【完結】『拝啓、親愛なる王子殿下』代書屋オメガの秘めたる愛を綴ります。

亜沙美多郎

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第三章

心で繋がるということ

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 オメガは男であっても妊娠が可能だ。だからドミナクスの後継者を産む為に嫁がされた。
 それが何を意味するのかは恋愛経験のない私でも理解できる。
 体を好き放題弄ばれても文句は言えない。

 しかし私は閨の教育を受けずに嫁いでしまった。父はそもそも私を外に出すつもりはなかったのだ。
 なので悲しいかなドミナクスからされた全てが私の情交の知識として植え付けられている。

 発情期の際に自分でも孔を弄るが、それ以上何かになくてはならないのか。
「申し訳あ……」謝ろうとしたところ、口を塞がれて止められた。
 エルネスト王子殿下は機嫌を損ねたわけではなかった。

「エクラの初めても、この先も、相手は俺しかいない」
「でも……私は」
「違うよ。エクラがドミナクスから受けたのはセックスなんかじゃない。ただの拷問だ。人を傷付ける行為をセックスとは言わない。いいかい? エクラとセックスをするのは人生でたった一人、俺だけだ」
「……はい」

 心の蟠りが溶けて消えていく。
 エルネスト王子殿下は、出会った頃から私の不安や悩みをたった一言で拭い去ってくれていた。
 
 抵抗もできず容赦なく陵辱された煩悶の日々は、エルネスト王子殿下に対しての罪悪感で心を蝕まれた。
 エルネスト王子殿下は私の心が綺麗だと言ってくれたが、体は違う。その懊悩で妙に焦ったり、悩んだりしてきたが、はっきりと「抱かれた」とは言えなかった。
 しかし口を滑らせて良かった。
 エルネスト王子殿下の言葉に、私はまた救われたのだ。

 『拷問とセックスは違う』
 そんな発想はなかった。
 どんなに無理矢理だろうが、その行為に差はないと思い込んできた。

「言っただう、エクラ。心なんだと。体を繋ぐというのは、心を繋ぐということなんだ。だから、触れ合うほどに相手との距離が近くなっていく。何度触れられようと、苦痛しか与えられないなら、それは拷問でしかない。どうだ? エクラはドミナクスと繋がったのか?」
「繋がっていません」
「では、俺と繋がりたいと思う?」
「繋がりたいです。エノ様としか、そうなりたくありません」
「じゃあ、俺をエクラの最初で最後の男にしてくれ」

 馬車は王家の居住区に到着した。
 そのまま私に与えてくれた離れの前に停まる。
 レインマークとサラが今か今かと到着を待ってくれていた。

「少し遅くなったようだな」
「案じておりました」
「レインマーク、早速頼みがある」
「何なりと」
「ドミナクスを肛門から引き裂いておけ」
「……畏まりました」
 レインマークが一礼をすると、今日の仕事はここでの出迎えで終了だと言い渡した。

「サラ、これからは君がエクラの専属の侍女だ」
「ありがたきお言葉」
「では直ぐに湯浴みの準備を。エクラは今夜から発情期に入るだろうから、備えてくれ」
「承知しました」

 慣れた様子で私たちを案内する。
 サラはすっかり王家の従者だ。

「エクラ、俺の薬が切れた時からは、初めて抑制剤なしでの時間になる。心構えをしておいて。番になるまで、離してあげられないから」
 
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