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〜1学期編〜

outsider 後編

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イヤ………都華咲君意外の人なんて……絶対……。

「イヤだっ!!!」

ゴォんッッ!!!思いっきり目の前の人に頭突きを喰らわせ、見事に命中……
「ぃぃいっ!!!ってぇぇ!!」

イっ!!僕も……イタイ……手加減しなかったから当たった衝撃で目の上が切れ、血がこめかみを流れていくのが分かりました。

「……て……んめぇ……!!大人しくしてりゃ良いものを……ボッコボコにしてやろうか!!あぁんっ⁉︎」

「ぷぷぷ……おめぇヤラレてんじゃん、こんな女みてぇな奴に!ダセェの!」
「うっせぇ!!ちょっと気ぃ抜いただけだ。テメ……2回同じ手が通じると思うなよ!!お前もしっかり押さえてろ!」
「はっ?俺ちゃんとやってるだろ。体育館の裏にある倉庫っつっても、人来る前にヤッちまわないと……」
「わぁってるよ!」
「ってか、俺が先にヤリてぇ。お前、押さえてろよ」
「はっ?ナイわ。俺が先だろ」

アレ……仲間割れ?……これ……今のうちに逃げられるんじゃ……。

後ろの人の力が緩んだ瞬間を狙って……ブンッと腕を振り落とし、出入り口へダッシュ……!

「あっ!ゴラァ!待てや!!」
1人が僕に腕を伸ばし、もう1人が出入り口を塞ぎました。

「はぁ……はぁ……はぁ。また……ダメ……」

「残念だったねぇ。2対1で勝てると思ってんの?往生際が悪いな。世の中ナメてない?どの道、俺らに抱かれる運命なんだよ!」


「……ヤだ……イヤだ……イヤだっ!!」

「俺らも優しく出来る限界ってのがあるんだよね。ホスト科ちゃんさ、もう俺の連れにケガ負わせてんだよ?どういうことか分かる?もう今の時点でホスト科の生徒会の顔潰してんの。これ以上問題起こしていいわけ?」

「………」

「大人しくしてくれたら、黙っててやるって条件だよ。受け入れろよ」

ドンッ!両手で突き飛ばされたので、後ろにあった跳び箱で腰をうってしまいました。
「いたっ!」

「はは……観念した?」

頬が潰れる程の力で顔を握り、キスを迫ってきた。

「顔背けんなよ!!」

と、無理矢理口を押しつけてきた。

「んん……っ!!」
こんなの……キスじゃない……!

「口開けろよ!」

イヤだ……絶対に……開ける……ものか。

「はん!まぁいいさ。お楽しみは下だからな」

と、Tシャツを捲り上げお臍から舌を這わせ、胸まで辿ってきます。

ビクンッ!!!


「ふん。やっぱり体は素直だな。気持ちいいならそう言えば良いのに……」

もぅ……ダメ……。
抵抗するのも限界で、涙が溢れ出しました。




ドンドンドンドン!!!!
『つばきぃ!!居るんだろ!!離れてろよぉ!!』
急に外から叫ぶ声が聞こえたかと思うと、

『せーの!』という掛け声と共に、倉庫の引き戸にドォンッ!と体当たりする音が……。


誰?……都華咲君?


「中に居るの分かってんだぞ!!!このドア開けろ!!!」

と、また勢いよく体当たりする音が……。


ドォンッ! ドォンッ!! ドォンッ!!

何度も体当たりしているうちに、ドアを押さえていた棒がカランッと倒れました。

バンッ!!

跳ね返る程の勢いでドアが開き、外の眩しい光が差し込みました。

「椿!!無事か!!!」

……助かった………良かった……良かったぁ……。

押し倒されてる状態の僕を見て、普通科の人達に向かって叫びます。

「テメェら!!椿に何やってんだよ!!」



「………来夢……君……」


間髪入れず、その後ろからエイト先輩とミツ先輩も飛び込んできました。


「テメぇら……ウチの大事な椿に手ぇ出しといて……ただで終わると思ってんのか……」

エイト先輩と来夢君のあまりの迫力に、普通科の2人が震え上がりました。


「来夢!椿を寮に連れて帰れ!!」
「俺達は、コイツらの処分するから」

「うっス!」

来夢君が優しく頬に手を添え泣きそうな声で言いました。
「椿……ゴメンな。遅くなった」

ううん……と首を振り「来てくれて、ありがとう」と言いたかったけど、声が喉に詰まって言えませんでした。


来夢君は自分のジャージを僕に羽織らせ、お姫様を扱うかのようにフワリと抱え上げ、寮の部屋まで連れて行ってくれました。来夢君の腕に包まれた途端、身体中がガタガタ震え始めました。

「……怖かったな……よく頑張った」

来夢君の肩に顔を押し付け泣きました。





「磨理王からグループのメッセージに写真送られて来たんだ。椿の後ろ付けてるっぽい奴が居るけど……って。
直ぐに磨理王に電話して、俺が倉庫向かうから、エイト先輩とミツ先輩探して伝えてくれって頼んだ。
多分、都華咲と徠駕は部活中でまだ気付いてねぇと思う」

磨理王が気付いてくれたんですね……ありがとう。


ありがとうございます。


「磨理王は?」

「先輩らに声掛けた後、演劇部の方走ってったらしいけど……演劇部もジョギングとかも行くし……練習中は声かけらんねぇし。どうだろ。会えてたら良いんだが……」

「そう……ですか」

後でちゃんとお礼言わないと……。




寮の部屋に帰ると、僕をベッドに座らせました。

「目の上のキズ……うん。深くはなさそうだ。良かったな」と手当てしてくれました。



「椿、ゴメン。やっぱり一緒に行くべきだった。俺が1人で行かせたから……」

「ううん。こんな事になるなんて……僕も思ってなかったですし。皆さんに迷惑かけちゃいました。すみません……」

「迷惑なんてあるワケねぇだろ!!……何もされてねぇ?」

「うん……無理矢理、キスされました……でも!あんなのキスじゃないです!!」
思い出したら唇が気持ち悪くて腕でゴシゴシ拭きました。

悔しい!!あんなヤツに、唇を奪われるなんて!!

何度も何度も唇を拭いていると、来夢君が僕を抱きしめました。
「ゴメン……椿……ゴメン!!……守ってやれなくて……」

「来夢君……」
そんな……助けてくれたじゃないですか。
来夢君達がきてくれなかったら、今頃きっと……。


その時、来夢君のスマホが着信を知らせました。

僕を抱きしめたまま通話ボタンを押し、喋りはじめました。

「もしもし……あぁ、都華咲?………今、寮に居る……椿、今寝てんだ………そうだな……起きたら連絡するよ……とにかく無事だから……それじゃ、また後で」


「来夢……くん?」




「ゴメン……椿。今は……俺が側に居たい……」








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