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二章~アシル・クローシャー編~
3 ぼくの子供は転生者③
クレールを抱きしめると、コーキとの日々が溢れるように蘇ってきた。
「あの時間は、一生忘れられない」
自分の体に、別の人間が存在していると分かった時は本当に驚いた。
驚いたなんてものじゃない。状況を理解するまでに時間が必要だった。
それはコーキも然り。
自殺したと思ったら、アシルと言う人に転生していたのだ。
しかも本人と体を共有している。
あの頃のぼくは、とにかく自分に自信がなかった。エリアス様から側室になれと言われ、ベルクール邸へ来たはいいが、本館での生活など、とてもじゃないが無理だと思った。
それで、なんとかお願いして離れにおいてもらっていた。
爵位も低く、その上オメガ。
そんなぼくが、この屋敷でヒートでも起こそうものなら、とんでもない騒ぎになる。
バース性を発症した時からオメガ性が強く、人よりも苦しむ期間が長い。
いくらエリアス様が運命の番であろうが、アンナ様と言う婚約者がいて、ぼくが割り入るなんて決して許されない。
【運命の番】なんて言われて舞い上がっていた。
離れの窓からエリアス様の姿が見られた時は、それだけで幸せだった。
目が合うと、恥ずかしくてサッと隠れていたものだ。
パーティーの日の、エリアス様とのセックスは、今でも思い出せない。
薬で無理矢理ヒートが起こり、元々オメガ性の強いぼくは、その作用が酷く効いてしまっていた。
エリアス様に抱えられたまでは思い出せるが、その後意識が戻ったのは、ベッドで放心状態になった事後だった。とにかく体の熱が治らず、苦しかったという記憶だけが残っている。もしかすると、自らもエリアス様を求めたかもしれない。
薬が切れるまで、どのくらいの時間抱きあっていたのだろうか。薬が切れて我を取り戻した時、「ああ、自分の人生はこれで終わった」と、エリアス様のベッドの上で覚悟を決めた。
それでも今、ぼくはエリアス様の正妻として隣にいる。
これは全てコーキのお蔭と言える。ぼくでは言葉に出来ない気持ちも、コーキはハッキリとエリアス様に伝えてくれた。
「ぼくは君に、沢山ありがとうと伝えたかったんだよ」
「お礼など、言葉でも受け取れません」
コーキはお礼を言うのは自分の方だと言う。
偶然とは言え、転生して体を乗っ取った自分を恨みもせず、共に生きさせてくれたと、そう言った。
「でも、ぼくだって君に、聞きたいことも言いたいこともある」
今だけ、コーキと呼ばれて欲しいと頼んだ。
「あの時間は、一生忘れられない」
自分の体に、別の人間が存在していると分かった時は本当に驚いた。
驚いたなんてものじゃない。状況を理解するまでに時間が必要だった。
それはコーキも然り。
自殺したと思ったら、アシルと言う人に転生していたのだ。
しかも本人と体を共有している。
あの頃のぼくは、とにかく自分に自信がなかった。エリアス様から側室になれと言われ、ベルクール邸へ来たはいいが、本館での生活など、とてもじゃないが無理だと思った。
それで、なんとかお願いして離れにおいてもらっていた。
爵位も低く、その上オメガ。
そんなぼくが、この屋敷でヒートでも起こそうものなら、とんでもない騒ぎになる。
バース性を発症した時からオメガ性が強く、人よりも苦しむ期間が長い。
いくらエリアス様が運命の番であろうが、アンナ様と言う婚約者がいて、ぼくが割り入るなんて決して許されない。
【運命の番】なんて言われて舞い上がっていた。
離れの窓からエリアス様の姿が見られた時は、それだけで幸せだった。
目が合うと、恥ずかしくてサッと隠れていたものだ。
パーティーの日の、エリアス様とのセックスは、今でも思い出せない。
薬で無理矢理ヒートが起こり、元々オメガ性の強いぼくは、その作用が酷く効いてしまっていた。
エリアス様に抱えられたまでは思い出せるが、その後意識が戻ったのは、ベッドで放心状態になった事後だった。とにかく体の熱が治らず、苦しかったという記憶だけが残っている。もしかすると、自らもエリアス様を求めたかもしれない。
薬が切れるまで、どのくらいの時間抱きあっていたのだろうか。薬が切れて我を取り戻した時、「ああ、自分の人生はこれで終わった」と、エリアス様のベッドの上で覚悟を決めた。
それでも今、ぼくはエリアス様の正妻として隣にいる。
これは全てコーキのお蔭と言える。ぼくでは言葉に出来ない気持ちも、コーキはハッキリとエリアス様に伝えてくれた。
「ぼくは君に、沢山ありがとうと伝えたかったんだよ」
「お礼など、言葉でも受け取れません」
コーキはお礼を言うのは自分の方だと言う。
偶然とは言え、転生して体を乗っ取った自分を恨みもせず、共に生きさせてくれたと、そう言った。
「でも、ぼくだって君に、聞きたいことも言いたいこともある」
今だけ、コーキと呼ばれて欲しいと頼んだ。
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