95 / 235
二章~アシル・クローシャー編~
6 アシルの発情期①
しおりを挟む
部屋のドアを閉めるなり、エリアス様が頸に鼻をすり寄せる。
「体調に無理をしているね? アシル」
「なんで、分かったのですか?」
「そろそろ発情期のはずだと思っていたんだ。やはり、甘い香りがしている」
実は、今朝から頭がぼうっとしていた。
自分でもそろそろだと思っていたが、エリアス様はきちんと手帳に記録しているため、ぼくの発情期を外したことはない。
それがなくとも、匂いが変わるからわかるとは言っていたが……。
「今日はまだ大丈夫だろうが、明日から本格的に発情期に入るだろう。今日は私も仕事は全て終わったことだし、ゆっくりと過ごそう」
ソファーへ座り、エリアス様に体を預けると、さっきまでの緊張感が抜けてしまった。
こうなってしまっては、もう気持ちが切り替えられなくなる。
エリアス様に甘えたくてオメガの本能が疼いてしまう。
「こっちへおいで、アシル」
エリアス様が自分の膝に座るよう促す。ぼくの思考はバレバレだ。
以前のぼくなら、こんなことをされても素直にエリアス様の膝に座るなど、出来なかっただろうが、今は違う。
欲求に抗うことなく、エリアス様の膝に移動した。
エリアス様に包み込まれると、大きく深呼吸をする。そうすると、エリアス様の匂いで身体中が満たされていくのだ。
「いい匂い……」
気持ちが言葉となって溢れた。
今でもお香を焚く趣味は続いているが、エリアス様の匂いほど心が満たされるものはない。
一番安らげる場所はずっと変わらない。
「アシルも、甘くていい香りがする」
エリアス様もぼくの匂いを嗅いでいる。番になり、結婚してからも、エリアス様は毎日沢山甘やかしてくれる。
エリアス様は「一日の始まりと終わりはアシルだと決めている」なんて、ぼくの方が恥ずかしくなるようなセリフも、当然のように伝えてくれる。
コーキなら、そこでエリアス様を喜ばせるような返事をするのだろうが、ぼくは未だにそれが出来ない。
あの頃、コーキが転生してくれなければ、きっと今でもうじうじしていただろうと自分に嫌気がさした。
しかしいつもなら、このまま寝室へと移動するエリアス様なだが、今日はそれをしようとしない。
エリアス様のことだから、何かお考えなのだろうが、聞けば教えてくれるのだろうか。
「体調に無理をしているね? アシル」
「なんで、分かったのですか?」
「そろそろ発情期のはずだと思っていたんだ。やはり、甘い香りがしている」
実は、今朝から頭がぼうっとしていた。
自分でもそろそろだと思っていたが、エリアス様はきちんと手帳に記録しているため、ぼくの発情期を外したことはない。
それがなくとも、匂いが変わるからわかるとは言っていたが……。
「今日はまだ大丈夫だろうが、明日から本格的に発情期に入るだろう。今日は私も仕事は全て終わったことだし、ゆっくりと過ごそう」
ソファーへ座り、エリアス様に体を預けると、さっきまでの緊張感が抜けてしまった。
こうなってしまっては、もう気持ちが切り替えられなくなる。
エリアス様に甘えたくてオメガの本能が疼いてしまう。
「こっちへおいで、アシル」
エリアス様が自分の膝に座るよう促す。ぼくの思考はバレバレだ。
以前のぼくなら、こんなことをされても素直にエリアス様の膝に座るなど、出来なかっただろうが、今は違う。
欲求に抗うことなく、エリアス様の膝に移動した。
エリアス様に包み込まれると、大きく深呼吸をする。そうすると、エリアス様の匂いで身体中が満たされていくのだ。
「いい匂い……」
気持ちが言葉となって溢れた。
今でもお香を焚く趣味は続いているが、エリアス様の匂いほど心が満たされるものはない。
一番安らげる場所はずっと変わらない。
「アシルも、甘くていい香りがする」
エリアス様もぼくの匂いを嗅いでいる。番になり、結婚してからも、エリアス様は毎日沢山甘やかしてくれる。
エリアス様は「一日の始まりと終わりはアシルだと決めている」なんて、ぼくの方が恥ずかしくなるようなセリフも、当然のように伝えてくれる。
コーキなら、そこでエリアス様を喜ばせるような返事をするのだろうが、ぼくは未だにそれが出来ない。
あの頃、コーキが転生してくれなければ、きっと今でもうじうじしていただろうと自分に嫌気がさした。
しかしいつもなら、このまま寝室へと移動するエリアス様なだが、今日はそれをしようとしない。
エリアス様のことだから、何かお考えなのだろうが、聞けば教えてくれるのだろうか。
205
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。
藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。
妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、
彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。
だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、
なぜかアラン本人に興味を持ち始める。
「君は、なぜそこまで必死なんだ?」
「妹のためです!」
……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。
妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。
ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。
そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。
断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。
誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
悪役令息(Ω)に転生したので、破滅を避けてスローライフを目指します。だけどなぜか最強騎士団長(α)の運命の番に認定され、溺愛ルートに突入!
水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男リヒトには秘密があった。
それは、自分が乙女ゲームの「悪役令息」であり、現代日本から転生してきたという記憶だ。
家は没落寸前、自身の立場は断罪エンドへまっしぐら。
そんな破滅フラグを回避するため、前世の知識を活かして領地改革に奮闘するリヒトだったが、彼が生まれ持った「Ω」という性は、否応なく運命の渦へと彼を巻き込んでいく。
ある夜会で出会ったのは、氷のように冷徹で、王国最強と謳われる騎士団長のカイ。
誰もが恐れるαの彼に、なぜかリヒトは興味を持たれてしまう。
「関わってはいけない」――そう思えば思うほど、抗いがたいフェロモンと、カイの不器用な優しさがリヒトの心を揺さぶる。
これは、運命に翻弄される悪役令息が、最強騎士団長の激重な愛に包まれ、やがて国をも動かす存在へと成り上がっていく、甘くて刺激的な溺愛ラブストーリー。
冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる
尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる
🌟第10回BL小説大賞(2022年)奨励賞。2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟
ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。
――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。
お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。
目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。
ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。
執着攻め×不憫受け
美形公爵×病弱王子
不憫展開からの溺愛ハピエン物語。
◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。
四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。
なお、※表示のある回はR18描写を含みます。
🌟第10回BL小説大賞での応援ありがとうございました!
🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる