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本編
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街の市場には、料理長の荷物持ちでよく来る。しかしそれは早朝のまだ薄暗い時間帯に、注文してある材料を受け取るだけなのだ。
日中に来るとこんなに賑わっているのかと驚いた。
そして、巡回中の騎士団員もあちこちで見た。王宮が近いと聞いたことがあるから、その所為かもしれない。
もしかして、この前のパーティーに参加していた人もいるのかな。
興味深くジロジロと見ているのは俺くらいのものだ。住人からすると、当たり前のような存在なのだろう。
人気の職業だと聞いたが、リアム様のことを思い出す限り、俺にとっては関わりたくない人種の一位が騎士団員かもしれない。
いや、厳密に言うとリアム様が一位だ。
ま、俺が職務質問でも受けない限りは、関わるキッカケもないだろうけど。
騎士団員たちに背を向け、雑踏の中に紛れ込んだ。
せっかく外出したから、散歩くらいすればいいのだろうが、なにせ連日の仕事で疲れている。日差しを浴びただけで、体力を消耗してしまう。
気分転換に……と思って外出したはいいが、自覚しているよりも体の疲労は溜まっているようだ。
それでも顔見知りなった市場の人たちが声をかけてくれたり、気前よく試食させてくれたり、気を紛らわすには十分な時間を過ごせた。
市場のおじさんがくれたフルーツを手に、充実した気持ちでホテルへと帰る。
それから、休日の二回に一回は街を散策するようになった。
さらに三十日くらい経った頃、俺は遂に料理長から呼び出された。
まさか、皿洗いら賄い係への昇格かも!? と、期待に胸を膨らませ、スタッフルームへと移動する。
「料理長! 話があるってなに?」
部屋に入るなり食いぎみで尋ねる。この料理長は敬語などを重んじない性格で、そんなことよりも効率的に働いてくれと思っているタイプだ。だから俺が敬語を使わずとも何も言わない。
「あのなぁ、マヒロ。前にパーティー会場の助っ人に行ってもらっただろう?」
その一言に、目の前が真っ白になった。
どこかからか、噂になっていたのか。でも今更になってなんで……。
嫌な方向へと考えを巡らせる。
顔が青ざめているのが自分で分かる。
ここまで頑張ってきたのも、報われない努力で終わり……。
「それが、またお前に助っ人に来てほしいとお達しがあったんだよ。行ってくれるか?」
「はっ? なんで、俺が……」
あの日の失態はバレていなかった。でも俺はあの日、もう少しでパーティーをめちゃくちゃにするところだったんだ。
そんな俺に手伝いに来いだなんて、一体誰が言ったんだよ。
「実はな、ここだけの話なんだが……」
椅子に座った料理長は、大きなまん丸のお腹の上で、自分の両手を休ませている。
「リアム様があの日以来、しょっちゅうパーティーに参加するようになってるらしい」
「リアム様が?」
「ああ、そうだ。なんでも、あの時気なる人がいたそうなんだが、話もできずに終わってしまったと言ってだな。どうやらその人を探しに、足繁くパーティーに参加してるんだってよ」
あくまで噂だけどな。と付け加えた。
「それが、俺が助っ人に入るのと何が関係あるのか分かんないんだけど」
一番会いたくない人の名前を出され、あからさまに嫌な顔をした俺に、料理長は眉をピクリと動かした。
日中に来るとこんなに賑わっているのかと驚いた。
そして、巡回中の騎士団員もあちこちで見た。王宮が近いと聞いたことがあるから、その所為かもしれない。
もしかして、この前のパーティーに参加していた人もいるのかな。
興味深くジロジロと見ているのは俺くらいのものだ。住人からすると、当たり前のような存在なのだろう。
人気の職業だと聞いたが、リアム様のことを思い出す限り、俺にとっては関わりたくない人種の一位が騎士団員かもしれない。
いや、厳密に言うとリアム様が一位だ。
ま、俺が職務質問でも受けない限りは、関わるキッカケもないだろうけど。
騎士団員たちに背を向け、雑踏の中に紛れ込んだ。
せっかく外出したから、散歩くらいすればいいのだろうが、なにせ連日の仕事で疲れている。日差しを浴びただけで、体力を消耗してしまう。
気分転換に……と思って外出したはいいが、自覚しているよりも体の疲労は溜まっているようだ。
それでも顔見知りなった市場の人たちが声をかけてくれたり、気前よく試食させてくれたり、気を紛らわすには十分な時間を過ごせた。
市場のおじさんがくれたフルーツを手に、充実した気持ちでホテルへと帰る。
それから、休日の二回に一回は街を散策するようになった。
さらに三十日くらい経った頃、俺は遂に料理長から呼び出された。
まさか、皿洗いら賄い係への昇格かも!? と、期待に胸を膨らませ、スタッフルームへと移動する。
「料理長! 話があるってなに?」
部屋に入るなり食いぎみで尋ねる。この料理長は敬語などを重んじない性格で、そんなことよりも効率的に働いてくれと思っているタイプだ。だから俺が敬語を使わずとも何も言わない。
「あのなぁ、マヒロ。前にパーティー会場の助っ人に行ってもらっただろう?」
その一言に、目の前が真っ白になった。
どこかからか、噂になっていたのか。でも今更になってなんで……。
嫌な方向へと考えを巡らせる。
顔が青ざめているのが自分で分かる。
ここまで頑張ってきたのも、報われない努力で終わり……。
「それが、またお前に助っ人に来てほしいとお達しがあったんだよ。行ってくれるか?」
「はっ? なんで、俺が……」
あの日の失態はバレていなかった。でも俺はあの日、もう少しでパーティーをめちゃくちゃにするところだったんだ。
そんな俺に手伝いに来いだなんて、一体誰が言ったんだよ。
「実はな、ここだけの話なんだが……」
椅子に座った料理長は、大きなまん丸のお腹の上で、自分の両手を休ませている。
「リアム様があの日以来、しょっちゅうパーティーに参加するようになってるらしい」
「リアム様が?」
「ああ、そうだ。なんでも、あの時気なる人がいたそうなんだが、話もできずに終わってしまったと言ってだな。どうやらその人を探しに、足繁くパーティーに参加してるんだってよ」
あくまで噂だけどな。と付け加えた。
「それが、俺が助っ人に入るのと何が関係あるのか分かんないんだけど」
一番会いたくない人の名前を出され、あからさまに嫌な顔をした俺に、料理長は眉をピクリと動かした。
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