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大魔王
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マウルが瞬きするほどの間にパロミデルの腹に収まった。
全員が凍り付いた。咀嚼すらせず飲み込んだのだ。
それでもまだ空腹のパロミデルが今度はルガイドに焦点を合わせる。震え上がったルガイドは腰を抜かし、尻もちをついたが、パロミデルは容赦なく掴み上げた。
「ひっ! ぱ、パロミデル!! まだ魔法薬の説明ができていない!! やめろ!! 食べるな!! 水晶を……」
必死に訴えたがまるで聞きもせず、マウルと同じように丸呑みにした。
「……仲間じゃないのか」
《笑わせるな。俺に仲間などいない》
大人の男を二人丸呑みにしたパロミデルは、ようやく腹が満たされたらしい。俺の呟いた一言にご機嫌に答えた。
『リアン様。次ノ被害者ガ出ル前ニ倒シマショウ』
「でも、どうすれば……」
そういえばさっきルガイドが水晶が……と、何か喋ろうとしていた。水晶がなんだ……。
水晶があればパロミデルに有利なのか、不利なのか……。
(冷静になれ。考えろ。パロミデルを倒す方法……考えろ……)
捕まるわけにはいかない。となれば近寄れない。
隣でジェネシスさんも同じように考えているだろう。二人で戦うには戦力が足りない。
でも、負けるなんて思いたくない。
どうにか勝つ術を考えているという時に、さらに厄介な奴らが顔を出した。
「パロミデル……様?」
「圷!! 桐生!! なんでここに!?」
「うるっせぇ!! 助けてもくれなかった野郎に用はねぇんだよ!!」
圷が反抗的に言う。
「俺たちはやっぱりパロミデル様しかいないんだ」
桐生が続ける。
「ここから早く離れろ! 食べられたいのか!!」
これでは被害が増えるだけだ。そしてパロミデルが更なる力を手に入れてしまう。
「は? 負け惜しみですかぁ? パロミデル様を前に、手も出ないんだろ?」
「情けねぇ。こんな弱い神様がいるか?」
パロミデルから強いグレアを浴びせられ、まだ足元もフラついているというのに、二人はパロミデルに近寄って行く。
「おい! やめろ!! 今、マウルとルガイドが丸呑みにされたんだぞ!!」
「はいはい、分かりましたよ~」
「とうとう負け惜しみ的な? ってか今更俺らに取り繕う気なわけ?」
事実を教えても信じようとしない。
「二人とも、本当にやめるんだ。早くここから逃げろ!」
ジェネシスさんと二人がかりで抑え込む。
そんなやりとりを見ていたパロミデルが指をクイっと上げ、圷を桐生を魔力で浮遊させた。
「パロミデル! もうこれ以上食べてはいけない!! やめろ!」
《こいつらは俺のものだ》
俺たちの叫びも虚しく、先に圷が丸呑みにされた。それを目の当たりにした桐生がようやく怯え始めた。
でもそんなの今更だ。泣き言も言えぬ間に、桐生もパロミデルの餌となって消えた。
こいつは本当に誰一人仲間だと思っていなかったのだ。
全て自分のためだけに利用していただけなのだ。
「人の命をなんだと思っている」
ジェネシスさんが問い詰める。
《さぁ、なんだろうな。俺のために生まれ、俺のために滅びる命なら幸せかもしれないがな》
不協和音の中にパロミデルの声を聞き取る。
こんな悪魔に俺は何をビビっていたんだ。仲間を信じるからこそ、人は強くなれるとジェネシスさんから聞いたところじゃないか。
俺にはジェネシスさんも白い鳥もいる。
負ける気がしない。仲間がいる心強さを実感した。
ジャックスさんも戻ってきた。圷と桐生が食われたと話したらとても驚いていた。
人を四人も食べたパロミデルは魔法薬を飲んだ直後よりもあきらかにに大きくなっている。
もうこれ以上の被害は出したくない。
どうにかルガイドの部屋から出さないように、ここで決着をつけなければいけない。
このルガイドの部屋には研究に使うアイテムや道具、材料があちこちに転がっている。あんなのをパロミデルに使われては一溜りもない。
(あ……あれは)
一つのアイテムが目に入って閃いた。
俺が召喚された時、穢れを浄化できなかった水晶のような球だ。
(もしかすると……)
俺の考えが本当にできればの話だが……いや、やってみる価値はあるのか……。
