが、今は広島でそなたを支えたい。」


鮎子は辰五郎の腕に寄り添い、涙を浮かべて微笑んだ。


「お父さん、ありがとう。」



その後、宗太郎は旅を中断し、広島での生活を始めた。鮎子が赤子を産むまで、彼は新たな活動に打ち込んだ。新聞記者・康次、40歳と交流を深め、旅で綴った評を全国に届ける手助けを受けた。また、オランダ出身の友人ヨハン、35歳とも再会し、彼の母国料理に触れる機会を得た。


ある日、ヨハンは自宅に宗太郎を招き、オランダ料理を振る舞った。テーブルにはエールソープが並び、ジャガイモ、ニンジン、リークがたっぷり入った濃厚なスープだった。宗太郎はスプーンで味わい、ヨハンの温かさに感謝した。


「ヨハン、このスープは心温まる味だ。家族の未来を考える助けになる。そなたの料理に感謝するよ。」


ヨハンは笑顔で答えた。彼の声には友情と文化の架け橋となる誇りが込められていた。


「宗太郎、良かった! エールソープはオランダの家庭料理だ。君の新しい家族に、温かさと元気をもたらしてくれたら嬉しいよ。」


宗太郎はスープを味わいながら、鮎子と赤子の未来を思い描いた。旅の評が全国に広がり、家族としての新たな一歩が始まる予感に胸が熱くなった。



夕方、宗太郎は自宅に戻り、鮎子と辰五郎と食卓を囲んだ。鮎子の体調は落ち着きつつあり、宗太郎は彼女を気遣いながら旅の思い出を語った。広島での静かな日々が、二人の愛と新しい命を育む時間となることを願った。


「鮎子、そなたと赤子のために、広島で過ごす日々を大切にしたい。旅は再開する日を夢見つつ、今は家族を第一に考えよう。そなたのそばにいられることが、俺の幸せだ。」


鮎子は宗太郎の手に寄り添い、穏やかに答えた。彼女の声には愛情と新たな責任が混じっていた。


「あなた…ありがとう。赤ちゃんのために休むけど、いつかまたあなたと旅に出たいよ。広島で、家族3人で幸せになれるね。」


二人は手をつなぎ、辰五郎と共に新たな未来を夢見た。旅の記憶と家族の絆が広島の夜を優しく包み、宗太郎と鮎子の愛は次の章へと進む確信に満ちていた。

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