俺はさりげなく、この水晶のような球を手に取った。
全員が凍り付いた。咀嚼すらせず飲み込んだのだ。
それでもまだ空腹のパロミデルが今度はルガイドに焦点を合わせる。震え上がったルガイドは腰を抜かし、尻もちをついたが、パロミデルは容赦なく掴み上げた。
「ひっ! ぱ、パロミデル!! まだ魔法薬の説明ができていない!! やめろ!! 食べるな!! 水晶を……」
必死に訴えたがまるで聞きもせず、マウルと同じように丸呑みにした。
「……仲間じゃないのか」
《笑わせるな。俺に仲間などいない》
大人の男を二人丸呑みにしたパロミデルは、ようやく腹が満たされたらしい。俺の呟いた一言にご機嫌に答えた。
『リアン様。次ノ被害者ガ出ル前ニ倒シマショウ』
「でも、どうすれば……」
そういえばさっきルガイドが水晶が……と、何か喋ろうとしていた。水晶がなんだ……。
水晶があればパロミデルに有利なのか、不利なのか……。
(冷静になれ。考えろ。パロミデルを倒す方法……考えろ……)
捕まるわけにはいかない。となれば近寄れない。
隣でジェネシスさんも同じように考えているだろう。二人で戦うには戦力が足りない。
でも、負けるなんて思いたくない。
どうにか勝つ術を考えているという時に、さらに厄介な奴らが顔を出した。
「パロミデル……様?」
「圷!! 桐生!! なんでここに!?」
「うるっせぇ!! 助けてもくれなかった野郎に用はねぇんだよ!!」
圷が反抗的に言う。
「俺たちはやっぱりパロミデル様しかいないんだ」
桐生が続ける。
「ここから早く離れろ! 食べられたいのか!!」
これでは被害が増えるだけだ。そしてパロミデルが更なる力を手に入れてしまう。
「は? 負け惜しみですかぁ? パロミデル様を前に、手も出ないんだろ?」
「情けねぇ。こんな弱い神様がいるか?」
パロミデルから強いグレアを浴びせられ、まだ足元もフラついているというのに、二人はパロミデルに近寄って行く。
「おい! やめろ!! 今、マウルとルガイドが丸呑みにされたんだぞ!!」
「はいはい、分かりましたよ~」
「とうとう負け惜しみ的な? ってか今更俺らに取り繕う気なわけ?」
事実を教えても信じようとしない。
「二人とも、本当にやめるんだ。早くここから逃げろ!」
ジェネシスさんと二人がかりで抑え込む。
そんなやりとりを見ていたパロミデルが指をクイっと上げ、圷を桐生を魔力で浮遊させた。
「パロミデル! もうこれ以上食べてはいけない!! やめろ!」
《こいつらは俺のものだ》
俺たちの叫びも虚しく、先に圷が丸呑みにされた。それを目の当たりにした桐生がようやく怯え始めた。
でもそんなの今更だ。泣き言も言えぬ間に、桐生もパロミデルの餌となって消えた。
こいつは本当に誰一人仲間だと思っていなかったのだ。
全て自分のためだけに利用していただけなのだ。
「人の命をなんだと思っている」
ジェネシスさんが問い詰める。
《さぁ、なんだろうな。俺のために生まれ、俺のために滅びる命なら幸せかもしれないがな》
不協和音の中にパロミデルの声を聞き取る。
こんな悪魔に俺は何をビビっていたんだ。仲間を信じるからこそ、人は強くなれるとジェネシスさんから聞いたところじゃないか。
俺にはジェネシスさんも白い鳥もいる。
負ける気がしない。仲間がいる心強さを実感した。
ジャックスさんも戻ってきた。圷と桐生が食われたと話したらとても驚いていた。
人を四人も食べたパロミデルは魔法薬を飲んだ直後よりもあきらかにに大きくなっている。
もうこれ以上の被害は出したくない。
どうにかルガイドの部屋から出さないように、ここで決着をつけなければいけない。
このルガイドの部屋には研究に使うアイテムや道具、材料があちこちに転がっている。あんなのをパロミデルに使われては一溜りもない。
(あ……あれは)
一つのアイテムが目に入って閃いた。
俺が召喚された時、穢れを浄化できなかった水晶のような球だ。
(もしかすると……)
俺の考えが本当にできればの話だが……いや、やってみる価値はあるのか……。
俺はさりげなく、この水晶のような球を手に取った。
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